「ボーナス80万円」を“繰り上げ返済・NISA”どちらにすべきか夫婦で対立…「NISAはリターンが大きい」と思いますが、金利が「1%→2%」になれば“繰り上げ返済”が有利ですか?
では、繰り上げ返済とNISA投資、どちらが家計にとって有利なのでしょうか。
本記事では、モデルケースを例に、繰り上げ返済とNISA投資それぞれの試算を比較します。金利が上昇した場合と、利回りが変わった場合で結果がどう変わるかを示しながら、判断の分かれ目となるポイントを解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
金利が上がるほど「繰り上げ返済」の節約効果は大きくなる
繰り上げ返済は、毎月の返済とは別に元本の一部を前倒しで返す方法です。元本が減れば以降の利息も減るため、支払う利息の総額を抑えることができます。
今回はモデルケースとして、残高3700万円、金利1%、残り32年としてシミュレーションします。80万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合、金利水準ごとの節約額は次のとおりです。
現在の金利1%のまま変わらなければ、節約できる利息は約29万円、返済期間は約9ヶ月短縮されます。仮に、繰り上げ返済直後に金利が1.5%まで上昇した場合では節約額が約48万円、2%まで上昇すると約70万円になります。
このように、金利が上がれば上がるほど、元本を早期に減らすことの効果が大きくなっていくのです。
NISAは長期間運用するほど「複利の力」が働く
80万円をNISAで一括投資した場合、運用期間が長いほど複利の効果によってリターンが大きくなる可能性が高くなります。
金融庁が公表したデータによると、1989年以降、毎月同じ金額を国内外の株式と債券に積み立てた場合、保有期間20年ではどの時点から始めても元本割れとなったケースはありませんでした。このデータをもとに年平均利回りを試算すると、おおむね2~8%程度の範囲に収まります。
では、80万円をNISAで一括投資した場合の利回りを2%・5%・8%の3パターンで試算してみましょう。
投資元本80万円を除いた利益のみで比較すると、年利2%なら20年後に約39万円、年利5%なら約132万円、年利8%なら約293万円になります。数字の上では、NISAで運用した場合のリターンのほうが大きくなります。
ただし、これは一定の利回りが続いた場合の概算であることに注意が必要です。NISAでは元本割れのリスクもゼロではありません。
「どちらが有利か」より「どちらが自分たちに合うか」で判断する
判断の分かれ目は、金利と利回りの差よりも「家計のリスク許容度」です。繰り上げ返済は、利息という確実なコストを減らす安心感があります。一方、NISAは大きなリターンを狙える反面、運用途中に資産が減る可能性もあります。
また、住宅ローン控除の適用期間中は、繰り上げ返済で残高が減ると控除額も減ります。例えば、金利1%で控除率0.7%が適用されている場合、実質的な金利負担は0.3%程度にとどまります。控除の恩恵が大きい時期に繰り上げ返済を急ぐより、控除期間が終わってから検討するという考え方もあるでしょう。
まとめ
変動金利が2%を超えれば繰り上げ返済の節約効果は約70万円に達し、NISAは年利8%で20年運用すれば利益が約293万円になる可能性があります。しかし、どちらが正解かは完済するまで分かりません。
日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%へ引き上げており、追加利上げが続けば変動金利はさらに上昇する可能性があります。「金利上昇が怖い」なら繰り上げ返済、「長く運用できる」ならNISAなど、夫婦で話し合う材料にしてください。
出典
日本銀行 金融市場調節方針の変更について
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
