更新日: 2020.05.09 その他暮らし
新型コロナの影響で家計が急変、学費はどうなる?緊急で申し込める奨学金は?
今回は支給対象の広い貸与型について主にご紹介します。貴重な学びの機会を失わぬよう、将来の返済も十分理解したうえで利用の有無を検討しましょう。
執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。
家計急変時の奨学金の申し込みとは
JASSOでは、在学生のための緊急時奨学金を受け付けています。対象者は、家計維持者が失職、破産、事故、病気、死亡もしくは火災、風水害等の災害などにより家計が急変し、緊急に奨学金の必要が生じた方となります。
新型コロナウイルスに対しても、この家計急変時の適用をホームページで大きく告知しているのでご確認ください。世帯(父母等)の収入が大きく減った人には、急変後の所得(見込)で、所得基準を判定します。
JASSOの奨学金には、給付型と貸与型(第一種/第二種)の主に3種類があり、いずれも家計急変時の申し込み対象となっています(※第一種は無利子、第二種は有利子)。なお、第一種奨学金は「緊急採用」、第二種奨学金は「応急採用」と呼ばれています。
給付型と貸付型の申請条件を比較
給付型奨学金は、今年の4月から「高等教育修学支援新制度」として内容を拡充してスタートしており、名前のとおり返還不要かつ授業料の免除・減額も受けられるので、受給できればとても心強い制度です。
ただし、世帯の収入条件が貸与奨学金より厳しいため、家計への深刻な影響が幅広い世帯で想定される現状では、適用対象の世帯が限られてしまいます。次の表を見ながら、貸付型奨学金の支給条件を説明していきましょう。
家計急変時の給付型および貸付型奨学金の取り扱い(大学のケース)
まず、給付金を申請できる学校は、貸与型では全大学が対象ですが、給付型は国や自治体が認定した学校のみです。学校によっては給付型奨学金が申請できないこともありますので、学生課やJASSOのホームページで確認しましょう。
次に、申請可能な期間が異なります。貸与型は家計急変から12ヶ月以内なのに対し、給付型は3ヶ月以内です。仮に家計急変が3月に起きていた場合、給付型は申請が間に合わない可能性もあるので、学校を通じて自分のケースについて詳しく確認してください。
また、給付型は3ヶ月ごとに給付条件の該当状況を世帯の収入等で確認するため、当初見通しより早く給付額が下がったり、給付停止になったりすることがあります。
その他、家計条件や、収入・所得の上限額等も貸与型のほうが緩やかになる傾向があります。なお、給付型には資産基準(不動産を除く預貯金等)が設けられているので、こちらもクリアする必要があります。
なお、申請にはさまざまな書類の用意が必要です。家計急変の証明に何を用意するか、いつの時期の収入見込額で申請するかなど、迷ってしまうことも多々あります。でも大切なのは「いつまでに」必要か。これを最優先に動きましょう。
貸与型奨学金の支給額
緊急採用、応急採用の各貸与額は以下のとおりです。なお、給付型奨学金との併給も可能です。
貸付型奨学金の支給月額(大学のケース)
貸与総額や卒業後の所得で毎月の返済額と返済回数が決まります。必ず返還方法についても理解したうえ利用してください。
まとめ
現在、家計維持者だけでなく、学生もアルバイトができず、学費や生活費の工面に苦しい状況が続いています。後期の授業料納付にも備えないといけないですね。
貸与奨学金は、返還の必要はありますが、学業を続けるための支出を短期的にでも支え、急場をしのぐには給付型より利用者の裾野が広いのが特徴です。それぞれの世帯の事情にあわせ、効果的な利用を検討してください。
なお、すでに返還を始めている方も危機感をもっているのではないでしょうか。返還が困難になった場合は、「減額返還」「返還期限猶予」の制度を願い出ることができます。独りで悩んでいるうちに延滞してしまった、ということが起きないよう、どうかJASSOに相談してみてください。
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー