「住宅ローン3500万円」を“ボーナス払い”にした40代会社員…一度だけ“賞与50万円カット”で滞納したら、まさか「一括返済を求められる」なんて! 甘く見てはいけない“厳格な銀行ルール”
都内の企業に勤める40代の男性会社員は、青ざめた顔でそうつぶやきました。
彼は数年前、念願のマイホームを購入するにあたり、3500万円の住宅ローンを組みました。毎月の返済負担を少しでも軽くするため、年2回の「ボーナス払い」を併用する一般的なプランです。しかし、会社の業績が悪化し、あてにしていた夏のボーナスが突然50万円もカットされてしまいます。
口座には生活費しか残っておらず、ボーナス月の住宅ローン引き落とし日に数十万円が用意できないという事態に陥りました。「来月の給料が入ったらすぐに返せばいいや」。彼はそう軽く考えていました。
しかし、銀行のルールは私たちが想像する以上に厳格です。たった1回の「残高不足」でも、放置すれば優遇金利の取り扱いに影響したり、最悪の場合は残債の一括返済を求められたりするリスクがあります。本記事では、ボーナス払いに潜むリスクと、返済が厳しくなったときに取るべき対応を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士
甘く見てはいけない「たった1回の引き落としエラー」
住宅ローンを組むとき、多くの人は店頭金利から大幅に割引された「優遇金利」を適用されています。国土交通省の最新調査でも、民間金融機関の住宅ローンの大部分が、何らかの金利引き下げ措置を伴う変動金利型で貸し出されていることが分かります。
しかし、この金利優遇には「滞りなく返済を続けること」という厳しい条件がついています。
引き落とし日に残高不足で支払いが遅れると、それは銀行との「契約違反」になります。たった1回や2回の遅延であっても、優遇金利の取り扱いに影響する可能性があるのです。
優遇金利が外れると返済額はどれくらい跳ね上がるのか
例えば、適用金利0.5%で返済していたものが、優遇が取り消されて店頭金利の2.5%に戻ってしまったらどうなるでしょうか。
・毎月の返済額が数万円単位で跳ね上がる
・元金の減りが遅くなり、利息負担が大きくなる
・その後の借り換えを他行に申し込んでも、延滞履歴があるため審査に通りにくくなる可能性がある
ボーナスがカットされてただでさえ生活が苦しい状況で、返済額がさらに膨れ上がるという悪循環に陥るのです。
「期限の利益の喪失」とは
さらに恐ろしいのが、滞納が一定期間続いたときに問題になる「期限の利益の喪失」というペナルティです。
住宅ローンは、何十年もかけて少しずつ分割で返済できる権利(期限の利益)を与えられています。全国銀行協会の広報資料などでも示されている通り、借り手が契約通りに返済を行わない場合、金融機関から一括返済を求められることがあります。
つまり、残っているローン3000万円について、一括返済を求められる可能性があるのです。
ボーナス払いの数十万円すら払えない人が、何千万円もの大金を一括で用意するのは非現実的でしょう。最終的には競売に進み、住まいを失うだけでなく、売却額でローンを完済できなければ債務が残る可能性もあります。
ボーナスは「確約されたお金」ではないと心得る
「業績悪化でボーナスが出ないなんて聞いていない」。勤務先の事情で収入が減ったとしても、銀行が自動的に待ってくれるわけではありません。多くの会社員は、今の時代に「絶対に下がらない給料」など存在しないことは理解しているはずです。
もしボーナスカットなどで返済が厳しくなりそうだと分かったら、絶対に「引き落とし日」をスルーしてはいけません。信用情報に延滞情報が登録される前に、自ら銀行の窓口へ出向き、返済期間の延長やボーナス払いの取りやめなど、条件変更(リスケジュール)の相談をすることが現実的な対応策の一つです。
まとめ
目先の負担を減らすために選んだボーナス払いが、家計や暮らしを大きく揺るがすリスクに変わるかもしれません。私たちは、そのルールをもっと真剣に受け止める必要があります。
出典
国土交通省 令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士