【年収の何倍?】住宅ローンを組むときに熟考しよう! 借入金額の目安とは?
配信日: 2023.04.23
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
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住宅ローン借り入れ目安は年収の5倍
インターネットで「住宅ローン 年収 何倍」と検索すると、5〜6倍、7〜8倍など、さまざまな数字が出てきます。生活スタイルや支出状況によって、適切な倍数は異なるため、正解は人によって違います。しかし、あえて目安をいうなら、住宅ローンを無理なく返せるのは、世帯年収の5倍だと筆者は考えます。
筆者は、ふだんから子育て世帯のライフプラン相談を行っていますが、マイホーム購入可能な上限額を知りたいという相談をとても多くいただきます。その際、基本的には、年間の住宅ローン返済額は世帯年収の15%以内に抑えるようアドバイスをしています。15%以内であれば、将来支出が増えた場合でも、無理せず返済できると考えるからです。
そして、年収の5倍と考える理由は、年収の15%の返済を30〜35年続けた場合に住宅ローン返済額が年収の5倍となるためです。
下記の計算式より、5倍という水準を導き出しています。
年収× 15% × 30年=年収の 4.5倍
年収× 15% × 35年=年収の5.25倍
もし、世帯年収が1000万円なら無理なく返済できる年間のローン額は1000 × 15% =150万円です。返済期間が30年なら150万 × 30年=4500万円(4.5倍)ですし、35年続けば150万円× 35年=5250万円(5.25倍)です。
しかし、50〜60代になると給与が下がるのが一般的ですから、返済額が年収の15%を超えるかもしれません。返済期間が、給料が下がる期間にも及ぶなら、より安全に考えて35年換算の5.25倍より少し金額を落として5倍と考えておくとよいでしょう。
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一般的な返済率は20〜25%
住宅ローンの返済率は、一般的には20〜25%といわれています。したがって、私がお伝えした15%はかなり低い水準です。なぜこのように低めになってしまうのかというと、筆者のお客さまの多くは、子どもが未就学児の家庭が多く、家の購入費よりも教育費にしっかりお金をかけたいと思っている人が多くいるためです。
そのため、これからの教育費を考えると、住宅購入にそこまでお金を使えないのです。したがって、子どもが独立している、あるいは、子どもがいない家庭であれば、返済比率は変わります。15%はこれから子どもの教育費がかかってくる家庭の目安です。
また、厳密にいうと15%は利息込みの返済額なので、年収の5倍も金利込みの額ということになります。しかし、金利込みだと計算が複雑になるため、ざっくり目安で考えるなら単純に5倍と考えてよいでしょう。
住宅ローンの目安であって、物件価格の目安ではない
勘違いしてはいけないのは、5倍という水準は住宅ローンの目安であって物件価格の目安ではないということです。例えば、世帯年収1000万円なら5倍は5000万円ですが、頭金として500万円準備できているなら物件価格の目安は5500万円ということになります。年収の5倍はあくまでも住宅ローンの借り入れ目安です。
貯蓄の有無が住宅購入価格を変える
住宅価格は上昇傾向にあり、東日本不動産流通機構の首都圏不動産流通市場の動向(2022年)によると東京23区内の中古マンションの成約金額は2022年時点で5776万円です。ここまで上昇すると、希望のエリアに購入できる家がないこともあるかもしれません。そんなときは頭金の活用です。
頭金があれば、購入金額を上げられます。マイホーム購入を考え始めたら、まずは頭金や諸費用に充てられる現金が準備できているか確認しましょう。準備できていなければ、購入したい時期までに手元資金をしっかり作ることから始めてください。
出典
公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2022年)
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
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