住宅ローン“500万円”を「繰り上げ返済したい」と言う夫。私は「年利4%×20年」で運用したいのですが、将来どれだけ差が出ますか?“確実じゃない”ならやめるべきでしょうか?
結論からいうと、金銭的なメリットの大きさだけで比較すれば、繰り上げ返済よりも資産運用のほうが有利になる可能性が高いです。
本記事は、金利1%の住宅ローン残債500万円を対象に、一括返済した場合と年利4%で運用した場合の金額差を具体的にシミュレーションしました。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
目次
金利1%の住宅ローンの残債500万円を繰り上げ返済したときの効果は?
金利1%で残債500万円を期間短縮型で一括返済した場合、削減できる利息の総額はおよそ26万円です。元利均等返済で残り10年返済を続けたと仮定すると、返済総額は約526万円となり、利息負担分が約26万円を占める計算になります。
一括返済を実行すれば、本来支払うはずだった26万円を支払わずに済みますが、あくまで「支出を減らす効果」にとどまります。借金がなくなる心理的な解放感は大きいものの、10年間という長い期間で見た場合、金銭的なリターンとしては5%強程度の効果しかありません。
現在の低金利環境下では住宅ローン金利自体が低く設定されているため、急いで返済しても利息軽減効果は限定的といわざるを得ません。
500万円を年利4%で20年運用した場合に得られる金額は?
一方で、手元の500万円を繰り上げ返済に回さず、年利4%の複利で10年間運用できたケースを考えてみましょう。シミュレーション上では、10年後の最終的な資産額は約740万円に達し、元本500万円に対して約240万円もの運用益が生まれます。
運用益に対して約20%の税金がかかったとしても、手取りの利益として約192万円が残る計算になります。さらに新NISA制度などを活用して非課税で運用できれば、約240万円の利益をそのまま受け取れるため、家計への貢献度は非常に大きなものになるでしょう。
今回のケースでは、単純な金額の比較だけで判断すれば、繰り上げ返済を選ぶよりも資産運用を選んだほうが、利益額が約9倍も高くなりました。複利の効果は時間を味方につけるほど大きくなるため、10年という長期スパンで運用を続けると、これだけ大きな金額差が開くのです。
リターン期待値は投資のほうが大きいがリスクもある
数字上は投資が圧倒的に有利ですが、繰り上げ返済には「リスクがまったくない」という確実な強みがあります。投資にはどうしても元本割れの可能性はゼロではないため、必ずしもシミュレーション通りに資産が増える保証はありません。
手元に現金を残しておけば、病気や失業、教育費の増加といった予期せぬ出費やトラブルへの最大の備えになります。すべての資金を返済や投資のどちらか一方に回すのではなく、生活防衛資金を確保した上で、残りの資金をどう配分するか検討しましょう。
まとめ
今回の条件では、低金利の恩恵を受けている住宅ローンを急いで返すよりも、手元資金を運用に回したほうが金銭的メリットは大きくなります。しかし、投資には不確実性があり、繰り上げ返済には「借金がなくなる」という確実性があります。
どちらが正解かを一律に決めるのではなく、自身の家計状況やリスク許容度を数字で整理してみましょう。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級