更新日: 2020.08.21 その他暮らし

「テレワーク」=「在宅勤務」ではない?テレワークの3つの働き方とかかる費用って?

「テレワーク」=「在宅勤務」ではない?テレワークの3つの働き方とかかる費用って?
今や政府も推奨するテレワーク。
 
「ああ、在宅勤務のことですね」と答える人も多いですが、実は「テレワーク」と「在宅勤務」はイコールではありません。
藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

在宅勤務はテレワークの中の一形態

厚生労働省の「テレワークで始める働き方改革」(※)を見てみましょう。
テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」だと書いてあります。
 
そこでは、テレワークには3種類の形態があるとしています。
 
(1)在宅勤務
(2)サテライトオフィス勤務
(3)モバイルワーク
 
の3種類です。つまり、在宅勤務はテレワークの一形態なのですね。
 
企業によっては、「今後の働き方はテレワークを基本とする」と前向きな会社もありますし、「テレワークによって業務効率が向上しているのか疑問だ」などネガティブな意見を述べる会社もあるようです。
 
どちらにしても、「テレワーク=在宅勤務」だと決めつけないで、会社は「3種類のテレワークを組み合わせて業務効率が上がる方法を考える」としたらどうでしょうか?
 
それぞれ個人にはどんな費用がかかるのかを考えてみます。
 

在宅勤務にかかる費用あれこれ

(1)在宅勤務
 
【ほとんどの場合必要になるもの】
・電気代
・通信費
・光熱費(冷暖房)
・椅子(在宅勤務時に大きな影響を与えるのが椅子だといわれています)
・プリントアウト費用(コンビニプリント利用)
 
【あるといいもの】
・Web会議用のヘッドセットマイク、マイク&スピーカー
・照明(Web会議用)
・高速で安定している通信回線とルーター(Web会議には有線LANが安定していることが好ましい)
・パワーのあるパソコン
・プリントアウト用プリンター(購入)
 
【ほとんど必要になるもの】については、会社が支給してくれる経費から捻出することになります。支給してもらえない場合、椅子を除いては、毎月数千円以上の支出増になると思われます。椅子も良いものを買うとけっこう高いですよね。
 
【あるといいもの】については、会社が補助してくれる見込みは薄いかもしれません。特に高級な機材を買わないとしても、全部で5万円から10万円ぐらい見ておいた方がいいかもしれません。
 
なぜあるといいかというと、在宅勤務では「Web会議の時スムーズか?」が大きなポイントになるからです。ヘッドセットマイクなどはもちろん、安定した回線とパワーのあるパソコンでないと、スムーズにコミュニケーションできないという声が多いです。
 
さらに、「狭くて在宅勤務しづらい。リフォームだ!」「在宅勤務しやすい家を買うぞ」などということになると、どんどん費用は跳ね上がってしまいます。
 
日本の大手企業の多くは(一部導入しづらい業種を除いては)、今後在宅勤務をメインにしていこうとしています。もし会社が前向きな姿勢であれば、上記について交渉の余地があるのではないでしょうか? さすがに家は無理そうですが。
 

サテライトオフィス勤務にかかる費用あれこれ

【ほとんどの場合必要になるもの】
・サテライトオフィス利用料(月数万円または分・時間での料金精算)
・プリントアウト費用(サテライトオフィスの複合機で数十円/枚)
 
【あるといいもの】
・ロッカー費用(月数千円/月または都度数百円負担または無料)
 
勤務している会社からサテライトオフィス勤務を命じられた場合、すべて会社持ちの費用になるはずです。
 
そうではなくて、あくまで自費でサテライトオフィスを探そうということになると、前記のような経費がかかります。
 
サテライトオフィスを契約すれば、会社で仕事をする環境に近いものが提供されます。【あるといいもの】に入れましたが、ロッカーは必須に近いです。特にセキュリティの面から、ノートPCや大事な資料を置いておける、鍵のかかるロッカーは必要といえます。
 
テレワークの中でも、使いでの良さそうなサテライトオフィスですが、まず「家の近所または通勤経路にあるかどうか」という問題があります。わざわざ遠くまで移動するのであればメリットがなくなります。
 

モバイルワークにかかる費用あれこれ

【ほとんどの場合必要になるもの】
・コーヒー代、食事代、コワーキングスペース、ビジネス利用可のカラオケ店など場所利用代(数百円から1000円)
 
【あるといいもの】
・モバイルルーター(月数千円)
 
これは営業担当など外回りのメンバーが、今までもやっていただろう働き方で、スキマ時間にWi-Fiの使えるカフェなどで日報を書いたり、在庫を調べたり、メールチェックしたりするようなものです。
 
もう少ししっかり仕事をしようということになると、カフェではなくて、1時間数百円のコワーキングスペースを利用した方がいいでしょう。カフェでWeb会議をしている人を見かけますが、機密保持の観点からも好ましくないし、お店に迷惑をかけてしまいます。
 
カフェやコワーキングスペースの経費について、会社が補助してくれるという話はあまり聞いたことがありませんが、テレワーク補助金が出る会社であれば「その中でやりくりしてほしい」ということになるでしょう。
 
【あるといいもの】のモバイルルーターですが、カフェやコワーキングスペースなどのWi-Fiは、セキュリティ的に怪しいところがあります。できれば、自分のスマートフォンでテザリングするか、モバイルルーターを使うようにした方がいいです。
 
モバイルワークの穴場として勧めたいのが、都市圏の公立図書館です。電源やWi-Fiなどもそろっていて気兼ねなく仕事ができる図書館もあります。
 
もし、みなさんの会社が「テレワークを全面的に導入する」ということになったら、「この3種類のうちどれですか? 費用はどこまで持っていただけますか?」と、まずは交渉してみましょう。
 
[出典]
※厚生労働省「テレワークで始める働き方改革」
 
執筆者:藤木俊明
副業評論家


 

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