更新日: 2021.02.02 その他暮らし
コロナ禍とGo To トラベルで影が薄くなったあの「きっぷ」。次に備えて覚えておきたい2つのポイントとは?
こうした状況のもとで今は影が薄くなっているのが、あの「きっぷ」でしょうか……。
執筆者:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。
「青春18きっぷ」とは
それは「青春18きっぷ」です。2020年12月23日の新聞の片隅に、コピーで偽造して悪用されたという記事がありました。その内容はさておき、マニア向けのマイナーな商品といったイメージもある青春18きっぷがこんな報道によって、図らずも知名度アップしたかもしれません。
その商品概要は、ざっと次のとおりです。
◇JRグループの特別企画乗車券で、名前のイメージとは違い年齢に関係なくどなたでも買えます。
◇2020年の発売価格は1万2050円(おとな・こども同額)。1人で5回分または5人までのグループ利用ができます。
◇全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席などが1回あたり2410円で1日乗り放題(24時を過ぎて最初に到着する駅まで。東京・大阪の電車特定区間では終電車まで)。新幹線・特急・急行は利用できません(ごく一部の例外あり)。
◇2020年のスケジュールは2月7日に公表され、【図表1】のとおりでした。2021年も同じ頃の公表が予想されます。
現行ダイヤ(2021年1月8日時点)で例えば、東京駅を朝5時前に出発して在来線を西にひたすら乗り継ぐと、24時ちょっと過ぎに福岡県の小倉駅に到着します。正規料金1万3460円のところ、わずか2410円で列車の旅を堪能できるのです。
メリットは、安く旅ができること。デメリットは、移動に時間がかかり、発売や利用の期間も限られ、しかも代表的な行楽シーズンの秋季に設定がないことなどでしょう。
意外かもしれない2つのポイント
こんな青春18きっぷですが、「おやっ」と意外に思われるかもしれないポイントを2つだけ挙げておきます。
(1)飛行機(LCCや割安チケット)との組み合わせが効果的な場合もある
移動に時間がかかる(かかりすぎる)デメリットに対して、別料金を払って1日の旅程の一部に新幹線や特急を組み込めば、時間を節約しながら遠くまで移動できます。
この「新幹線や特急」を「飛行機」に置き換えても、同じ効果が得られる場合があります。1日中ずっと鉄路で「地に足がつく」必要はなく、まさに「飛び道具」を組み合わせる発想です。
正規の航空運賃はかなり高額ですので、LCCや割安チケットを利用することが前提のひとつ。そして空港と最寄りJR駅が近いことも、前提になるでしょう。
例えば、東京駅から小樽方面に向かうため成田空港でLCCを利用する場合、JR普通列車での移動運賃は、[東京駅から空港第2ビル駅:1340円]と[新千歳空港駅から小樽駅:1910円]で3250円。これを1回分2410円で利用でき、小樽観光のあとJR線でさらに足を伸ばしたり札幌に戻ったりすれば、おトク度はさらに増えます。
もちろん、出発空港と到着空港を結ぶ航空便の本数・ダイヤ・料金などにもよって、使い勝手はよりけりです。そんな前提はあるものの、最寄りJR駅と近接する(あるいはまあまあ近い)空港は上記以外にも、関西、神戸、福岡、宮崎などいろいろあります。
(2)秋季だけ設定がないが、実は別のおトクなきっぷがある
以前も書きましたが、実は「秋の乗り放題パス」(※)があります。2020年は[発売期間]9月12日~10月23日、[利用期間]10月3日~10月25日、[価格(おとな)]7850円でした。
青春18きっぷに比べて、3日連続でしか利用できず、複数人でのシェア利用もできないなど使い勝手が劣り、1日あたり単価もやや割高(約2617円)。しかし、全国のJR線普通列車などが乗り放題になる点は同じです。
秋季には青春18きっぷがない。そんな残念な思いをリカバリーしてくれる存在かもしれません。
まとめ
コロナ禍の先行きが見通しづらい状況で、また多彩な移動手段が組み込まれて割引等の支援も手厚いGo To トラベル事業と比較されてしまうと、青春18きっぷの存在感は、あまり高くはない印象です。
しかし、時限的なGo To トラベル事業は終了し、コロナ禍もいずれは落ち着くでしょう。そしていろいろなスタイルの旅をまた楽しめるようになれば、今回ご紹介したようなポイントも含めて、青春18きっぷなどの魅力度は再びアップしていくと思われます。
[出典]
(※)JRグループ「『秋の乗り放題パス』及び『秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券』の発売について」(2020年8月25日)
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士