住宅ローン控除の条件とは?対象物件や注意点を解説

配信日: 2019.12.22 更新日: 2021.02.12

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住宅ローン控除の条件とは?対象物件や注意点を解説
住宅の購入は一生の中での3大支出の1つともいわれ、基本的には現金一括で購入するケースはほぼないといっても良いでしょう。
 
住宅購入の際はほとんどのケースで「住宅ローン」を利用しますが、この住宅ローンには「住宅ローン控除」という税制の優遇が設けられています。今回は、その住宅ローン控除について説明します。
 
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度のことです。
 
自分が住むための住宅をローンで購入した場合において、「一定期間の間、一定の割合に相当する金額」が、所得税から控除される制度のことをいいます。そしてこの制度を利用することで、住宅を購入する際の経済的な負担を軽減できます。

■住宅ローン控除の条件について

住宅ローン控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
1.自分が居住するための住宅の購入であること(投資用物件や別荘などは対象外)
2.床面積の合計が50平方メートル以上であり、その2分の1以上が自分の居住部分であること(マンションの場合は、階段や通路など共用部分は含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断)
3.新築した日または購入した日から6カ月以内に居住しており、引き続きその年(住宅ローン控除を受けようと思っている年)の12月31日までに居住していること
4.住宅ローン控除を受けようと思っている年の収入が3000万円以下であること
5.住宅ローンの借入期間が10年以上であること
6.住宅ローンの借入先が勤務先である場合、その利率は0.2%以上であること
7.居住した年の前後各2年間(合計5年間)に、もと住んでいた家を売るなどして「3000万円の特別控除」や「10年超保有の税率の軽減」などの他の税金の優遇措置を受けていないこと

 
また、中古住宅を購入する場合は、上の7つの条件以外にも以下の条件を満たすことが必要です。
 
1.20年以内に建築されたものであること。(マンションなどの耐火建築物については、築25年以内であること。)
2.築20年以上の木造などの非耐火建築物については、耐震基準適合証明や住宅性能評価等を受けていること。

 
新築物件、中古物件に限らず、親や親族からの購入または贈与により取得されるものでないことも条件です。
 

住宅ローン控除を受けるための方法

会社員など給与所得者の場合であれは、あらかじめ所得税を概算額で計算し源泉徴収を行っているため、年の途中で住宅を購入した場合については、会社側がその事実を把握できず、源泉徴収へ反映できません。住宅を購入した初めての年については、各自で確定申告を行う必要があります。

■初年度(確定申告)

初年度の確定申告は、自宅住所の管轄税務署に対し、取得した住宅に住み始めた日の翌年1月1日から3月15日までに行う必要があります。その際の必要書類については以下のとおりです。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本)
:住宅ローンの残高が分かる書類で、金融機関から送付されてくるものです。2カ所以上の金融機関から借りている場合は、その全ての残高の証明書が必要となります。
・住宅の登記事項証明書(原本)、または住宅の請負契約書の写し、または売買契約書の写し(住宅だけでなく土地も取得した場合は、次の書類も必要です。「土地の登記事項証明書」「土地の購入に係る契約書の写し」)。
 
申告書や計算明細書は税務署に行けばもらえるほか、国税庁のホームページ(※1)からのダウンロード、電子入力で作成できます。また、申告についても税務署に直接出向く方法以外にも、郵送やインターネットによる電子申告も可能です。
 
申告をすると、大体1ヶ月半前後で納めた所得税が還付され、申告書に記載した自分の口座に還付金が振り込まれます。したがって、なるべく早く還付を受けようと思うのであれば、上述した期間内で早めに申告を行うようにしましょう。

■2年目以降(年末調整)

2年目からの住宅ローン控除については、年末調整で行うことが可能です。大体10月の下旬頃に税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」という書類が送られてきます。
 
1年目については確定申告で行っているので、残りの9年分(9枚)が一緒に送られてきますので、紛失しないように気を付けるようにしましょう。
 
そして、11月に入ると会社から年末調整の申告用紙が配られます。その中に「住宅ローン控除申告書」があるので、それに記入し、上述の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」に、金融機関から届く「住宅ローンの年末残高証明書」を添付して提出します。
 
