2020年上半期には何が変わる? 私たちの生活に関わる主な制度改正
配信日: 2020.04.22
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
1月に開始されたもの
所得税の「基礎控除」「給与所得控除」の改正
長年、「基礎控除38万円」「給与所得控除は65万円から」と覚えてきた方も多いことでしょう。2020年分以降の所得税では「基礎控除額」が一律10万円引き上げられ48万円に、「給与所得控除額」が一律10万円引き下げとなります。
そのため、会社員などの給与所得者の場合には、控除額は±0円となるため実質的な影響はありません。
注意が必要となるのは給与年収850万円を超える方です。これらの改正に加えて、給与所得控除額の上限額が195万円に引き下げられるため増税となります。ただし、23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯などのために「所得金額調整控除」が新設されますので増税とならないケースもあります。
さらに、これまでは誰でも控除できた基礎控除について、満額となる48万円を控除できる条件として、給与所得2400万円以下の人が対象となります。2400万円を超えると控除額が段階的に引き下げられ、2500万円を超える方の基礎控除は0円となります。
4月に開始されたもの
1、配偶者居住権の施行
民法(相続法)の改正により新設された「配偶者居住権」が4月1日に施行されました。これは配偶者を保護するため、被相続人が所有していた自宅に無償で住み続けることができる権利のことです。配偶者居住権には「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」の2種類があります。
配偶者居住権を利用することで相続税評価額が下がり、配偶者が遺産分割の際に自宅以外の現預金などの財産を多く取得できるなどのメリットがあります。
2、改正民法(債権法)の施行
1896年民法制定以来となる、実質的な見直しを実施した改正民法(債権法)が4月1日に施行されました。今回の改正では、契約におけるルールが社会全体の環境変化に対応した形で変更されます。
例えば、個人が保証人となる場合の保護に関する改正、消滅時効に関する改正(お金の貸し借りの消滅時効は、権利を行使することができることを知ったときから5年、または権利を行使することができるときから10年のいずれか)、賃貸物件を借りる際のルールの明文化などがポイントとなります。
3、高等教育の修学支援新制度
4月1日にスタートした高等教育の修学支援新制度は、一定要件を満たす世帯を対象に、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校などの入学金、授業料の減免や返済不要の給付型奨学金を支給する制度です。
対象になるのは住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生となります。また、2020年度の在学生が対象となるため、既に入学している人も含まれます。
基準を満たす世帯年収の目安は家族構成により異なりますが、両親・学生本人・中学生という家族4人の場合には、世帯年収約380万円以下の場合が対象となります。
6月に終了するもの
キャッシュレス・ポイント還元事業の終了
2019年10月から開始されているキャッシュレス・ポイント還元事業が、当初の予定通りであれば2020年6月までで終了となります。経済産業省が今年度当初予算に加えて、補正予算を組むなど、キャッシュレス・ポイント還元事業は想定以上に利用されているようです。
また、主要コンビニ3社の業績も消費税の増税に反して好調に推移しているとのことです。
皆さんの多くも、このキャッシュレス・ポイント還元事業の恩恵を少なからず感じているものと思います。果たして、キャッシュレス・ポイント還元事業が終了する7月以降にはどのような影響が出るのでしょうか?
まとめ
私たちの身の回りでさまざまな環境変化が始まっています。2020年は、外国人の動向による影響にも注目すべきでしょう。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー