更新日: 2020.05.24 その他暮らし

絶対に守ってほしい取り決めは公正証書で! 公正証書について徹底解説

絶対に守ってほしい取り決めは公正証書で! 公正証書について徹底解説
公正証書を利用したことはありますか?
 
名前は聞いたことあるが使ったことはない、なんとなく効果の強い書類ということは知っている、という程度の認識の方がほとんどでしょう。そこで今回は、公正証書の効力や活躍する場面などをご紹介します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

公正証書とは

公正証書とは、公証人が作成する文書の一つで、いわゆる公文書に分類されます。そのため、非常に強い証明力を有する文書となります。公正証書として作成できる書類は、契約書や遺言書など、個人の権利や義務、法律行為に関するものがメインになります。
 
このほかにも、公証人が聞いたり見たりした事実の内容を公正証書とすることができます。

公正証書はどんな効果をもつの?

公正証書がもつ最大の効果は、何よりその証明力です。公務員たる公証人が権限に基づいて作成するため、そこに記載された内容は真実であると強い推定が働きます。
 
公正証書に記載されている内容を否定するには、否定する側が証拠を集め、否定できるだけの事実を証明しなければなりません。
 
そして、もう一つの大きな効力として執行力があります。
 
例えば、通常、強制執行をして相手からお金を取り立てる場合は、裁判を起こして確定した判決や調書が必要となります。
 
ところが、「債務の履行を遅滞したときはただちに強制執行に服する」旨の記載のある公正証書があれば、裁判を起こすことなく強制執行して、お金を取り立てることができます。
 
このほかにも、公正証書は作成された日を証明できたり、原本が公証役場で20年保管されるため、紛失や改ざんの心配もないというメリットがあります。

公正証書はどこへ行けば作れるの?

公正証書は公証役場で作成することができます。市区町村役場や裁判所のように、管轄というものがないため、日本全国どこの公証人役場でも公正証書を作成できます。もちろん、弁護士や行政書士といった法律の専門家を通じて作成することもできます。

●公正証書の作成にかかる費用は?

公正証書を作成するのにかかる費用(手数料)は、作成する公正証書の内容や、付与するオプションにより異なります。詳細については、最寄りの公証役場にお問い合わせください。

●公正証書の作成にかかる時間は?

公正証書の作成にかかる時間は、おおよそ2週間前後というのが一般的です。基本的にその日のうちに作成されて、即日公正証書が交付されるというものではありません。

公正証書はどのような場面で活躍するの?

公正証書は、約束や意思の確認、事実の証明といったさまざまな場面で活躍します。ここでは特に有効な場面を2つに絞ってご紹介します。

(1)遺言

一般的な遺言のイメージは、紙に自筆で自署するというものでしょう。こうした遺言は「自筆証書遺言」といわれ、手軽で自由に作成できる反面、法定の要件を満たさず遺言として無効となったり、相続人によって破棄されたり書き換えられたりする危険があります。
 
遺言を公正証書として作成して「公正証書遺言」にすることで、無効や破棄、書き換えられるといった危険はほぼゼロになります。また、「公正証書遺言」であれば、家庭裁判所のチェック(検認)を受ける必要もなくなるため、相続手続きもスムーズに進行します。

(2)お金の貸し借り

お金の貸し借りを口約束でしてしまうと、いくら貸して、いつ返すのか、といったような証拠が残らず、トラブルになったときにいった・いわないの水掛け論になってしまいます。仮に、通常の契約書を作っていたとしても、それだけでは簡単に強制執行することができません。
 
しかし、公正証書で「返済が滞れば強制執行に服する」といった旨を記載して作成しておくことで、ただちに強制執行してお金を取り立てることができるようになります。それにより、当事者の間で約束に重みが生まれ、お金が返ってこないということも少なくなります。

まとめ

公正証書は、公証人が作成する公文書であり、強い証拠力と執行力をもちます。遺言やお金の貸し借りなど、本人の意思や当事者間の約束事を証明し、それを実現するような場面で活躍します。
 
公正証書は、自身で作成することもできますが、専門家に依頼することで、漏れや穴のない公正証書を作成することができます。公正証書の作成については、行政書士をはじめとする各種専門家に依頼するとよいでしょう。
 
[出典]法務省「公証制度について」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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