奨学金を返還中の26歳の息子が病気に…働けなくなった場合、親が代わりに支払うのでしょうか?
配信日: 2025.02.20

しかし、無断延滞状態になる前に利用できる制度もあるので、経済的に困難が生じた場合は、その時点で相談することが大切です。今回は、奨学金の返還を親がする状況や、返還が難しいときに利用できる制度などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金は親でも返還できる?
基本的に、奨学金の返還は借りた本人がする必要があります。しかし、さまざまな事情で本人による返還が難しくなったり、本人が無断で滞納したりするケースもあるでしょう。こうした場合に備えて、独立行政法人日本学生支援機構では保証制度を採用しています。
人的保証制度は一定の条件を満たす連帯保証人として原則両親を、保証人として原則おじ・おばもしくは兄弟姉妹などを指定し、本人が支払えなくなったときは代わりに返還の責任を負う制度です。連帯保証人や保証人へと返還が求められる流れは以下の通りです。
(1)奨学金を借りた本人が滞納をする
(2)督促を受けても滞納をした場合、個人信用情報機関に延滞情報が登録され、日本学生支援機構からは連帯保証人へ返還が請求される
(3)連帯保証人も延滞したときや、返還が困難なときは保証人に返還が求められる
上記の流れからも分かるように、本人が延滞を続けると連帯保証人になった親が支払います。無断で延滞を続けると個人信用情報機関に延滞情報が登録され、その後の生活にも影響が出る可能性があるでしょう。
また、延滞できないからと親がお金を立て替えると、贈与税の課税対象になる可能性があります。返還金を立て替える前に、独立行政法人日本学生支援機構に相談して、利用できる制度がないか確認しましょう。
奨学金の返還が難しいときに利用できる制度
独立行政法人日本学生支援機構では、経済的な事情により返還が困難になった方に対して、さまざまな支援制度を提供しています。3つの制度を解説するので、参考にしてください。
返還期限猶予
災害に遭ったり病気で働けなくなったりといった事情で返還ができなくなったときに利用できる制度です。審査に通れば、認められた期間分だけ返還期間を猶予してもらい、返還期限を先送りにできます。
ただし、猶予期間が終わったあとは返還が必要となり、元金や利子は免除されません。また、猶予が承認されなかったときは猶予なしで返還を継続します。
将来に負担を先送りする形のため、なるべく早く返還を終えたい方で貯金に余裕があったり働ける時期が分かったりしているなら、減額返還制度を利用した方がよいでしょう。
減額返還制度
減額返還制度は、月々の返還額を少なくできる制度です。少なくなる分返還期間は延びますが、返還期限猶予よりも将来の月々の負担を少なくできるでしょう。減額返還制度における適用期間の上限は通算15年(180ヶ月)です。
減額できる割合は、2分の1、3分の1、3分の2、4分の1です。金銭状況に応じて、利用したい減額割合を選択して申請しましょう。
死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除
奨学金を借りた本人が症状の重い病気にかかったり、死亡してしまったりした場合は、返還未済額の全部または一部の返還を免除できる可能性があります。
申請の際には働けない・働くことに制限が生まれたなど返還することができなくなった事情を証明する書類や、本人が亡くなったことを示す書類が必要です。状況によって必要な書類が異なるので、まずは独立行政法人日本学生支援機構に相談しましょう。
返還が難しくなったらまずは制度の利用を検討する
奨学金は人的保証制度により連帯保証人として原則両親のどちらかが指定されている場合があります。本人が奨学金を払えないまま滞納をしていれば、連帯保証人である両親が支払うことになるでしょう。
しかし、滞納を続けると個人信用情報機関に延滞情報が登録されるため、延滞する前に制度を利用できるか確認することがおすすめです。状況に応じて猶予や減額、免除などの支援を受けられます。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 第一種奨学金の人的保証制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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