貯蓄率で見ると、アメリカはキリギリス?日本はアリ?
配信日: 2017.11.08 更新日: 2020.05.25
興味深いコメントが英ガーディアン誌に掲載されていました。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
アリとキリギリス
トレンドとして対GDP(国内総生産)民間消費支出比率で日本の60%に対して米国は70%と言われており、これだけを見ても、米国のほうが一般的に「稼げば使う」傾向が強いように思われます。
加えて今回のこの報道で、昨今の株高および雇用で潤った分はそっくり消費に回す国民性が顕著に現れています。まさに「キリギリス」と言える一面を物語っているのかもしれません。
「ごろつきバンカーが公的資金で又候ギャンブルに手を染める」ブラウン元英首相(英ガーディアン誌)
ただ貯蓄率が低いというだけなら上げ相場での無邪気な報道で済みますが、ウォール街金融関係者の推定平均賞与が日本円換算で1,600万円との報道。かつて2008年のリーマンショック直前を思い起こすとブラウン元英国首相は回顧しています。
結局好きなように振る舞い、おいしい蜜を吸うのは金融関係者でその後処理は国民に回ってくると。ゴードン元首相の言葉を借りれば「ごろつきバンカーが公的資金で又候ギャンブルに手を染める」。「金融危機に陥れた当事者たちは塀の中で大人しくしているべきだった」。
https://www.theguardian.com/politics/2017/oct/31/gordon-brown-bankers-should-have-been-jailed-for-role-in-financial-crisis
饗宴はほどほどに
たしかに収益力の回復、筋肉質に生まれ変わった企業の業績回復に裏打ちされた株高というのは正論でしょう。
しかし、短期的には需給バランスによって価格は決定されます。
旺盛な需要の背景には景気を浮上させようと、世界中がこぞって超低金利政策を継続させ、溢れたマネーが行き場を求めて暴走を始めているという感覚を抱かずにはいられないと感じている人も少なからずいるのではないでしょうか。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表