35歳で「住宅ローン4000万円」を検討中。妻に「お義父さん胃がんなったでしょ」と“がん団信”をすすめられましたが、金利+0.1%で「総額80万円」上がっても加入すべきですか?
特に家族ががんを患ったことがある場合、「念のため保障を付けておきたい」と考えるかもしれません。がん団信は、がんと診断された場合に住宅ローン残高がゼロになる保障ですが、保障が手厚い分、金利が上乗せされるのが一般的です。
35年返済のように借入期間が長い場合、わずかな金利差でも総返済額への影響は大きく、加入の目的と総返済額の影響を比較した上で、納得できるかが重要です。本記事では、がん団信の仕組みと実際の上乗せ金利の水準、判断のポイントを整理します。
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
がん団信とは?
団信(団体信用生命保険)は、死亡または高度障害状態になった場合に、住宅ローン残高が完済される保険商品です。
がん団信はこれに加え、所定のがんと診断されると住宅ローン残高が完済される点が特徴で、通常の団信よりも手厚い保障が受けられます。一方、保障が手厚い分、金利が上乗せになります。
一般的ながん団信の上乗せ金利は、100%保障で年約0.1%が標準的な目安です。ただし、加入時の年齢による制約や、保障対象となるがんの範囲、診断条件などは金融機関ごとに異なります。加入を検討するときには、保障が適用される条件をよく確認しておきましょう。
がん団信に入ると返済額はいくら増える?
4000万円を35年で借りる場合、がん団信に加入すると総返済額にどれくらい影響があるのでしょうか。ここでは住宅ローン金利を年1.0%、がん団信で0.1%金利が上乗せされると仮定して試算してみましょう。試算の結果は次の通りです。
・がん団信なし(金利1.0%):月々の返済額11万2914円、総返済額4742万3753円
・がん団信あり(金利1.1%):月々の返済額11万4788円、総返済額4821万718円
月々の返済額は約2000円、総返済額は約80万円の差が生じます。
35年の保障なら金額差はそこまで大きくないと感じるかもしれませんが、本当に加入が必要かどうかを考えることが重要です。理解しておくべき判断ポイントとして主に次の2点が挙げられます。
1つは、保障額の経時変化です。がんの罹患(りかん)率は年齢とともに高まる傾向にある一方で、住宅ローンの返済が進み、残高は年々減っていきます。リスクが高まる時期には保障額(ローン残高)も減るという構造になっています。
もう1つは、貯蓄や配偶者の収入状況です。配偶者の収入が安定している場合や十分な貯蓄がある場合は、ローン完済効果の必要性は相対的に下がります。これらの状況をふまえて、がん団信に加入する必要があるかどうかを納得した上で判断することが大切です。
保障内容と費用をふまえて加入するかどうかを判断しよう
がん団信は、「何となく不安だから」という理由で加入するのではなく、具体的な数字で比較することが重要です。4000万円借入の場合、年0.1%の上乗せで総返済額は約80万円増える可能性があります。
保障が手厚くなる一方で、がんに罹患しやすくなる年齢におけるローン残高や、貯蓄状況、配偶者の収入状況などをふまえて、加入の必要性を考えることが重要です。保障内容と費用のバランスを整理し、自分たちにとって納得できる選択をしましょう。
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
