NISAで貯めた「500万円」で、住宅ローンを“一括返済”したい! 10年後に「300万円の差」になるそうですが、運用を続けると“どれだけ得”ですか? 残るお金をシミュレーション

配信日: 2026.01.08
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NISAで貯めた「500万円」で、住宅ローンを“一括返済”したい! 10年後に「300万円の差」になるそうですが、運用を続けると“どれだけ得”ですか? 残るお金をシミュレーション
NISAで貯めた500万円を「ローンの完済」に充てるべきか、「運用の継続」に回すべきかなど、資産の動かし方に迷っているという人もいるのではないでしょうか。借金をなくす安心感は魅力的ですが、低金利の今、一括返済が大きな「機会損失」になるケースは少なくありません。
 
本記事では、その選択によって10年後の資産額に約300万円もの差がつく理由と、損をしないための判断基準を、具体的なシミュレーションを交えながら解説します。
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「ローンの金利」と「運用の利回り」の決定的な差

ローンの一括返済を検討する際に重要となる指標は、住宅ローンの「借入金利」と、NISAの「期待利回り」の比較です。現在、日本の住宅ローン(特に変動金利)は0.5%前後という低水準にあります。これに対し、NISAで人気の全世界株や全米株インデックスファンドの長期的な期待利回りは、年利2~8%程度と言われています。
 
この「金利差」こそが、損得を分ける最大のポイントです。ローンを返済することは「借入金利分(0.5%)の利息支払いを免れる」という効果がありますが、一方で「運用利回り(5%)を得る機会を手放す」ことにもなります。
 
つまり、手元の500万円を返済に回さず運用を続けることで、差し引き年4.5%程度のプラスの運用成果を得られる可能性があるのです。このわずかな金利差が、時間の経過とともに大きな資産差として表れます。
 

【シミュレーション】10年後に手元に残るお金の差

では、手元の500万円を「一括返済」した場合と、返済せずに「運用を継続」した場合で、10年後の資産状況にどれほどの差が出るのかを比較してみましょう。500万円程度の残債であるため、10年という期間で考えていきます。
 

10年後のシミュレーション結果(利回り5%・ローン金利0.5%)

一括返済した場合、約13万円の利息支払いを免れることができます。ただし、10年後の手元資金として残るのは「ローンがない」という安心感のみであり、返済に充てた500万円自体は手元からなくなります。
 
一方、500万円を返済に回さず運用を続けた場合、「複利」の効果で約814万円にまで成長します。ここから、返済しなかったことによるローン利息分(約13万円)を差し引いても、手元には約801万円が残る計算です。
 
一括返済を選んだ場合と比べると、わずか10年で約300万円もの違いが生じます。これほどの差がつく理由は、運用によって得た利益がさらに利益を生む「複利効果」が、ローンの低い利息負担を大きく上回るためです。
 
数学的な損得だけで見れば、一括返済は「300万円分の利益を手放す行為」と言い換えることもできるでしょう。
 

「住宅ローン控除」と「団信」という強力な味方

数字上の利回り以外にも、一括返済を急ぐべきではない理由が2つあります。
 
1つ目は「住宅ローン控除」の存在です。借入残高の一定割合が税金から戻ってくるこの制度を利用している場合、返済を進めることで節税メリットが失われます。控除率(原則0.7%)がローン金利を上回っている、いわゆる「逆ザヤ」の状態であれば、ローンを借りているだけでプラスになるため、繰り上げ返済は明らかに不利です。
 
2つ目は「団体信用生命保険(団信)」です。住宅ローンの多くには、契約者に万一のことがあった場合に残債がゼロになる保険が付帯しており、実質的に「低コストの生命保険」としての役割を果たします。
 
一括返済してしまうと、この保障も同時に失われます。運用を続けていれば、万が一の際に住宅ローンは消滅し、さらにNISAで運用していた500万円とその運用益が遺族に残るため、大きな安心材料となるでしょう。
 

一括返済を検討しても良い「例外ケース」

ここまで運用継続のメリットを述べてきましたが、一括返済が合理的となる例外も存在します。
 
例えば、将来的にローン金利が大きく上昇し、運用利回りに近づく、または上回るような場合です。変動金利を利用している場合は、今後の金利動向を定期的に確認する必要があります。
 
また、「借金があること自体が強いストレスとなり、日常生活に支障を来している」といった心理的要因も無視できません。毎月の返済が精神的な重荷となり、健康を損なうようであれば、数字上の300万円よりも「安心感」を優先する判断にも十分な価値があります。
 
さらに、定年退職を機にキャッシュフローを整理し、毎月の固定支出をなくしたい場合も、検討のタイミングでしょう。ただし、全額を返済に充てて手元資金が枯渇してしまっては本末転倒です。その場合は、残債の半分だけを返済して月々の負担を軽減し、残りは運用を続けるといった「バランス型」の選択肢も考えてみてください。
 

10年後の300万円の差は「投資の継続」が生む

住宅ローン金利が運用利回りを下回っている限り、一括返済をせずにNISAでの運用を継続した方が、資産を大きく増やせる可能性があります。10年後には約300万円の差が生まれる可能性があるだけでなく、住宅ローン控除や団信といった制度面のメリットも維持できます。
 
一括返済は「安心」を得るための選択肢ですが、経済的な合理性を重視するのであれば、今は返済を急がず、複利の力を味方につける方が有効的と言えるでしょう。
 

出典

一般財団法人 住宅金融普及協会 住宅ローンの金利情報
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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