更新日: 2020.07.12 その他暮らし

特別定額給付金、何に使う? コロナ禍で考えるお金の使い道

特別定額給付金、何に使う? コロナ禍で考えるお金の使い道
皆さんはもう、特別定額給付金は振り込まれたでしょうか?
 
世帯の人数×10万円の支給ということになっていますが、これは世帯を支えるために世帯主へ支払われる性質のものであるのか、それとも各人が属人的に受け取るべき性質のものであるのか、解釈が分かれているようです。
 
弁護士としてはその解釈論についても検証を重ねるべきかもしれませんが、本稿ではその解釈論はさておき、給付金の使い道という観点について述べてみたいと思います。
佐々木達憲

執筆者:佐々木達憲(ささき たつのり)

京都市役所前法律事務所弁護士

相続・事業承継を中心とした企業支援と交通事故が主要対応領域。弁護士としての法律相談への対応だけでなく、個人投資家兼FPとして、特に米国株投資を中心とした資産運用に関するアドバイスもご提供。京都を中心する関西圏に加え、毎月沖縄へも通っており、沖縄特有の案件も数多く手掛けている。

まずは生活を支える支出が最優先

1.どんなに苦しくても勝手に支払いを止めてはいけない

当然、まずは衣食住という、生活の基盤となっていることに目を向ける必要があります。
 
特に大きなものとしては、やはり「住」でしょうか。固定的に大きな支出が必要となることは避けられません。持ち家であれば固定資産税や住宅ローン、マンションの場合は、さらに管理費や修繕積立金が重なってきます。借家であれば、家賃の支払いが必要になります。
 
これら避けられない固定支出について、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、収入が激減した人等の場合、申告・申請により税金やローンの支払いを猶予してもらえたり、各自治体が行っている家賃支援を受けられたりすることもあります。まずはこれらの制度を使えないか、全力で調べることが第一です。
 
ただし、ローンも家賃の支払いも、どんなに収支が苦しくても債権者の了承が得られない限り、減額や猶予とはなりません。
 
弁護士として受ける相談として、「このコロナ禍で収入が激減しているのだから、支払いできなくてもやむを得ないということにはならないか」、という質問を受けることがあります。もちろん債権者が了承してくれれば良いのですが、すべては相手あってのことです。
 
あらかじめそうした場合を想定した特約でもない限り、どんな事情があったとしても相手の了承なく勝手に支払いの停止を行った場合に、それが正当化されることはありません。支払いできない状態が続いていけば、立ち退きを迫られることにもなっていきます。
 
基本中の基本の話として、世の中がコロナで混乱しているからといって、無条件で約束の支払いが免除されるような話はありません。必ず、その支払いの相手との間で確認をする必要があることを、肝に銘じてください。

2.特別定額給付金も支払いの原資に

また、事業を行っている人の場合、事業者向けの家賃支援給付金という制度も使えることになるようです。しかし、この制度の詳細は現時点で決まっておらず、給付を受けられることになるのはまだ先となりそうです。
 
現状使える各種支援制度は最大限活用すべきですが、特別定額給付金もその一環というべき存在ですので、「住」に必要な支払い等当面の生活を支えるキャッシュが不足している場合には、迷わずその支払いに充てましょう。

ちょっとしたぜいたく等への消費は?

当面の生活は確保できているという場合の、消費の仕方についてはどうでしょうか。
 
個人的には、この機会に家電の買い直しをするとか、ちょっとしたぜいたくをするというのもありだと思います。せっかく交付された給付金を皆が貯金して貯め込んでしまうよりも、コロナ禍で停滞してしまった経済を回す潤滑油とするべく使うほうが良いですよね。
 
経済を元気にするという意味合いも込めて、レジャーや外食に使っても良いのではないかと思います。ただし、外食で羽目を外し過ぎて健康管理がおろそかにならないように注意は必要ですね。

投資用資金としては?

預貯金として貯め込むのではなく、株式投資等に充てることについてはどうでしょうか。経済を回していくという視点では、これも決して悪くないことだと思います。
 
ただし、例えば世帯人数が1人の場合、給付される金額は10万円だけです。極めてリスクが高い投機的運用を除いて、元手が10万円では得られる利益も莫大なものとはならないことは、始めからわきまえる必要はあります。利回り5%という安全な運用をした場合、元手の10万円は14年間かかってようやく倍額になるという計算です。
 
なお、債券への投資は、世界的に金利低下へと向かっている現在、効率がよくありません。世界中の株式に連動するインデックスファンドで、焦らずに運用していくことが、ちょうど良いのではないかと思います。
 
執筆者:佐々木達憲
京都市役所前法律事務所弁護士


 

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