住宅ローンを相談しに行く前に知っておきたいポイント

配信日: 2019.12.17 更新日: 2020.07.03

この記事は約 7 分で読めます。
住宅ローンを相談しに行く前に知っておきたいポイント
住宅の購入の際、住宅ローンを組む方は多いと思います。しかし、その際の相談内容やポイントを理解している人は少ないのではないでしょうか?
 
具体的な相談をせずに流されるままにローンを組んでしまい、後々後悔するような事態はできるだけ避けたいものです。
今回は、住宅ローンの相談をしに行く前に知っておきたいポイントについて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンの相談ってどこでできるの?

住宅ローンについて相談できる場所はさまざまです。
 
・不動産会社が開催する相談会
・金融機関が開催する相談会
・専門家が実施する相談会

 
などいろんなパターンがあります。それぞれで、目的や特徴が異なるため、相談回数は1回に絞らず、また、開催先も複数選んで比較検討するようにしましょう。基本的に不動産会社や金融機関が開催する相談会では、以下のような相談が可能となっています。
 
・自分の状況だといくらまで借りることができるのかの目安
・気になる諸費用はどれくらいなのか
・返済期間は何年にすべきなのか、また何年までに返済する必要があるのか
・どのような種類の住宅ローンがあるのか
・固定金利と変動金利の違いは?

 
・夫婦2人で借りる場合の手続き方法について
・返済が滞った場合、その住宅ローンはどうなってしまうのか
・実際の返済額はいくらになるのか
・借りるときに必要な書類にはどんなものがあるのか
・住宅ローンが実際に融資されるまでにどのくらいの時間がかかるのか
・もし途中で返済が難しくなった場合、どうすればいいのか

 
このように不動産会社や金融機関での相談内容は、「住宅ローンについて」や「手続きについて」の話がメインになります。
 
一方、FP(ファイナンシャルプランナー)や住宅ローンアドバイザーなどの専門家が実施する相談会では、上の内容はもちろんのこと、
 
・手数料を含めた総返済額が最もお得な金融機関はどこかの比較
・団体信用生命保険の保障内容の比較
・今後のライフプランに合った返済計画の提案
・家計の見直し提案
・住宅ローン控除などお得な制度の案内

 
など、住宅を購入するにあたっての家計の見直しや、今後のライフプランも踏まえた相談が可能です。また、金融機関に属していない専門家であれば、中立的な立場での意見を言ってくれるので安心できます。住宅ローンそのものの内容以外にも、家計全般のアドバイスをしてもらえるところは魅力的だといえるでしょう。

住宅ローンを組むときに相談しない人が多い?

住宅金融支援機構が発表している「民間住宅ローンの実態調査」(※)によると、「住宅ローンを利用するうえで役立った情報源」のトップに、「住宅、販売事業者(営業マン・店頭・営業所など)」が挙がっており、その割合も50%前後と半数近くを占めていることが分かります。
 
次いで多いものが「インターネット」で、こちらについては30%弱となっています。つまりほとんどの方が、購入先の不動産会社の担当者とインターネットからの情報のみで住宅ローンの借入先を決めているのが実情のようです。
 
最近は、メインバンクであれば住宅ローンの金利を優遇してもらえる金融機関もあり、ネット銀行でも住宅ローンの商品が出てきています。
 
その他、不動産会社経由で金融機関を紹介してもらう「提携ローン」という方法もあります。そのような情報も積極的に取り入れて比較検討してみるのも良いかもしれませんね。

住宅ローンについて相談する前に準備しておきたいポイント

上述のように、住宅ローンについての相談先については、目的によって大きく2つに分類されます。

1.住宅ローンについて相談したい

何について聞きたいと思っているのかをまず明確にし、それに応じた相談先を決めるようにしましょう。相談したい内容が複数あるのであれば、聞き漏らすことのないようにきちんとメモをしていくことも大切です。
 
気になっている金融機関があれば、その金融機関に相談に行くべきです。特に借り換えを考えている場合であれば、いくつか候補を決めてきちんと金融機関に相談する必要があります。

