今年家を買いました。年末調整だけで住宅ローン控除の手続きは完了しますか? 確定申告も必要でしょうか?
会社員にとっては年末調整で済むケースもありますが、購入初年度だけは例外となる場合があります。本記事では、住宅ローン控除の基本から手続きの流れ、そしてお金の観点から見た注意点までを解説します。
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住宅ローン控除の基本と仕組み
住宅ローン控除とは、自宅を取得して住宅ローンを利用した場合に、年末時点の借入残高に応じて所得税や住民税から一定額を控除できる制度です。
控除額の目安は「住宅ローン残高×0.7%」で、返済期間や住宅の種類、対象者(子育て世帯や若者夫婦世帯など)などにより借入額や控除期間の上限が設けられています。例えば、借入残高が3000万円の場合、最大で年間21万円が所得税などから差し引かれる計算です。
お金の面から見ると、控除を受けることでローン返済の負担を軽減できる一方、適用条件を満たしていない場合には控除が受けられないリスクもあります。
主な条件は、住宅の床面積が50平方メートル以上あること、入居が引き渡しから6ヶ月以内であること、借入期間が10年以上であることなどで、これらの適用条件を満たしているかを確認することが重要です。
初年度は確定申告が必須
住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員であっても年末調整だけでは手続きが完了しないため、原則として確定申告が必要となります。これは、初年度に住宅の取得や入居を証明する書類を税務署に提出する必要があるためです。
主な書類は、住宅ローンの年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写しなどがあります。これらをもとに確定申告書を作成し、翌年2月中旬~3月中旬にかけて税務署へ提出します。
確定申告を行うことで、すでに源泉徴収された所得税が還付される可能性があります。数十万円単位で戻るケースも珍しくなく、申告を怠ると控除が受けられず、結果的に損をすることになります。ただし、申告を忘れた場合でも5年以内に還付申告をすれば、控除を受けることができます。
2年目以降は年末調整でOK
初年度に確定申告を済ませていれば、2年目以降は勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。会社員は、税務署から交付される「住宅借入金等特別控除申告書」と金融機関から届く「年末残高証明書」を勤務先に提出するだけで処理が完了します。
年末調整で控除を受けるメリットは、確定申告のように自分で書類を作成や提出をする手間が省けることです。さらに、勤務先が税金の計算を代行してくれるため、控除額が給与やボーナスの源泉徴収にスムーズに反映され、早期に節税効果を実感できます。
ただし、書類の提出期限を過ぎたり、勤務先が対応していなかったりする場合は、再び確定申告が必要になるため注意が必要です。
年末調整で足りる場合と確定申告が必要な場合
住宅ローン控除を受ける際、どの手続きを選ぶべきかは状況によって異なります。
年末調整だけで控除を受けられるのは、2年目以降で勤務先に必要書類を提出できる場合です。一方、購入初年度や勤務先が対応していない、または提出期限を過ぎてしまった場合は確定申告を行う必要があります。
また、夫婦でペアローンを組んでいる場合は、それぞれが控除申請を行う必要があります。手続きを誤ると、控除が受けられず本来より多くの税金を負担することになりかねません。申告手続きや提出書類のルールを正しく理解しておくことが、結果的に家計を守ることにつながります。
正しい手続きで節税メリットを逃さないようにしよう
住宅ローン控除は、マイホーム購入者にとって大きな節税効果をもたらす制度です。初年度は確定申告が必要で、2年目以降は通常勤務先の年末調整で対応しますが、勤務先の対応状況や自身の収入構成によっては例外もあります。
控除を確実に受けるためには、必要書類の準備と提出期限の厳守が重要です。手続きを怠り期限を過ぎると、年間で数十万円の税金を多く支払うことになりかねません。
住宅購入という大きなライフイベントの後は、住宅ローン控除の制度を理解し、正しい申告で節税メリットを最大化しましょう。
出典
国土交通省 住宅ローン減税
国税庁 住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)について
国税庁 No.2030 還付申告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー