32歳で奨学金が残り「250万円」です。婚約者に伝えていませんが、「借金」でないなら問題ない? 隠すべきではない理由を解説
配信日: 2025.03.26

貸与型の奨学金は、ほかの借金と同じ性質を持っています。隠していることで将来の結婚生活に影響が出るかもしれません。
本記事では、奨学金が借金だといえる理由と、伝えずに結婚した場合のリスクについて解説します。

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
奨学金は借金であることに変わりはない
奨学金は「借金ではない」と考える人もいますが、実質的には借金と同じです。確かに日本学生支援機構の奨学金には、1ヶ月分の支払いを最大4分の1まで減らす「減額返還制度」や、一時的に返還期間を猶予してもらえる「返還期間猶予制度」があり、一般的な借金よりも優しい一面を持っています。
しかし、これらの制度は支払いを先送りするだけであり、元本が免除されるわけではありません。
奨学金であっても、返済が滞れば裁判を起こされ、財産の差押えが行われる可能性があります。また、3ヶ月以上の滞納で個人信用情報機関に登録されるため、クレジットカードや住宅ローン、カーローンの審査にも影響を及ぼしかねません。さらに、住宅ローンやカーローンなどほかの借金の申込時には奨学金残高の申告が必要です。
このように、奨学金は一般的な借金と変わらない側面を持っています。結婚後の生活に影響を与える可能性がある以上、婚約者にきちんと伝えることが大切です。
奨学金の返済を隠したまま結婚すると起こるトラブル
奨学金の返済を隠したまま結婚すると、どんなトラブルが起こるのでしょうか? 具体的には以下の3つが考えられます。
あとから知られたときに信頼が揺らぐ
結婚後に奨学金返済の存在が発覚すると、「なぜ言ってくれなかったのか」と不信感を抱かれるかもしれません。奨学金の有無よりも、「隠していた」という事実そのものが問題視されてしまいます。
信頼は一度揺らぐとなかなか取り戻せないものです。結婚後に信頼を損なわないためにも、奨学金のことを正直に話し、納得してもらった上で結婚生活を始めましょう。
住宅ローンやカーローンの借入に影響が出る
奨学金の存在が、住宅ローンやカーローンなどの審査に影響を及ぼすことがあります。金融機関は負債を考慮して融資額を決定するため、奨学金の返済負担が大きいと希望する額を借りられない可能性があるのです。
また、奨学金を延滞すると信用情報に傷がつき、借入が一層厳しくなる可能性があります。結婚後に家を購入しようなどと考えているなら、奨学金の影響を理解し、家計を切り詰めて返済を早めるといった対応が必要です。
家計に想定外の負担がかかる
奨学金の返済が、結婚後の生活費に与える影響は決して小さくありません。婚約者が「結婚後は手取り全額を使ってやりくりできる」と思っていた場合、奨学金返済によって生活の見通しが狂う可能性があります。
また、子どもが生まれた後に育児休業や時短勤務で収入が減ることを考えると、さらに家計のやりくりが厳しくなるでしょう。その結果、結婚相手に「こんなはずじゃなかった」と思われてしまう恐れがあるのです。
奨学金のことを話した上で将来について話し合おう
奨学金は借金ではないと考える人は多いかもしれません。しかし、滞納すると信用情報に傷がつきますし、財産の差押えにまで発展する可能性があるものです。この点はほかの借金と同様の性質を持つもので、奨学金が結婚生活に与える影響は決して小さくありません。
奨学金の存在を隠して結婚すると、住宅ローンやカーローンに通りにくくなるなど後々トラブルになる可能性があります。結婚前に伝えておくことが望ましいでしょう。
「奨学金を理由に婚約破棄されるかも」と不安に感じる人もいるかもしれません。しかし、奨学金は浪費やギャンブルで作った借金とは違います。これから計画的に、確実に返していくことを説明すれば、相手の理解を得られるのではないでしょうか。
奨学金を負担に感じるかどうかは人それぞれですが、大切なのは「隠さないこと」です。奨学金の話をきっかけに、結婚後の家計やライフプランについて2人で考える機会にしてはいかがでしょうか。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士