更新日: 2021.02.12 住宅ローン

フラット35の審査に落ちた…。住宅ローンはもう諦めるべきでしょうか?

フラット35の審査に落ちた…。住宅ローンはもう諦めるべきでしょうか?
審査の基準が比較的緩く、申し込みやすさで親しみのあるフラット35ですが、もちろん申し込んだからといってすべての方が審査に通るとは限りません。もし、フラット35の審査に落ちてしまっても、今後一切の住宅ローンに申し込めないということではありません。
 
今回は、フラット35の特徴と、フラット35の審査に通らない理由として考えられるものを挙げ、さらに審査に通らなかった際の対処法についても解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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フラット35とは?

フラット35とは、国土交通省と旧住宅金融公庫(財務省管轄)の業務を引き継いだ独立行政法人である住宅金融支援機構と、民間の金融機関が提携して融資を行う住宅ローンのことです。したがって、フラット35を申し込む際には、住宅金融支援機構に申し込むのではなく、提携している金融機関に申し込むこととなります。
 
フラット35は、全期間固定金利であることが特徴で、さらに一般の金融機関では加入を必須としている団体信用生命保険に加入しなくても利用できることから、健康状態に不安がある方でも申し込むことができます。保証人不要で利用できるほか、繰上げ返済手数料についても無料となっているところが特徴です。
 
フラット35にはさまざまな種類があり、住宅の状況や借り入れする人の状況によってプランを使い分けることができます。参考までに、フラット35に用意されているプランの一部についてご紹介します。
 

1.フラット35

通常の返済期間が最高35年間の住宅ローンです。金利はもちろん全期間固定となっています。

 

2.フラット20

フラット20とは、フラット35のうち、借入期間を15年以上20年以下で選択した際に利用できるものです。フラット35よりも低金利で借入できますが、借入後に返済期間を20年以上に延ばすことはできません。

 

3.フラット50

長期優良住宅を取得した場合に利用でき、返済期間を最長50年に設定できます。
 
長期優良住宅とは、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)の規定により、認定の通知を受けた長期優良住宅建築等計画に基づき建築等が行われた住宅です。長く安心・快適に暮らせる優良な住宅として、国が定めた基準を満たし認定を受けた住宅のことをいいます。
 
フラット50は、住宅ローン付きで売却が可能であったり、フラット35またはフラット20との併用が可能であったりすることも特徴です。

 
ここで紹介したプラン以外にも、リノベーション用のプランやリフォーム一体型のプランも用意されていますので、詳細をもっと知りたい方は住宅金融支援機構の公式サイトで確認してみてください。
 
(参考:住宅金融支援機構「フラット35」(※1))
 

フラット35の借入条件

フラット35では、借入の際の条件として以下を挙げています。
 

1.申し込み年齢

満70歳未満であること(外国籍の場合は「永住者」または「特別永住者」の資格が必要)。
 

2.総返済負担率

総返済負担率とは、年収に占める年間合計返済額の割合のことをいい、フラット35では以下のとおり設定しています。
 
■年収400万円未満:30%以下
■年収400万円以上:35%以下
 
一般の金融機関の多くが20%以下と設定していることを鑑みると、かなり緩い条件となっていることが分かります。
 

3.借入額

100万円以上8000万円以下(1万円単位)
 

4.返済期間

15年(申込者本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上で、80歳から申込時の年齢(1年未満切り上げ)を引いた年数もしくは35年のいずれか短い方。
 

5.借入対象となる住宅

住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅で、住宅の床面積が以下の基準をクリアするもの。
 
■戸建て:70平方メートル以上
■マンション:30平方メートル以上
 

フラット35の審査に落ちる理由

では、フラット35の審査に落ちてしまう理由について以下に解説します。
 

1.希望の借入額が大きすぎる

上で説明したとおり、フラット35では総返済負担率を公式サイト上に明記しています。つまり、この条件に当てはまらない場合は審査に通らないということです。年収に対する希望借入額があまりにも多すぎると、当然総返済負担率も上がります。その結果審査に通らないという結果になります。
 

2.信用情報に傷がある

これはフラット35に限らず、どの住宅ローンにもいえることです。住宅ローンは高額の融資を行う性質上、金融機関は必ず申込者本人の信用情報を信用情報機関に照会します。その際に、過去に滞納があったなど、信用事故が登録されていた場合は、審査に通過するのは難しいと思ってください。
 

3.他のローンの借入残高が多く残っている

住宅ローンの審査の際には、現在他の借入がないかも必ずチェックします。他のローンを利用しており、かつその借入残高が多い場合は、今後の返済に影響が出るのではないかと考えられ審査に不利な影響を及ぼすことがあります。
 

4.借入対象物件が住宅金融支援機構の定めた技術基準をクリアしていない

フラット35の借入対象物件は、新築や中古などで基準項目を細かく設定されています。また、戸建てとマンションでも内容が細かく分かれています。利用の際には第三者である適合証明検査機関または適合証明技術者が物件の調査を行っており、その基準に満たないと判断された場合はフラット35を利用できません。
 
(参考:住宅金融支援機構「フラット35の対象となる住宅・技術基準」(※2))
 

フラット35の審査に落ちた際の対処法

フラット35の審査に落ちた際には、まず落ちた理由を考えましょう。
 
例えば、年収に対して希望借入額が大きいことが分かれば、希望借入額を少なくするために頭金を用意する、もしくは収入を上げるなどの方法を考えましょう。また、現在他に借り入れしているローンがあるのであれば、まずはその返済を行いましょう。
 
借入対象物件が基準を満たしていない場合は、購入物件を見直すか、フラット35以外の住宅ローンを利用するしか方法はありません。フラット35は、借入対象物件の基準が1つでも基準項目を満たしていないと審査に通ることはできません。したがって、前もって審査に通過できる物件かどうかを調べておくことも大切です。
 
また、上の内容に思い当たる原因がないということであれば、自分の信用情報を疑ってみましょう。特に過去に起こした滞納などは、忘れていることも少なくありません。
 
しかし、信用事故情報は、内容にもよりますが、5年程度は残っています。不安に感じた場合は、信用情報機関に対して情報の開示を請求してみましょう。インターネットでも受け付けていますし、手数料も1000円程度で行うことができます。この情報の開示は本人でなければ受け付けてもらえませんので、必ず本人が行うようにしてください。
 
また、審査に落ちたとしても問題点が解決できれば再度申し込むことは可能です。ただし、その際には前回の申し込みから半年以上たってから再度申し込むこともポイントです。
 
なぜなら、審査に申し込んで落ちたという情報についても信用情報機関に半年間登録されるからです。したがって、再度申し込む際にはその時期についても注意しておきましょう。
 

まとめ

冒頭で述べたとおり、フラット35の審査に落ちたからといってすべての住宅ローンに申し込めないということではありません。その時の自分の置かれている状況やその後の環境は常に変わります。
 
一度審査に落ちたからといって諦めるのではなく、まずなぜ審査に通らなかったのかを考え、そして次の申し込みができるまでの半年間に、審査に通過できるよう努力することが大切です。
 
(※1)住宅金融支援機構「フラット35」
(※2)住宅金融支援機構「フラット35の対象となる住宅・技術基準」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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