更新日: 2021.01.12 子育て
教育費を準備するなら「学資保険」 vs 「つみたてNISA」どっちがお得?
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
ライフプランは教育資金を優先
ライフプランのお金を考える時、優先で考えるべきは教育資金です。教育資金は住宅資金・老後資金と並んで、人生の3大支出と呼ばれています。いずれも多額の準備が必要で一度に準備することはできないので、住宅ローンを組んだり、コツコツ積み立てて備えることになります。
その中で、教育資金には「期限が決まっている」という特徴があります。まだ赤ちゃんで将来の進路が不明であったとしても、何年後に高校に入学し、その3年後に大学に入学するのは明確です。
一番お金が必要になる大学進学時に必要な金額を準備する、つまり「いつまでに、いくら貯める」が明確なので、これを優先することで長期的な資金計画の全体像がイメージしやすくなります。
王道の学資保険が支持される理由
教育資金を準備する方法として、一番に思い浮かぶのは「学資保険」ではないでしょうか。名前のとおり「学校に行く資金を準備する保険」です。学校とは大学のことなので、一般的には18歳で満期となる設計です。誕生から18歳までコツコツ積み立てる貯蓄性の高い商品ですが、この商品は2つの役割を担っています。
1つ目は貯蓄機能です。貯蓄なら積立預金でも可能ですが、ご存じのとおり銀行預金は超低金利が続いています。学資保険の返戻率は100~105%程度です。中には100%を割り込む場合もあります。それなのに教育資金を準備するツールとして学資保険を利用している人が多い理由は、2つ目の保障機能があるからです。
もし契約者である親が死亡した場合、もしくは高度障害になった場合には、それ以降は保険料の払込を免除されます。そして約束の受取時期が来たら契約時に設定した金額を受け取ることができます。
学資保険の商品を選ぶ際は、比較サイトを利用することをお勧めします。比較しやすいのは返戻率ですが、保障の内容はもちろん、保険料の払込方法や保険金の受け取り方なども保険会社によって特徴があります。複数の商品内容を知ることは、自分の希望にあった商品を探す手助けになります。
死亡保険にはすでに加入しているので、学資保険は加入しなくても良いのでは? という方もいると思いますが、収入保障保険などの死亡保険は、主に残された家族の生活費を支えるためのものです。もしもの時に教育費を確保する手段として、費用を分けておくことは有効だと考えます。
つみたてNISAの利用
小学1年生の女子の母親であるSさんから、相談がありました。
「子どもの教育費を準備するために“つみたてNISA”に挑戦したいのですが、商品が多く選ぶのに困惑しています。選び方のアドバイスをください」
先述しましたように、教育資金には設定期限があります。
「株価が急落したので資産が減ってしまい、入学金に足りません。入学を来年に延ばせませんか」
このようなことは許されません。教育資金は安定性を重視した方法で準備することがセオリーです。
ですが“つみたてNISA“は、長期積立することでリスクを減らす工夫が施されています。投資対象は投資信託なのでリスクを伴いますが、長く続けることでリスクを平準化することに加え、運用益は非課税なので運用効率が良いという税法上のメリットを享受できます。
さて商品選びです。つみたてNISAを使って長期運用で資産を殖やしたいというのなら、株式を中心にした値動きの大きい投資信託を選ぶことも一案ですが、先述したように教育資金の準備が目的ならリスク(値動き)は少なくしておくことが安心です。
候補としては株式や債券など複数資産に投資するバランス型です。バランス型はファンドの中でリバランスもしますので、手続き後は積立を続けるだけで手間はかかりません。
子育て中のママには使い勝手が良いと思います。バランス型に絞った上で、信託報酬や資産構成比、ファンドの実績などを比較検討してさらに商品を絞り込んでいくと良いと思います。
Sさんの場合は積立期間が10年以上あります。毎月2万円ずつ10年間積立投資をした場合の積立累計額は240万円ですが、年率2%で運用すれば265万4393円、3%ならば279万4828円になります。
保育の無償化などの子育て支援や教育費を支援する政策が進められています。一方で大学の進学費用は増加しています。学資保険や“つみたてNISA”などをバランスよく利用することがお勧めです。
すべての資産形成に共通することですが、「途中で止めないこと」が目標達成につながります。また「いくら」という目標が決まっている以上、短期間では無理が生じます。そのためにも1日も早く準備を始めることが大切です。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士