「貯金300万円+残クレ」で“アルファード”を購入予定。年収600万円で「支払いは月1万円くらい」と安心してたら“思わぬ出費”にがく然! 金利・自動車税…かかる固定費を確認
しかし、貯蓄のすべてを使い切り、さらに複雑な仕組みを持つ残価設定ローン(以下、残クレ)を組むという選択には、家計を圧迫する多くの落とし穴が潜んでいます。
一見すると手が届くように見える計画の裏側に、どのような家計リスクが隠されているのかを、具体的な数値を用いて検証していきましょう。
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アルファード購入の初期費用とローンの現実
トヨタを代表する高級ミニバンであるアルファードは、グレードやオプションによって差はあるものの、諸費用込みの乗り出し価格が600万円を超えるケースは珍しくありません。
貯金300万円をすべて頭金に充てる場合、残り300万円以上をローンで組む計算になりますが、ここで注目したいのが、残クレ特有の金利負担です。残クレは、数年後の「残価(下取り価格)」を差し引いた金額を分割返済する仕組みです。ただし、実際には据え置かれた残価に対しても利息が発生し続けます。
月々の支払額を抑えられるというメリットがある一方で、最終的な支払総額は一般的な銀行ローンより膨らみやすい傾向があります。さらに、契約期間終了時には残価を一括で支払う必要があるため、支払いを将来に先送りしている点を忘れてはいけません。
残クレ使用時の支払金額シミュレーション
ここでは、アルファードで人気の高いグレードZ(ガソリン2.5リットル 2WD)、本体価格555万円を例にシミュレーションします。
年利5.0%で5年(60回払い)の残クレを組み、残価が車両価格の50%である277万5000円に設定したと仮定します。期間内に返済する金額は22万5000円分です。
この条件で算出すると、月々の支払額は1万6044円となり、残価を含めた総支払額は372万1596円になります。
なお、据え置き期間中も残価全体に金利がかかり続けるため、残価277万5000円に対する5年間の利息総額だけでも、月額約1万1500円に達する計算です。
さらに、車両のローン返済以外にも、アルファードという大型車を維持するためには、多くの固定費が家計にのしかかります。自動車税種別割は、排気量2.493リットルの場合、年間約4万3500円の負担が発生します。
重量税は、ガソリン車はエコカー減税の対象外となるため、車両重量2060キログラムの場合、3年分で自家用6万1500円、2年分で自家用4万1000円となり、5年間で10万2500円が必要です。
さらに、自賠責保険や任意保険といった法定費用も定期的な支出として計上します。年間の維持費を試算すると、自動車税が4万3500円、重量税が年あたり2万500円、任意保険(車両保険付き)が12万円、ガソリン代を月1万円と仮定した場合で12万円となります。
これらを合計すると、年間の維持費は約30万円に達し、月額換算ではおよそ2万5000円の支出が必要です。駐車場を借りる場合は、さらに毎月の固定費が上乗せされます。
ここにローン返済額を加えると、車に関連する支出は毎月4万1000円程になります。年収600万円の手取り月収は約39万円で、収入の1割前後が車関連費用となるため、無理のある金額とはいえないでしょう。
貯金ゼロがもたらす生活防衛上の脆弱性
今回の計画で最も懸念されるのは、300万円の貯蓄をすべて頭金に充ててしまう点です。家計管理においては、病気や失業、家電の故障など、予期せぬ事態に備えるための資金を確保しておく必要があります。
貯金がゼロの状態で高級車のローンを抱えることは、常に不安定な状況に身を置くことと同義です。年収600万円という安定収入があっても、手元資金がない状況では急な出費に対応できず、高金利のカードローンに頼らざるを得ないリスクも高まります。
5年後の「残価精算」という大きなハードル
残クレを利用した場合、契約終了となる5年後には、車を返却するか、残価を一括で支払うか、もしくは再度ローンを組み直して買い取るかという選択を迫られます。
アルファードはリセールバリューが高い車種として知られていますが、走行距離の超過や事故による損傷があれば、返却時に追い金が発生する可能性があります。当初想定していた残価が保証されないケースも十分に考えられるでしょう。
また、車を手放さずに乗り続ける場合、5年後に約277万円の現金を用意するか、さらに数年間ローンを組む必要が生じ、利息負担は雪だるま式に増えていきます。5年後の自分に大きな負担を先送りしていないかという視点を持つことが重要です。
購入も難しくはないが、支払総額は高い
年収600万円で、貯金300万円を使い切ってアルファードを購入すること自体は可能です。ただし、維持費や残価精算まで含めて考えると、車関連支出が家計に占める割合は高くなり、貯金ゼロの状態が将来の選択肢を狭める恐れがあります。
頭金の金額を調整するなど、万一に備える余力を残しながら憧れを実現する、持続可能な購入計画を検討することが望ましいでしょう。
出典
総務省 2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります
国土交通省 自動車重量税額について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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