奨学金を申し込むときに保証人が必要って本当ですか?
配信日: 2024.07.15
本記事では日本学生支援機構における貸与奨学金の保証制度についてみていきます。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
人的保証と機関保証
日本学生支援機構の貸与奨学金の保証制度には、人的保証と機関保証の2種類があります。貸与奨学金を申し込む際に、いずれかを選択します。
<人的保証>
人的保証の場合、連帯保証人1名と保証人1名の計2名が必要です。奨学金を利用する本人の父または母が連帯保証人になるのが原則です。また保証人は連帯保証人とは別生計で、本人の4親等以内の親族(おじ・おば等)が原則です。
人的保証を選択すると、奨学生として採用が決まった時に必要な提出書類があります。連帯保証人の「印鑑登録証明書」「収入に関する証明書」と保証人の「印鑑登録証明書」です。
奨学生が卒業後、しっかりと返還できていれば連帯保証人や保証人は何ら関わりがありません。しかし、本人が奨学金の返還をできない場合、連帯保証人や保証人に電話や手紙で連絡が入ることがあります。最悪の場合、本人に代わって連帯保証人や保証人が返還の義務を負います。
なお、連帯保証人の返還義務は本人の返還義務と同額です。保証人は原則本人の返還義務の2分の1の額を払わなければなりません。
<機関保証>
公益財団法人日本国際教育支援協会という保証機関が連帯保証する制度を利用します。そのため、保証料の支払いが必要です。保証料の額は、奨学金の貸与月額と貸与期間および返還期間等を基に計算します。
保証料の具体的な額は奨学生として採用が決まり、交付される「奨学生証」に書かれています。ちなみに、保証の期間は奨学金の最初の受け取りから、奨学金の返還の終了までです。
では、保証料はどのように払うのでしょうか?
保証料は毎月、受け取る奨学金から差し引かれることになっています。保証料を支払っているから返還しなくてもよいということではありません。機関保証を選んでも奨学金の返還義務には変わりありません。
また、機関保証を選んだ場合、連帯保証人や保証人は不要ですが、「本人以外の連絡先(機構が本人と連絡がとれない場合に、機構から電話などによって本人の住所・電話番号等を確認できる人)」の届け出が必要です。
本人が奨学金を期日までに返還しなかった場合、保証機関(協会)が本人に代わって返済します。そして、保証機関(協会)は本人に宛て、奨学金の未返済額や延滞金等を一括して請求します。返済を滞納した場合、年当たり10%の遅延損害金が加算されます。そして最悪の場合、財産や給与の差し押さえ等が行われます。
<機関保証、その他の留意点>
機関保証を選択した場合、進学先の学校へ「進学届」を提出後、人的保証に変更はできません。奨学金の全額を繰上げ返還したり、一部を繰上げて返還し返還期間が短縮したりした場合には、保証料が返金されます。また、奨学金の返還が免除された場合にも保証料が返金されます。
一方、第一種奨学金の申し込みの時に、所得連動返還方式を選ぶ場合、人的保証は選択できず、機関保証を利用しなくてはなりませんので留意しましょう。
以上、奨学金を申し込む際には保証人が必要ですので、事前に確認しておきましょう。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
独立行政法人 日本学生支援機構 保証制度について
独立行政法人 日本学生支援機構 督促
独立行政法人 日本学生支援機構 第一種奨学金の人的保証制度
独立行政法人 日本学生支援機構 第一種奨学金の機関保証制度
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役