医療費が高くて支払いが厳しい……。そんなときは「限度額適用認定証」を使おう

配信日: 2020.07.28

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医療費が高くて支払いが厳しい……。そんなときは「限度額適用認定証」を使おう
しばらく入院することになったけど、医療費が高額になって払えない……!そんなとき、自己負担が必要な金額を抑えて、負担を軽くするための公的な制度があります。制度の概要や利用方法について解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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入院費用の負担が厳しい! そんなときは

もし、手術を受けたり入院したりして、数十万円、時には百万円単位の医療費を支払うよう病院から請求されたら、あなたはすんなりと払えるでしょうか。
 
「高額療養費制度」を活用すれば、その負担を軽くできます。手続きをしておけば、病院窓口での支払いを数万円程度まで抑えられることもあります。

■「高額療養費制度」とは?

医療費の負担が重くなりすぎないように、一定の金額を超えた分を「高額療養費」として支給してもらえる制度です。健康保険に加入している方(保険証を持っている方)なら誰でも利用でき、自己負担する医療費を抑えることができます。
 
この「自己負担が必要な金額」は年齢や収入などによって違います。例えば69歳以下の方の場合は次のとおりです。
 

出典:厚生労働省 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(※1)

 
加入している健康保険によっては、上記の表よりも上限額が低い(加入者に優しい)設定になっていることもありますので確認してみましょう。
 
通常は、いったん請求された医療費を全額支払って、あとから申請して超過分を支給してもらうという流れです。
 
しかし、それだと支給までに3ヶ月程度(※2)かかるため、一時的とはいえ負担が大きくなってしまいます。それが厳しいと感じるときは、「限度額適用認定証」を利用しましょう。

「限度額適用認定証」とは?

「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」があれば、多額の医療費をいったん立て替える必要はありません。病院の窓口で支払うのは、基本的に決められた限度額だけで済みます(自分で希望して受けた先進医療の費用や差額ベッド代は別途かかります)。

■どうやって手に入れる?

限度額適用認定証を入手するには、加入している健康保険で手続きする必要があります。自分が加入している健康保険の種類は、保険証を見ればわかります。
 
「全国健康保険協会」「○○健康保険組合」「○○共済組合」などと書いてあったらその団体で、「後期高齢者医療」と書いてあればお住まいの市町村役場の後期高齢者医療を担当する窓口(※3)で、市町村名が書いてあればその市区町村役場の国民健康保険の窓口で手続きできます。
 
今は各団体や自治体のホームページで、申請に必要な書類が公開されていることが多いです。印刷して、記入例を参考に空欄を埋めて郵送すれば、窓口まで行かなくても手続きを完了できますのでチェックしてみましょう。
 
全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、申請書を郵送してから1週間ほどで、申請書に書いた住所あてに認定証が届くことになっています(※4)。

■どうやって使う?

病院の窓口で、保険証と一緒に提示します。入院手続きのときに提示するのが理想(※4)ですが、もし申請が間に合わず手元にない場合などは病院に相談してみましょう。入院時だけでなく、外来診療や薬局でも使えます。

医療費が高額になったら迷わず制度を活用しよう

もし病院で治療を受けてお金のことが心配になったら、こうした公的な制度の情報を集めて活用し、回復に専念できるようにしましょう。
 
高額療養費だけでなく、税金の負担が軽くなる医療費控除、自己負担額をさらに抑えられる自立支援医療、無利子でお金を借りられる高額医療費貸付など、ほかにもさまざまな制度があなたや家族を助けてくれるはずです。
 
(※1)厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
(※2)厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成29年7月診療分まで)」
(※3)群馬県後期高齢者医療広域連合「ぐんまの高齢者医療」
(※4)全国健康保険協会「医療費が高額になりそうなとき」
 
(出典)
全国健康保険協会「限度額適用認定証をご利用ください」
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
厚生労働省「自立支援医療制度の概要」
全国健康保険協会 大阪支部「高額医療費貸付制度について」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表


 

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