高齢者の安全運転をサポートする「サポカー補助金」って?
配信日: 2020.06.28
国土交通省「高速道路での逆走対策に関する 有識者委員会(第5回)」によれば、逆走の約半数は65歳以上のドライバーです。
また、警察庁交通局(平成30年2月15日)「平成29年における交通死亡事故 の特徴等について」によれば、75歳以上の高齢運転車になると、ペダル操作やハンドル操作の誤りによる車両単独事故の割合が、急激に多くなります。75歳以上の事故全体の内約40%となっています。
高齢運転者による事故を防止するため、政府は衝突被害軽減ブレーキや、ペダル踏み間違い急発進抑制装置などの先進技術を搭載した車、「安全運転サポート車」(サポカー・サポカーS)や、後付け急発進等抑制装置の普及啓発を行っています。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
どんな技術があるの?
セーフティ・サポートカー(サポカー)は、衝突被害軽減ブレーキを搭載したものです。前方の車両や歩行者を検知して、衝突の可能性がある場合には運転車に警告し、さらに可能性が高くなったら自動でブレーキがかかります。これにより、間違えて発進しても衝突被害が軽減されます。
セーフティ・サポートカーS(サポカーS)は、衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制装置が搭載されます。進行方向に壁や車が検知された状態でアクセルを踏み込んだ場合、警報し、急加速を抑制します。
また、セーフティ・サポートカーS(サポカーS)は衝突被害軽減ブレーキの機能により以下の3つに区分されます。
【ベーシック】
【ベーシック+】
【ワイド】
【ベーシック】は低速衝突被害軽減ブレーキ(対車両)、【ベーシック+】は衝突被害軽減ブレーキ(対車両)です。どちらも、ペダル踏み間違い急発進抑制装置も搭載されています。
さらに、【ワイド】は衝突軽減ブレーキが対歩行者になることに加えて、車線逸脱警報があります。車線をはみ出した、はみ出しそうになった場合に警報します(ウインカー操作での車線変更には警報しません)。
先進ライト機能もあり、ハイビーム・ロービームを切り替える、対向車を検知して部分的に光を軽減などします。
サポカーS補助金は65歳以上、後付けでも補助あり
2020年3月9日から、サポカー補助金の申請受け付けが開始されました。補助金の要件および金額は、以下のとおりです。
■対象者
・65歳以上のドライバー
■対象の機能
・対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ・・・(1)
・ペダル踏み間違い急発進抑制装置・・・(2)
《新車購入の場合》
(1)(2)両方搭載する場合:乗用車10万円/軽自動車 7万円
(1)のみ搭載する場合:乗用車6万円/軽自動車 3万円
《中古車の場合》
(1)(2)両方搭載する場合:4万円
(1)のみ搭載する場合:2万円
《すでに所有している車に(2)を後付けの場合》
障害物検知機能あり:4万円
障害物検知機能なし:2万円
*サポカー補助金の対象となる車種・装置については、経済産業省ホームページ、サポカー補助金でご確認ください。
75歳以上のドライバーに、市区町村独自の補助金
それ以外にも、後付けの急発進等抑制装置の設置費に、補助金を出す市区町村もあります。
例えば岐阜市の場合は、75歳以上のドライバー限定で「後付けの急発進抑制装置」を設置した方への補助金制度が開始されています。
・市内にお住まいの75歳以上の方
・令和2年4月15日~令和3年2月28日までに、国土交通省が認定した「後付けの急発進等抑制装置」を、次世代自動車振興センター(補助金事業者)が認定した販売店で設置し、機能や使用方法について説明を受けた方
・車検証上「自家用」であること
・有効期限の運転免許証を保有していて、車検証の所有者が保有者と同じであること
・自動車税の滞納がないこと
等が条件となっています。
補助金額は1万円が上限です。購入費・設置費が1万円未満になる場合はその金額になります。後付けの急発進抑制装置に関わる国の補助金は、次世代自動車振興センター(補助金事業者)が認定した事業者が申請します。
指定の装置を取り付ける指定店舗は、購入者が補助金交付要件を満たしているか確認し、取り付け、代金から補助金相当分を差し引いた金額を購入者に請求します。購入者は補助金が差し引かれた金額を支払います。
さらに、75歳以上の場合は、支払った金額(最大1万円)の補助を受けられます。
装置を取り付けた車の車検証の写し、直近の自動車税納付証明書の写し、支払った金額と販売店が分かる書類(領収書)の写し、住民票の写し、運転免許証の写しを添えて、補助金の申請書を市区町村の担当の部署へ提出します(岐阜市の場合、岐阜市防犯・交通安全課)。
国の補助も、市区町村の補助も、国土交通省認定の装置を、次世代自動車振興センターが認定した店舗での設置の場合に対象になります。それ以外の装置、店舗では対象になりません。ご注意ください。
(参考・引用)
警察庁「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」
国土交通省「後付け急発進等抑制装置の先行個別認定の追加募集を開始します ~ペダル踏み間違い時加速抑制装置を国が認定します~」
経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)のWEBサイト」
経済産業省「サポカー補助金」
岐阜市「75歳以上の方を対象に、後付けの急発進等抑制装置の設置費に対する補助を開始しました。」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者