更新日: 2021.04.16 住宅ローン
こんな人は住宅ローンを断られる! 3大理由と対策は?
では、一般的にどのような理由で住宅ローンの申し込みを断られるのでしょうか。今回は住宅ローンを断られる理由について解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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審査基準を満たしていない
住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なりますが、どの金融機関にも共通している審査項目というものも存在します。住宅ローンの審査を通過するには、最低でもその項目をクリアする必要があります。
■住宅ローンの審査において考慮される項目
国土交通省が発表している「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、1位が完済時年齢となっており、ほとんどの金融機関では80歳未満で完済できるかどうかが基準となっています。つまり、借入時の年齢よりも完済時の年齢のほうが、審査において重視されるということでしょう。
2位は健康状態となっています。住宅ローンの申し込みでは、団体信用生命保険への加入が必須となっている金融機関がほとんどですので、健康状態に問題があり、加入できない場合には審査に通らないということになります。
また、3位には担保評価が挙げられています。住宅ローンの審査では、その担保となる物件の評価を行います。その際、その物件の価値が低い場合には、審査の結果、希望した借入額に満たない融資額になる可能性もありますし、最悪の場合は審査に通らない可能性もあります。
(参考:国土交通省「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」(※))
■本人の属性として重要な3要素
住宅ローンの審査に落ちてしまう要因として、前述のとおり、完済時年齢・健康状態・担保評価が基準を満たしていないケースが挙げられていますが、それ以外に審査で見られるのが、住宅ローン申込者本人の属性です。「年収はいくらなのか」「勤務年数や勤務先の情報」「信用情報に傷はないか」というところは確実に見られるところだと理解しておきましょう。
■年収
住宅ローンの申し込みにおいて、一定以上の年収を条件としている金融機関は多いです。最近では、前年の年収が200万円以上という金融機関もありますが、年収が基準を満たしていれば審査に通りやすいというわけでは決してありません。なぜなら、金融機関は年収を基にして総返済負担率がどのくらいになるのかをチェックするからです。
ポイントは総返済負担率
総返済負担率は、住宅ローンの審査において重要なポイントです。審査における総返済負担率の項目は、上記の国土交通省の報告の中でも考慮される項目の第9位に位置しており、どの金融機関においても重視していることがうかがえます。
総返済負担率の目安はどのくらい?
審査における総返済負担率は、金融機関によって異なります。フラット35では、公式サイト上で年収による総返済負担率を明記していますが、一般の金融機関では明記されているところはほとんどありません。
通常、無理のない総返済負担率は20~25%といわれていますが、そもそも総返済負担率とは、「年収における年間返済額の割合」のことで、この年間返済額には住宅ローン以外の返済も含まれます。
さらに、年収とは社会保険料や税金が引かれていない金額ですので、実際には手取り額でどのくらい返せるのかを考える必要があります。したがって、総返済負担率については最高でも20%と考え、できれば15~18%程度くらいまでに抑えておくほうが、無理なく返済を続けていくことができるでしょう。
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勤務年数や勤務先の情報
勤続年数が短い場合、住宅ローンの審査において不利になることがあります。なぜなら、就職や転職したばかりで勤続年数が短い場合は、その先も継続して安定した収入を得られるかどうかについては、確信が持てないと思われる傾向があるからです。
住宅ローンは長期間にわたって返済を続けていくものです。したがって、返済中になんらかの理由で返済が滞るかもしれないというリスクを、金融機関側はできるだけ回避しようと考えます。そのため、住宅ローンの融資条件を勤続年数3年以上と定めている金融機関も少なくありません。
また、勤務先の情報についても重視する傾向にあります。規模が大きく、社会的信頼のある勤務先であれば、そこに勤めている限り安定した収入が見込めると判断されるためです。したがって、例えば自営業者の場合は会社員と比べると審査が厳しくなることは否めません。
自営業者の場合は、会社の経営状態が審査の基準となります。申し込みの際には直近3年分の確定申告書の提出を必要としている金融機関が多いことからも、その基準の厳しさがうかがえるといえるでしょう。
信用情報に傷がある
住宅ローンの審査では、金融機関は必ず申込者の信用情報について、信用情報機関に照会をかけます。事故情報が載っている場合は、審査に通らないと思って間違いないでしょう。過去に延滞などの事故を起こしており、その情報が残っている間は住宅ローンの申し込みを待ったほうがよいでしょう。
住宅ローンの審査に通るための対策
では、住宅ローンの審査にできるだけ通るようにするためには、どのような対策を事前にとっておけばよいのでしょうか。
■金融機関の申し込み条件を確認する
住宅ローンの申し込み条件は、金融機関によって異なります。年収の条件を、前年の年収で200万円としている金融機関もあれば、300万円としている金融機関もあります。
また、勤続年数についても金融機関によって基準が異なることから、申し込み前に金融機関の公式サイト内にある住宅ローンの「商品概要説明書」の詳細をきちんと確認しておくようにしましょう。
年収が基準に達しない場合は、収入合算という方法を検討してもよいかもしれません。また、転職後などで勤続年数が少ない場合は、転職前の年数を加味してくれる金融機関もありますので、事前に相談することをおすすめします。
■住宅ローン以外の借り入れがある場合はできるだけ完済しておく
希望する借入額が多い場合は、できるだけ他の借入額を少なくする、または完済しておくとよいでしょう。また、申し込み後にカードローンやキャッシングなどで新たな借り入れを行わないようにすることも大切です。
■信用情報について確認する
自身の信用情報に不安がある場合は、信用情報機関に対して情報の開示請求を行うことで、事故情報が登録されているのか、登録されているのであればどのような情報でそれがあと何年残るのかについて知ることができます。「自分は延滞などしていないから、事故情報などあるはずはない」という思い込みは禁物です。申し込み前に徹底的に確認をしておきましょう。
まとめ
総返済負担率を下げる方法としては、頭金をできるだけ多くするなどの対策をするとよいでしょう。また、上記で紹介した、ほかの借り入れの完済などで対応もできます。ほかの借り入れすべての完済が難しければ、金利の高いものから完済していくようにするとよいのではないでしょうか。
そもそも借入額は、「本当に返せる金額かどうか」をしっかり確認するようにしてください。無理な借り入れを行い、後に返済が困難になることだけは避けなくてはいけません。事前にしっかりと対策を行いましょう。
(※)国土交通省「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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