医療費が安くなる!? あなたや家族を守る「おくすり手帳」って?
配信日: 2020.06.24
聞かれたことはあっても、おくすり手帳を作成していないという方もいらっしゃるでしょう。名前はよく聞くけれど、実際どんなものなのかあまり知られていない、今回はそんな「おくすり手帳」についてのお話です。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
おくすり手帳とは?
おくすり手帳とは、薬の処方歴、主な疾患や既往歴、アレルギーなど、患者にとって重要な情報が記載される手帳です。医者や薬剤師はそれを確認することで、各個人に応じた薬の処方をしたり、注意点を説明したりすることができます。
それにより、複数の医療機関での受診や複数の薬局から薬の処方を受けても、薬の重複や危険な飲み合わせを避けることができるのです。発行にかかる手数料は基本的に無料であり、薬の処方を受ける際に薬局などに申し出ることで、誰でも作成することができます。
おくすり手帳には、基本的に次のような事項が記載されています。
・氏名、生年月日、連絡先
・薬の処方歴
・アレルギー歴、副作用歴など
・既往歴など疾患に関する情報
・日常的に利用している保険薬局の名称や連絡先など
おくすり手帳で薬代が安くなる!
あまり知られていないことですが、おくすり手帳を持参することで、病院から処方される薬代が最大40円ほど安くなるのです。なぜ安くなるのかといえば、薬局から処方薬を受け取る際に支払う「薬剤服用歴管理指導料」が安くなるからです。
私たちが処方された薬を受け取るときに支払う代金には、薬剤の代金だけでなく、薬の説明や管理などにかかる金額も含まれているのです。
「薬剤服用歴管理指導料」は、処方された薬についての分析や管理、記録、説明などを根拠として発生する薬剤師さんへの報酬です。おくすり手帳を持参することで薬剤師の方にかかる負担が小さくなり、処方薬を受け取る際の代金が少し安くなるのです。
ただし、薬代が安くなるのは、前回と同じ薬局で薬を受け取ってから原則3ヶ月以内であり、かつ、おくすり手帳を持参した場合に限ります。以前は6ヶ月以内だったのですが、2020年度から期間が短くなっていることに注意してください。
おくすり手帳はアプリ版もある
「おくすり手帳を家に忘れてきてしまう」「家族のおくすり手帳の管理が面倒」など、おくすり手帳について不満をもたれることがあります。そういった場合は、アプリ版の電子おくすり手帳を利用してみてください。
電子おくすり手帳なら、家族全員分のおくすり手帳を1台のスマートフォンで管理できるうえ、薬局に処方箋をあらかじめ送信しておける処方箋送信機能など、アプリならではの機能が充実しています。
ただし、薬局によっては電子おくすり手帳に対応してない場合もあるため、電子おくすり手帳を利用したい場合は、かかりつけの薬局にご相談ください。
現在、さまざまな会社からアプリ版の電子おくすり手帳が配信されています。アプリごとに特徴が異なるものの、基本的にどれを選んでもおくすり手帳としての利用は可能になります。
おくすり手帳を作成して医療費を抑えながら健康管理を
おくすり手帳は、医療費が安くなるだけでなく、薬の処方歴など、あなたや家族の健康を守るために大切な役割を果たします。
紙の手帳だけでなくスマートフォンのアプリもあります。おくすり手帳を持っていない場合は、かかりつけの薬局に申し出て作成するか、アプリで作成しておき、医療費の削減と健康管理に役立ててください。
[出典]
公益社団法人 日本薬剤師会「電子お薬手帳相互閲覧サービス 『e薬Link』」
公益社団法人 茨城県薬剤師会「令和2年度調剤報酬改定説明会資料」
総務省「薬局の窓口でお薬手帳の説明を励行することで、『かかりつけ薬局』の普及を推進」(平成29年9月19日 九州管区行政評価局)
日本調剤株式会社「お薬手帳プラス よくあるご質問:アプリ仕様
執筆者:柘植輝
行政書士