子どもの進学費用が「200万円」足りない!?「奨学金」で子どもに借金させるより、親が「教育ローン」を借りるべき? 特徴やメリット・デメリットを比較
配信日: 2025.03.17

本記事では、奨学金と教育ローンの特徴やメリット・デメリットを比較し、どちらが適しているかを解説します。

執筆者:古澤綾(ふるさわ あや)
FP2級
奨学金と教育ローンの違いとは
奨学金も教育ローンも、子どもの進学費用などの教育費に充てるための借入です。まずは、奨学金と教育ローンの違いについて見ていきましょう。
奨学金の特徴
奨学金の特徴は、次の通りです。
・返済者:学生本人
・金利:第一種は無利息、第二種は年利1%前後(変動あり)
・返済開始時期:卒業後6ヶ月後から
・利用条件:学力や家計基準を満たす必要がある
奨学金は、学生本人が借り入れ、卒業後に返済する制度です。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金が代表的で、無利子の「第一種奨学金」と有利子の「第二種奨学金」があります。在学中は返済が免除され、卒業の約半年後から返済を開始します。
また、毎月決まった金額が学生名義の口座に振り込まれる仕組みで、学費や生活費の補填として活用しやすいのが特徴です。給付型奨学金もありますが、世帯収入などの要件が厳しく、貸与型よりも利用できる対象が限られます。
教育ローンの特徴
続いて、教育ローンの特徴について確認していきます。
・返済者:保護者
・金利:国の教育ローンは固定金利で年2.65%(2025年1月6日時点)、銀行の教育ローンは約2.0%~5.0%
・返済開始時期:借入翌月からだが、在学中は利息のみ返済も可能な場合が多い
・利用条件:所得制限や審査がある
教育ローンは、保護者が金融機関から借り入れ、在学中から返済を開始するものです。日本政策金融公庫の「国の教育ローン」が広く利用されていますが、各金融機関でもさまざまな教育ローンを提供しています。
契約時に保護者の口座にまとまった金額が振り込まれるため、入学費用や学費を一括で支払いたい場合に適しています。ただし、奨学金と異なり、借入の際には一定の審査があり、金利も金融機関によって異なるため、条件をよく比較することが大切です。
奨学金と教育ローンのメリットとデメリット
次に、奨学金と教育ローンのメリットとデメリットについて確認していきます。教育に関する借入という点では似ていますが、その特徴によってメリット・デメリットが異なります。
奨学金
奨学金のメリットは、金利が低い点と、学生本人が返済するため保護者の経済的負担を軽減できる点です。特に無利息の第一種奨学金は、返済負担が少なく済みます。しかし、学生が卒業後に返済義務を負うため、子どもの将来的な負担となる可能性があります。
さらに、長期間にわたる返済になることが多く、返済が完了するまで10年以上かかるケースがほとんどともいわれます。特に、子どもが安定した収入を得られなかった場合、返済が厳しくなるリスクも考慮しなければなりません。
教育ローン
教育ローンのメリットは、入学前にまとまった資金を用意できる点です。また、保護者が返済を担うため、子どもに借金を負わせずに済みます。ただし、金利が奨学金より高く、在学中から返済が始まるため、家計への影響を十分考慮しなければなりません。
一方、教育ローンは親が借り入れを行い、子どもに負担をかけずに済む点も大きなメリットです。利用する場合は、現在の収支と将来の支出を見据えてライフプランを考えておくことが大切です。
どちらを選ぶべき?
現在の家計への影響を抑えたいなら、奨学金を利用するのが1つの方法です。親の負担を軽減でき、住宅ローンや老後資金の準備にも余裕を持たせられます。ただし、奨学金は子ども自身が借り入れ、卒業後に返済するものなので、将来のキャリアや収入を考え、無理のない金額を借りるようにしましょう。
一方で、子どもに借金を背負わせたくない場合は、教育ローンを選択するのが有効です。ただし、親が返済を担うため、月々の支出が増えることになります。すでに住宅ローンがある家庭や、同時に老後資金を用意していきたいなどの場合は、特に慎重に返済計画を立てなければなりません。
また、奨学金と教育ローンを併用する方法もあります。例えば、進学後の生活費や学費の一部を奨学金で補い、入学初年度にかかるまとまった費用を教育ローンでまかなえば、負担を分散できます。家庭の経済状況や子どもの将来を考えながら、最適なバランスを見つけてください。
まとめ
奨学金と教育ローンのどちらを選ぶかは慎重に考えなければなりません。奨学金は子ども本人が負担するため、卒業後の返済計画をしっかり立てる必要があります。一方、教育ローンは親が借り入れるため、家計のバランスを崩さないよう注意が必要です。
それぞれの特徴や金利、返済方法を比較し、家庭の状況に合った方法を選びましょう。子どもも含めて家族でしっかり話し合い、無理のない選択をしていきたいですね。
出典
日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
執筆者:古澤綾
FP2級