住宅ローン減税。住民税から控除される場合とは?
配信日: 2021.02.05 更新日: 2021.02.12
住宅ローン控除における控除額の計算方法についても併せて解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した際に、その後一定期間にわたり、住宅ローン残高から算出した金額を所得税から控除するもので、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローン控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
1.新築または取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること(住宅ローンの名義人が亡くなった場合は、その日まで引き続き住んでいること)。
2.この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3000万円以下であること。
3.新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分がもっぱら自己の居住の用に供するものであること。
4.新築または取得のための一定の借入金の返済期間が、10年以上にわたるものであること。
5.勤務先からの借入金の場合で利子が0.2%以上であること。
6.新築または取得した家屋をその居住の用に供した個人が、その新築または取得をした家屋及びその敷地の用に供している土地等以外の資産について、令和2年4月1日以後に譲渡した場合においてはその居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間、令和2年3月31日以前に譲渡した場合においてはその居住の用に供した年とその前後2年ずつの計5年間の期間について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。
これらの要件については、2021年度税制改正によって、以下のとおり変更となることにも注意してください。
住宅ローン控除を受けるための手続き
住宅ローン控除の適用を受けるためには、1年目は必ず確定申告を行う必要があります。その際には、確定申告書及び住宅借入金等特別控除額の計算明細書や住民票の写し以外にも登記事項証明書などを用意して提出する必要があります。
2年目以降は、必要事項を記載した確定申告書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、ローン残高証明書の3点を提出します。会社員であれば、年末調整を行うことで適用が可能です。この場合、税務署から送付される書類(住宅借入金等特別控除証明書)にローン残高証明書を添付して、勤務先に提出してください。
住宅ローン控除を受けるには会社員でも確定申告は必要?
住宅ローン控除の適用を受ける際、1年目は会社員でも確定申告が必要となります。確定申告書Aのほか、住宅ローン控除の適用を受ける際に必要な書類を用意し、必要事項を記入したうえで、確定申告期間内に管轄の税務署に提出しなければなりません。
控除額の計算方法
住宅ローン控除の適用を受けることができる期間は、本来は最長10年間でしたが、2019年10月1日以降は13年へと一時的に延長されています。そして、10年目までとそれ以降の場合の控除額の計算方法が異なることにも注意が必要です。
では、それぞれの控除額の計算方法を見ていきましょう。
(控除を受ける年の12月31日時点の住宅ローン残高もしくは住宅の取得金額のどちらか少ない金額)×1%(ただし、40万円を限度とする)
この控除限度額については、控除を受ける対象の住宅によって異なりますので注意してください。
・認定長期優良住宅等の場合の控除限度額:50万円
・売主が個人である中古住宅を購入した場合の控除限度額:20万円(ただし、その住宅が認定長期優良住宅等の場合は30万円となる)
控除を受ける年の12月31日時点の住宅ローン残高×1%、もしくは(建物の取得価格×2.0%÷3)で求められる値のどちらか少ない額
この場合の建物取得価格について、一般住宅の場合4000万円、認定長期優良住宅等の場合5000万円が上限です。
どんなときに住民税から控除される?
住宅ローン控除額は、まず所得税から控除されますが、控除しきれなかった部分は住民税から控除できます。ただし、住民税から差し引くことができるローン控除の限度額は、前年分の所得税の課税総所得金額等の7%で13万6500円が限度となっているため、全額が控除できるとは限らないことに注意してください。
住民税から控除してもなお残った部分については、それ以上所得税から控除されることはありません。具体的に以下のケースで計算してみましょう。
・社会保険料控除額:100万円
・年末における住宅ローン残高:3000万円
(※計算において、所得控除については給与所得控除、社会保険料控除及び基礎控除のみを反映させるものとする)
年収が600万円の場合の給与所得控除額は164万円となることから、所得税額の計算は以下のとおりです。
(600万円-164万円-48万円-100万円)×10%-9万7500円=19万500円
そして住宅ローン残高の1%の30万円が住宅ローン控除額となるわけですが、所得税が19万500円ですので、30万円を引いても10万9500円残ります。それを住民税から差し引くことができます。住民税から控除できる金額は13万6500円が限度ですが、限度額まで達していないことから、残った10万9500円全額が住民税から控除されることになります。
まとめ
住宅ローン控除は、13年間適用されるとしても、11年目から13年目の控除額の計算が10年目までの計算と異なります。さらに、所得税から引かれなかった部分については住民税から控除されますが、それにも限度額があることを覚えておきましょう。
なお、住民税から控除を受ける際の手続きは、確定申告及び年末調整を行った時点で住民税の計算も自動的に行われることになるため必要ありません。
住宅ローン控除は、この度の改正により床面積が拡充されることになりました。しかし、床面積が40平方メートル以上50平方メートル以下の住宅の場合、「住宅ローン控除を受けようとする年の年間合計所得金額が1000万円以下」という要件がありますので注意が必要です。
住宅ローン控除の制度は、今後も計算方法などさらなる改正が予想されますので、今後の制度改正の動きについても情報収集を怠らないようにしておきましょう。
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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