更新日: 2019.01.11 その他暮らし

シニアの不動産問題に「マイホーム借上げ制度」を活用

執筆者 : 宮﨑真紀子

シニアの不動産問題に「マイホーム借上げ制度」を活用
シニアの悩みごとの一つに住宅問題があります。子どもが独立したので、住み替えを検討したい。

相続で実家を引き継いだが、自宅があるので実家に住む予定は無く、このままだと空家になりそう。

シニア世代は持ち家率が高いので、このようなケースが多いようです。

宮﨑真紀子

Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

シニアが抱える不動産の悩みは2パターン

 
マイホームを持つことが一人前の証とされた時代がありました。現在のシニア層の持ち家率が高いのは、そのためです。
 
ところが昨今、一部の不動産は負動産とまで揶揄されるようになりました。
勿論異論はありますが、不動産に悩まされる機会が増えたのは事実です。この心配事ですが、大きく2つに分けられます。
 
1つ目は自分の持ち家問題です。郊外の一戸建てに住む核家族は多いですが、子どもが独立すれば、広い家の管理が大変になります。
出来れば都心のマンションに住み替えたい、と希望する人は多いようです。売却の決心がつけば良いのですが、思い出の詰まった家です。
 
将来子どもが帰ってきて同居する可能性があるなら残しておきたい、という迷いも考えられます。
持ち家を子ども世代に残すのかが問題となります。
 
2つ目は、親の持ち家(実家)問題です。
 
親が健在で自分の持ち家がなければ、リタイア後に実家に帰って同居する確率も高いのですが、実家を離れてからの生活が長くなり、地域に新しいコミュニティーが出来てしまうと、判断が難しくなります。 
 

不動産の活用を考える制度

 
不動産を売却しない場合や、売却を決めたものの買手が見つからない場合は、賃貸物件として活用することを考えます。
 
この時に活用できる制度に「マイホーム借上げ制度」があります。これは一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が行っています。
50歳以上のシニアを対象に、マイホームを借上げ、賃貸住宅として転貸(また貸し)するシステムです。
 
マイホームを貸したい人はJTIと借家契約を結びます。
入居者とはJTIが3年毎の定期借家契約を結びますので、貸し手はそのタイミングで再び家に戻ることも売却することも出来ます。
 
転貸していますので、借家人との交渉はJTIに任せられるのも安心ですが、一番の魅力は借り手がつかない時も賃料が保証されることです。
 
制度を申し込み後、一人目の入居者が決定以降は空室が発生しても規定の賃料が保証されます。住宅の状態が賃貸可能である限り、借上げは継続されます。
 
定期借家、家賃保証というメリットがあるため、賃料は一般の賃貸よりは低くなります。
 
こういった制度を知っておくと、手持ちの不動産を賃貸物件として“活用する”という選択肢も身近になるのではないでしょうか。
せっかくのマイホーム、負動産にしてはいけません。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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