2.住宅ローンの審査について相談したい

まず、不動産会社の営業担当者に過去の事例について聞いてみましょう。実務でかかわっていることからも「審査」に関する知識に強く、リアルなアドバイス(金融機関に相談に行く際の注意事項や審査の一連の流れなど)を受けることができるでしょう。
 
現時点で購入する住宅も決まっておらず、そもそも「住宅を購入するべきか」を考えている状態であれば、FPや住宅ローンアドバイザーなどの専門家へ現状の家計診断も含めて相談することをおすすめします。
 
専門家へ相談するのであれば、無料なのか有料なのかもきちんと確認しておいたほうが良いでしょう。有料であれば、おそらく時間単位での相談料が設定されているはずですので、相談時間の大体の目安を聞き、その支払いの準備も忘れないようにしておくことも大切です。
 
最後に忘れてはいけないのは、全てにおいて共通することですが、必ず事前予約をすることです。そして予約の際には、相談において必要な書類等についてきちんと聞いておき、もれなく事前に用意しておくようにしましょう。

住宅ローンについて相談をするときの必要書類

不動産会社や金融機関に相談に行く際は、その時点で購入したいと思っている物件が決まっているかどうかで準備する書類が異なります。
 
<購入したいと思っている物件が決まっている場合>
・購入したいと思っている物件の概要がわかるチラシやパンフレット
・購入したいと思っている物件の図面(マンションなどの集合住宅であれば全体と専用部分がわかるもの)
・不動産会社が用意した書重要事項説明書(本書でなくても可)
・不動産会社との売買契約書(案の状態でも可)
 
<購入したいと思っている物件が決まっていない場合>
「住宅を購入したいが、今の収入で本当に住宅を購入するべきなのか」という悩みを持っていらっしゃる人もいるかと思います。
 
そのような場合、以下の書類を基に、今の収入やご自身の属性で購入できる住宅の金額の目安や、ローンを組む際の注意点などを教えてもらえます。
 
・直近の源泉徴収票または住民税決定通知書もしくは過去3年分の確定申告の控え
・身分証明書
・現在他のローンがあるのであれば、そのローンの残債証明書
 
もちろん、購入したい物件が決まっている場合についても、上に述べた源泉徴収票などの書類も必要となります。
 
<専門家に相談する際の必要書類>
FPや住宅ローンアドバイザーなどの専門家へ、現状の家計診断も含めて相談したいと考えている場合は、以下の書類を用意しておくと良いでしょう。
 
・世帯収入がわかるもの(源泉徴収票や確定申告書の控えなど)
・家計簿など毎月の支出がわかるもの
・預金通帳および生活費を引き落としている通帳
・現在加入している生命保険証券
 
他にも年金加入歴がわかる資料として「年金定期便」などがあるとリタイア後の生活を含めたアドバイスを受けることが可能です。

まとめ

住宅ローンの相談は、家が決まってから考えるという方が多いと思いますが、できればもっと前から相談しておくことをおすすめします。
 
なぜなら、「先に家を決めてしまうと無理な住宅ローンを組んでしまいかねない」ことや「希望の家が見つかっても、最悪住宅ローン審査が通らなかった場合は家探しをやり直す必要がある」など、最終的に当初考えていたこととは違う結果になってしまうこともありえるからです。
 
住宅ローンの内容は、金融機関によっても異なりますし、それぞれに特徴があるため、どれがベストというのは一概に決めることは不可能です。
 
また、返済を世帯主1人で行うのか、共働き世帯であれば夫婦の収入を合わせた形で行うのかによって、相談内容や準備する書類および手続きなども変わってきます。よって、初めて住宅ローンを借りようとしている人であればなおさら、まずはFPや住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談することをおすすめします。
 
そして、ご自身の住宅購入後のライフプランも踏まえた上で、いただいたアドバイスを基に自分に合った最適なローン商品を選択し、返済計画を立てていくようにしましょう。
 
(※)住宅金融支援機構「民間住宅ローンの実態調査」
(参考)住宅支援機構「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員


 

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