【相談実例】夫婦で一緒に住宅ローン。ペアローンのメリット・デメリット

配信日: 2019.01.07 更新日: 2020.07.03

この記事は約 5 分で読めます。
【相談実例】夫婦で一緒に住宅ローン。ペアローンのメリット・デメリット
夫婦共有名義でマイホームを購入し、それぞれの持ち分に合わせて住宅ローンを借り入れているというご家庭は、今どき珍しくありません。しかし、一般的にはやはり、夫婦のどちらか一方が名義人になるケースが多いですよね。
 
今回は、不動産を共有名義にする場合のメリット・デメリットについてお伝えしていきたいと思います。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

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夫婦でローンを組むということは?

マイホームを夫婦で一緒に買おうという場合、少なからず理由があります。
 
よくあるのは、夫の収入だけでは希望するマイホームを買うことが難しいため、妻の収入も当てにして住宅ローンを組むケースです。
 
このような状況に直面した場合、みなさんならどのように考えますか。
○夫婦で力を合わせてマイホームを買う。
○無理して希望するマイホームは買わない。
○希望するマイホームを考え直し、手の届く範囲でマイホームを買う。
 
マイホームを買う前のご相談では、実際、ハウスメーカーから提示されている物件を変更して、別のマイホームを購入した方もいます。
 
また、購入後のご相談では、背伸びをしてマイホームを買ったため、住宅ローンの返済が苦しくなり、家計を見直したというご家庭もあります。
 
FP事務所としては相談者の意向をヒアリングし、なるべく希望がかなうように努力しますが、実を言うと、後者のご相談は比較的難易度の高い案件と位置づけています。
 
なぜならば、購入後のライフステージの変化を想定していないケースが目立つからです。
 
このようなご相談では、次のような問題が後から出てきます。
〇家族構成の変化
〇就労状況の変化
〇所得の変化
 
人生、何が起こるかわからないものです。
 

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ペアローンの相談実例と、見直し対策

「夫婦で一緒にマイホームを買いました。主人と私の持ち分比率は7:3です。第2子の出産を予定していますが、出産にともない仕事を休もうと考えています。世帯年収が減るため、今のうちに住宅ローンの借り換えをしようと話し合っていますが、将来の家計も含め、どうしたらいいかを相談したいです」
 
これは、実際にあったご相談です。
 
このご相談例では、第2子の出産を予定しているということでしたが、家族が増えると支出も増えます。また、出産にともない、それまで働いていた奥さまが仕事を休む必要も出てくるため、世帯の収入が減ります。
 
そして、すでに夫婦で住宅ローンの返済を行っているわけですから、このようなライフステージで住宅ローンの名義変更をしようとすると、銀行としては住宅ローンの借り換えを渋る傾向があります。
 
夫婦で住宅ローンを借りる場合、銀行では「ペアローン」という住宅ローン商品を扱っています。
 
このメリットは、配偶者もローンを組むことで、世帯主ひとりでは通らない住宅ローンの審査をクリアし、希望するマイホームに手が届きやすくなるという点です。
 
借りるときは夫婦の収入を合算するため、銀行はお金を返す能力が十分あると考えます。しかし、そのご家庭の状況が変わり、いざ、住宅ローンを見直そうとすると、夫婦共有でお金を借りていることがネックになり、夫婦の一方だけが住宅ローンを借りているご家庭と比べて借り換えが極端に難しくなります。
 
ペアローンのデメリットはこれなんです。だからこそ、ファイナンシャル・プランナーとしては、夫婦で一緒にマイホームを買おうとする場合、希望する物件についてよく検討し、無理のない範囲で住宅ローンを組むようにすることをおすすめしています。
 
最も重要なポイントは総返済比率(収入に占めるさまざまなローンの返済額の割合)です。
 
世帯主ひとりで住宅ローンを借りる場合と比べ、夫婦でペアローンを組む場合は世帯年収が多くなるため、一見、総返済比率は低いように映ります。
 
しかし、状況の変化で片方の収入が減ってしまうと、総返済比率は高まります。このようなことから、夫婦で一緒に住宅ローンを組もうという場合は、これを未然に防ぐため早めの対策が必要になります。
 
対策として有効な方法は、ペアローンを組む前の「家計の見直し」と「資金効率の見直し」です。
家計の見直しでは、「基本生活費」「自動車関連費」「生命保険・損害保険の保険料」があげられますが、資金効率の見直しでは、「保険の見直し」や「資産構成の見直し」が必要になってきます。
 
このような対策をしたうえで、さらに、家計について将来の資金シミュレーションをして、どのようにペアローンを組むべきか検討します。
 

まとめ

家計は「家を経営すること」です。
 
ということは、自分が経営者となって運営するということです。借り換えをする場合は特に、家計力を身につける必要があります。
 
今回は、極端な例とも思えるような内容でしたが、実感として、マイナス金利政策実施以降このようなケースが珍しくなくなっていると考えています。
 
ペアローンで住宅ローンを組む場合は、十分検討したうえで実行するようにしましょう。
 
次回は、マイホームの補助金や助成金についてお伝えしていきます。
 
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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