退職後も住宅ローン「月7万円」を払う予定です。年金生活で返済を続ける人は多いのでしょうか?
それでは、年金収入を中心とした生活の中で、毎月7万円の返済を継続することは現実的なのでしょうか。本記事では、関連するデータをもとにその負担の程度について整理していきます。
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目次
60代の住宅ローン残高は平均約700万円! 定年後も返済が続くことは珍しくない
「定年退職を迎えても住宅ローンが残っているのは、自分だけではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、最新の統計データを見ると、シニア世代になっても住宅ローンの返済を続けている世帯は一定数存在します。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2025年)」によると、世帯主が60代で住宅ローンを抱える世帯における住宅ローン残高の平均額は697万円です。70代では平均474万円となっています。
ライフスタイルの変化や住宅価格の高騰などにより、退職後も「月7万円」程度の返済が続くケースは、決して特殊な状況ではないと考えられます。
月7万円の住宅ローン返済が家計を圧迫する現実
退職後に月7万円の返済を続ける場合、最大の懸念は「収入に対する住居費の割合」です。現役時代は給与収入があったため、月7万円程度の支出は家計の一部に過ぎなかったかもしれません。しかし、年金生活ではこの金額が家計の大きな負担となり得ます。
日本年金機構によると、令和8年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な給付水準)は月額約23万7000円です。
この受給額から月7万円の住宅ローンを支払うと、住居費負担率は約30%に達します。もし単身世帯で老齢基礎年金のみ(令和8年度の満額で月額7万円程度)の場合、ローン返済額ですべて消えてしまいます。
固定資産税や、マンションであれば管理費・修繕積立金、さらに将来の医療費やリフォーム費用を考慮すると、月7万円の返済を維持するには、年金以外の貯蓄を取り崩すか、再雇用などによる就労継続が前提となる厳しい状況と考えられます。
返済が苦しくなる前に検討したい「3つの対策」と金融機関への相談
「このままでは返済が立ち行かなくなる」と感じた場合、滞納する前に具体的な対策を講じることが重要です。
まずは、現在契約している金融機関に相談し、返済期間の延長や一定期間の元金据え置きなど、条件変更(リスケジュール)の可能性を探りましょう。それ以外の主な選択肢として、以下の3つが挙げられます。
(1)住み替え・任意売却
自宅を売却し、その代金でローンを返済した上で、家賃の安い賃貸やコンパクトな中古物件へ移る方法です。
(2)リバースモーゲージ
自宅を担保に融資を受け、借入期間中は利息のみなどの軽減された返済で、借入人が死亡した後に返済義務が発生する仕組みです。返済方法や返済タイミングは商品や金融機関によって異なり、自宅を売却するほか、相続人が現金で一括返済するケースもあります。
(3)リースバック
自宅を専門業者に売却して現金化し、その後は賃借人として同じ家に住み続ける方法です。所有権は失いますが、売却代金などで住宅ローンを返済できれば返済義務がなくなり、まとまった資金を確保できます。
これらの方法は、物件の資産価値や個人の状況によって最適な選択が変わります。早い段階で、必要に応じて専門家などに相談することが重要です。
老後の住宅ローンは「早めの情報収集」と「柔軟な選択」が大切
退職後も「月7万円」の返済が続くことは、現代の日本では珍しいことではないと考えられます。しかし、年金収入がメインとなる生活において、固定費である住宅ローンが家計の重荷になることは事実です。
まずは現在の貯蓄額と将来受け取れる年金額を正確に把握し、何歳まで今の返済を続けられるかシミュレーションを行うことが第一歩となります。
返済に不安を感じる場合には、1人で抱え込まず、早めに対策を検討することが重要です。例えば、リバースモーゲージやリースバックといった制度の活用に加え、将来を見据えた住み替えを選択肢として検討する方法もあります。
こうした手段を組み合わせて検討することで、老後における住まいと家計の安定につながるでしょう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年 二人以上世帯 各種分類別データ(令和7年) 32 住宅ローン残高(借入金額回答世帯)
日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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