住宅ローン「3000万円」を、ボーナス「100万円」で繰り上げ返済! 利息「35万円」軽減されても、実は“新NISAで運用”したほうが「100万円」以上お得って本当ですか? それぞれを比較

配信日: 2025.12.22
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住宅ローン「3000万円」を、ボーナス「100万円」で繰り上げ返済! 利息「35万円」軽減されても、実は“新NISAで運用”したほうが「100万円」以上お得って本当ですか? それぞれを比較
冬のボーナスなどまとまった資金が入った際に、多くの人が悩むのが「住宅ローンの繰り上げ返済」ではないでしょうか。「借金は利息がかかるから、1日でも早く返すべき」という考え方は、長らく家計管理のセオリーとされてきました。
 
しかし、歴史的な低金利が続く一方で、新NISAなどの非課税投資制度が整った現在、その常識は必ずしも経済合理性にかなっているとは限りません。
 
本記事では、金利0.5%の住宅ローンを100万円繰り上げ返済した場合と、新NISAで運用した場合の金額差を具体的な数字で比較検証します。
高橋祐太

2級ファイナンシャルプランナー技能士

検証条件は「残債3000万円・金利0.5%・100万円返済」

前提条件として、変動金利などで主流となっている「金利0.5%」で借り入れているケースを想定します。
 

【シミュレーション条件】

・住宅ローン残債:3000万円
・残存期間:30年(360回)
・返済方法:元利均等返済
・繰り上げ返済額:100万円(期間短縮型)

 
ここに手元の100万円を投入して「期間短縮型」で繰り上げ返済を行った場合と、同じ100万円を新NISA(つみたて投資枠や成長投資枠)で、年利4.0%で30年間運用した場合を比較します。
 

金利0.5%の住宅ローンを繰り上げ返済しても「軽減額は約8万円」

今回の条件で繰り上げ返済を行った場合の効果は以下のとおりです。


・期間短縮効果:1年1ヶ月短縮
・利息軽減効果:約7万7000円

「思ったより少ない」と感じた人も多いのではないでしょうか。タイトルにある「利息35万円軽減」という数字は、金利が2.0%前後の場合に達成できる金額です。
 
現在の0.5%という超低金利下では、毎月の返済額に含まれる「利息部分」が元々少ないため、頑張って早く返しても「なくなる利息」は限定的です。
 

新NISAで運用すると資産は「約324万円」に育つ

一方、100万円を返済に回さず、新NISAを活用して年利4.0%で30年間運用した場合はどうなるでしょうか。世界株式などのインデックスファンドへの長期投資を想定します。


・10年後:約148万円(+48万円)
・20年後:約219万円(+119万円)
・30年後:約324万円(+224万円)

複利の効果により、雪だるま式に資産が増え、住宅ローン完済時期である30年後には、元本の3倍以上に成長している計算になります。
 

返済と運用、その差は200万円以上

両者を比較すると、その差は歴然です。


・繰り上げ返済の節約額:約8万円
・新NISAの運用益:約224万円

あくまで「年利4%で運用できた場合」のシミュレーションであり、投資には元本割れのリスクも伴います。しかし、それを加味しても「低金利(0.5%)で銀行からお金を借り続け、手元資金を高利回り(4.0%期待)で運用する」という選択が、数字上は圧倒的に有利であることが分かります。
 

「住宅ローン控除」と「団信」のメリットも見逃せない

さらに、あえて繰り上げ返済をしないことには、運用益以外のメリットもあります。
 
1つは、「住宅ローン控除」です。借入金利が0.5%で、住宅ローン控除率が0.7%の場合、「銀行に支払う金利」よりも「国から戻ってくる税金」のほうが多くなる「逆ざや」状態になります。この期間中に繰り上げ返済をして借金(=控除対象額)を減らすと、家計全体では損をしてしまいます。
 
もう1つは、「団信(団体信用生命保険)」です。万一の際には、ローン残高は保険でゼロになりますが、繰り上げ返済した100万円は手元に戻ってきません。手元に残して(運用して)おけば、借金は保険で消え、100万円と運用益は家族に残ります。
 

まとめ

金利0.5%の住宅ローンであれば、繰り上げ返済の利息軽減効果はそれほど大きくありません。数字で見れば、新NISAで長期運用するほうが資産形成に有利な結果となりました。
 
もちろん、「借金があること自体が精神的に負担」という場合は返済を優先すべきですが、そうでなければ「あえて返さずに運用し、手元の流動性を確保する」という選択肢も、現在のマネープランとしては非常に合理的です。自身の性格やライフプランに合わせて検討してみてください。
 

出典

国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
 
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

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