確定申告と異なり、年末調整で住宅ローン控除を申請した場合は、12月の給与に上乗せする形で振り込まれるのが一般的です。

■税額控除のメリットについて

住宅ローン控除は「所得控除」ではなく「税額控除」です。所得控除が所得税を計算するために課税所得から控除されるものであるのに対し、税額控除とは、計算された所得税から差し引かれるものです。従って、節税効果は後者のほうが大きく、活用すべきメリットも十分にあるといえるでしょう。

■確定申告書の書き方

確定申告については、現在ではほぼパソコンで入力して作成することが可能です。国税庁のホームページには、作成のためのサイト(※2)が設けられています。
 
今まで確定申告を行ったことがない方でも、わかりやすく利用するためのガイドも同サイトに用意してありますので、それを見ながら入力していけば問題ありません。
 
その中で住宅ローン控除を利用する際の画面は以下の画面になります。この画面にて「住宅借入金等特別控除」にチェックを入れ、源泉徴収票などの資料を基に金額を入力してください。
 

 
全ての入力が完了し、印刷して提出するのであれば、控えも全て印刷して押印のうえ、提出するようにしましょう。
 

住宅ローン控除額はいくら?

控除金額は住宅ローンの年末残高の1%で、控除限度額は最大40万円となっています。控除期間については今までは10年間でしたが、2019年10月の消費税増税に伴い、減税制度の拡充として控除期間が13年間に延長されることとなりました。
 
ただし、この13年間の控除対象となるのは、消費税10%で住宅を取得して、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した方に限定されますので注意してください。

■ケース1(所得税から全額控除する場合「税額控除」)

もし、その年の年末時点での住宅ローンの借入残高が3000万円あったとしましょう。控除できる額はその1%ですので、30万円が所得税から引かれます。
 
ただし、ここで注意したいのは、所得税が30万円以下である場合です。引ききれなかった部分についてはどうなるのでしょうか? その場合は以下のケース2によることになります。

■ケース2(所得税から全額控除できなかった場合「住民税からの控除」)

上述のケース1の場合で、例えば所得税が20万円であったため、税額控除を使っても20万円までしか引くことができなった場合においては、その翌年の住民税から引けなかった残り分を差し引くことが可能です。
 
その際の住民税からの控除額は「課税総所得金額の7%かつ上限13万6500円」となっていますので、もし、課税所得金額が400万円だった場合、「400万円×0.07¬=28万円、かつ上限13万6500円」となることから、翌年の住民税から控除できる額は13万6500円です。
 
その際の計算式ですが、翌年の住民税が15万円だった場合、「住民税額15万円 – 13万6500円」となり、最終的な住民税額は1万3500円となります。
 

住宅ローン控除を受ける際の注意点

借入金額が多いほど、控除される金額も大きくなることから、「できるだけ借入金額を多くしてローンを組もう」と考える人もいます。
 
しかし、借入金額が大きくなるということは、その分それにかかる手数料(融資手数料や団体信用生命保険料、登記費用)も大きくなりますし、返済方法が元利均等返済であれば、その分毎月の返済額における利息分充当割合も大きくなりますので、元本がなかなか減らないということにもなりかねません。
 
住宅ローン控除はありがたい税制優遇措置ではありますが、そればかりに頼る考え方は禁物です。
 

すまい給付金との違い

「すまい給付金」とは、自らが居住する住宅を取得した際、給付金が支払われる制度です。新築住宅、中古住宅ともに対象となります。ただし、指定の検査を受けるなど、住宅の品質や耐震性等が確認できることなどの条件をクリアする必要があります。
 
その給付額については、住宅所得時に適用される消費税率に応じ設定されています。最終的には住宅購入者の収入額(都道府県民税の所得割額)によって給付基礎額が決まり、その給付基礎額に登記上の持分割合を乗じた額(千円未満切り捨て)が給付されることとなっています。
 

まとめ

最近は住宅ローンの金利もかなり低くなってきました。従って、「住宅ローン控除を利用することで、支払った住宅ローンの利息以上の節税が可能になることがある」とも言えます。
 
このことを念頭において、その年の借入残高と申告した場合に戻ってくる金額についても事前にきちんと確認して、上手に活用するようにしましょう。
 
(※1)国税庁ホームページ
(※2)国税庁「確定申告書等作成コーナー」
 
(参考)財務省「住宅ローン減税制度の概要」
国税庁 「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
    「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
    「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」
    国土交通省「すまい給付金」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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