親に彼氏を紹介したら「奨学金あるのは心配」と言われた…学費であっても“借金扱い”なんですか? 貯金を崩して「繰上げ返済」してもらうべきでしょうか…?

配信日: 2025.11.04
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親に彼氏を紹介したら「奨学金あるのは心配」と言われた…学費であっても“借金扱い”なんですか? 貯金を崩して「繰上げ返済」してもらうべきでしょうか…?
恋人を親に紹介したいけれど、「奨学金があるから心配」と言われ、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。一般的に、結婚相手に返済義務のあるお金があることは、親世代にとって心配材料になりやすいものです。
 
学費のために借りた奨学金であっても借金として扱われるのか、貯金を崩してでも繰上げ返済すべきかどうか。本記事では、日本学生支援機構の奨学金の平均借入額や完済年齢、奨学金が借金として扱われるのか、繰上げ返済の必要性について解説します。
金子賢司

CFP

奨学金利用者は約半数 平均借入額は約300万円

日本学生支援機構の令和4年度学生生活調査報告によると、大学生で何らかの奨学金を受給している者の割合は約55.0%に上り、大学生の約2人に1人が奨学金を利用しています。奨学金の利用は、決して珍しいことではなく、多くの学生が教育費用を奨学金で賄っていることが伺えます。
 
また、労働者福祉中央協議会の奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書(2022年9月実施)によると、大学生の奨学金の平均借入額は約310万円、毎月の平均返済額は約1万5000円で、返済期間は平均約14.5年です。これは、大学を22歳で卒業した場合、完済するのは36~37歳頃になる計算です。
 
返済期間が長期にわたることから、結婚や出産、住宅購入といったライフイベントと重なる時期に返済を続けることになります。このことが、結婚を控えた若者やその家族にとって不安材料となることがあります。
 

貯金を崩して繰上げ返済すべき?

奨学金の繰上げ返済には、通常のローンと同様、返済期間の短縮や利息の軽減というメリットがあります。日本学生支援機構の奨学金のうち有利子の第二種奨学金の場合、繰上げ返済により利息分を節約できます。ただし、貯金を大幅に減らしてまで繰上げ返済することは推奨されません。
 
その理由は、手元の資金が減ることで、急な病気や失業、冠婚葬祭などの予期せぬ出費に対応できなくなるリスクがあるためです。一般的に、生活費の3~6ヶ月分の貯蓄は「生活予備費」として確保しておくことが推奨されます。
 
なお、奨学金の利率は市場金利の変動に応じて変わります。令和6年度(2024年度)3月に貸与終了者の利率は、利率固定方式で1.641%、利率見直し方式で1.100%です。近年は利上げ傾向にあるため、有利子の第二種奨学金を借りている場合は、利息負担を考慮して繰上げ返済を検討する価値があります。
 
ただし、奨学金の利率は上限が3%と定められています。ほかにローンを利用している場合は、金利だけでなく返済期間や返済額なども総合的に比較し、優先順位をつけて返済することが重要です。
 
無利子の第一種奨学金の場合、繰上げ返済をしても返済総額は変わらないため、経済的なメリットは限定的です。しかし、精神的な負担を軽減したい、将来ほかのローン審査への影響を避けたいという理由で繰上げ返済を検討することは、選択肢の1つといえるでしょう。
 

返済のポイントと注意点

奨学金の返済で大切なのは、無理のない返済計画を立て、滞納を避けることです。滞納すると延滞金が発生し、信用情報機関に登録されてしまい、将来の住宅ローンやクレジットカードの審査に影響が出る可能性があります。
 
返済が困難な場合は、返済期限の猶予や減額返還制度を利用できます。病気や失業など経済的に厳しい状況では、申請により一定期間返済を猶予してもらえたり、返済額を減らせたりする制度があります。困ったときは早めに日本学生支援機構に相談しましょう。
 
繰上げ返済を検討する場合は、十分な貯蓄を確保した上で、余裕資金で行うことが重要です。結婚や出産などのライフイベントに必要な資金、緊急時の備えを優先し、それでも余裕がある場合に繰上げ返済を検討するとよいでしょう。
 

無理のない返済計画を立てよう

奨学金は法的には借金として扱われますが、教育のための投資という側面もあります。親世代が心配するのは自然なことかもしれませんが、多くの若者が奨学金を利用して進学しているのが現実です。
 
貯金を大幅に崩してまで繰上げ返済する必要はなく、十分な貯蓄を確保した上で計画的に返済することが大切です。返済が困難な場合は、猶予制度や減額返還制度の利用を検討しましょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査報告
独立行政法人日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率
独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金に係る利率算定方法の選択制の導入について
労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書
 
執筆者 : 金子賢司
CFP

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