奨学金を返還中の息子が事故で働けなくなった場合、療養期間中は奨学金の返還は待ってもらえるのでしょうか?

配信日: 2025.03.08

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奨学金を返還中の息子が事故で働けなくなった場合、療養期間中は奨学金の返還は待ってもらえるのでしょうか?
病気や事故で働けなくなり奨学金の返還が難しい場合、奨学金提供団体では、奨学金返還に猶予を設ける制度を用意しています。本記事では「奨学金返還猶予制度」の概要や申請方法について解説します。また、申請する際の注意点についても触れます。
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奨学金返還猶予制度の概要

奨学金返還猶予制度とは、経済的な困難や特定の理由により奨学金の返還が一時的に困難な場合に、返還を一定期間待ってもらえる制度のことです。
 
この制度は、主に日本学生支援機構(JASSO)や地方自治体、民間団体が提供する奨学金で利用できます。返還猶予を受けることで、返還負担を軽減し、経済的な余裕を持って生活や学業、就業に専念できるようになります。
 
対象となる主な理由は、失業や減収など、収入が一定の基準以下になった場合、長期間の治療や療養が必要な場合、自然災害や事故などで経済的負担が増した場合などです。
 
猶予期間中は返還が一時的にストップしますが、その期間に応じた利息(無利子奨学金の場合はなし)が発生する場合があります。特に有利子奨学金の場合、猶予期間中でも利息が加算されることが多いため、詳細な条件を確認することが重要です。
 

奨学金返還猶予制度の申請方法

奨学金返還猶予制度の申請は、各奨学金提供団体に直接申し込むことが基本です。
 
まずは、奨学金提供団体の公式Webサイトや窓口から、必要な申請書類を入手します。日本学生支援機構の場合は専用の「奨学金返還期限猶予願」が公式サイトからダウンロードできます。
 
申請には、猶予の理由を証明する書類が必要です。例えば、収入が減少している場合は所得証明書、失業中の場合は雇用保険受給資格者証、傷病中の場合は医師の診断書などが求められます。
 
申請書には、奨学生番号、猶予を申請する理由、希望する猶予期間などを正確に記入します。書類の不備で申請が却下されることもあるため、注意が必要です。
 
書類を準備したら、指定された方法(郵送やオンライン提出など)で送付します。提出期限が設けられていることが多いため、早めの手続きを心がけましょう。
 
提出後、審査が済み次第結果が通知されます。承認されれば、通知書に記載された期間中、返還が一時的に猶予されます。
 

奨学金返還猶予制度と減額返還制度の違い

奨学金返還猶予制度と減額返還制度は、どちらも返還が困難な場合に利用できる制度ですが、その目的や内容には明確な違いがあります。
 
返還猶予制度は一時的に返還そのものをストップしますが、減額返還制度の場合は返還額を減らすことによって返還負担を軽減します。毎月の返還額を2分の1または3分の1に減額して返還期間を延長する形式が一般的です。
 
減額返還制度は、基準の収入以下であれば利用可能なため申請はしやすいといえます。しかし、減額された返還額には利息が含まれており、総返還期間が延びることによって全体の負担が軽減されるわけではない点に注意が必要です。
 

奨学金返還猶予制度の注意点

返還猶予には期間の制限があり、日本学生支援機構の場合は通算10年までとなっています。このため、将来の利用を見越して慎重に申請を行うことが重要です。
 
無利子奨学金の場合は猶予期間中も利息が発生しませんが、有利子奨学金の場合は猶予期間中でも利息が加算されるため、猶予後の総返還額が増える可能性を理解しておきましょう。
 
また、猶予期間が終了しても返還困難な場合は、再度申請が必要です。再申請には改めて証明書類を提出する必要があります。
 
返還猶予は正式な手続きであり、延滞には該当しません。そのため、信用情報機関に悪影響を及ぼすことは基本的にありません。ただし、猶予申請を怠り延滞が発生した場合は、信用情報に記録が残ることもあるため注意してください。
 

奨学金返還猶予制度を賢く活用するために

奨学金返還猶予制度は、奨学金を借りた人が経済的困難を乗り越えるための大切な仕組みです。
 
しかし、申請には適切な理由と必要書類の準備が求められ、猶予期間中の条件や利息についても理解する必要があります。また、猶予期間には限度があるため、慎重に計画を立てることが重要です。
 
返還猶予制度を利用する際は、早めに情報を収集し、必要な手続きを確実に進めましょう。適切な利用によって、将来の負担を軽減し、自身の生活やキャリアを安定させる一助とすることができます。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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