住宅ローンの借入可能額とは? 年収との関係や計算方法を解説
配信日: 2021.02.04
今回は借入可能額がどのように決まるのかについて解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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目次
借入可能額はどうやって決まる?
借入可能額については、以下の3つの要素により決まるといわれています。
1.返済負担率
返済負担率とは、年収における年間の総返済額(住宅ローン以外の借入も含めた金額)の割合のことです。
住宅金融支援機構が提供しているフラット35のように、年収別の返済負担率を公開しているところもありますが、ほとんどの金融機関においては返済負担率の目安については公開していません。ただ、総体的に20%以下であることが望ましいと考えられています。
2.審査金利
審査金利とは適用される金利ではなく、金融機関が審査時に用いる金利のことです。適用金利は各金融機関の公式サイトにて公表されているとおり、0%台から1%台のものが多いですが、審査金利においては、金利の変動を見越して設定されていることから、3~4%が目安となっているといわれています。
ただし、すべての金融機関が審査金利を用いるわけではなく、実際に借入する際の金利で審査を行う金融機関も存在します。
3.他社からの借入状況
住宅ローンを申し込む際には、他社からの借入があるのか、そしてその額はいくらなのかを審査されます。そしてその額があまりにも大きいと、借入可能額が少なくなる可能性があります。
金融機関としては、融資したお金を安定して返済してくれることを一番の条件と考えますので、住宅ローンの返済が他社からの借入に影響されるような事態が起こることを恐れます。
したがって、住宅ローンを申し込む前に他社からの借入をできるだけ完済しておくことをおすすめします。もしも借入残高があまりにも多く、完済は難しいということであれば、一部返済を行うなど、残高をできるだけ少なくしておくと良いでしょう。
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住宅ローンの借入可能額と年収の関係
住宅ローンの借入可能額を決める際に、年収は非常に大きな審査要素です。また、自身でも、自分の年収でどれくらいの借入可能額を考えたら良いのかという目安を求めておくことも大切です。
ちなみにここでいう年収とは、税金が控除される前の額面の金額(税込年収)で考えることも覚えておきましょう。給与所得者の場合は、源泉徴収票に記載されている「支払金額」の額で考えますし、自営業者の場合は、収入からそれに伴う経費を差し引いた所得が年収となります。
また、住宅ローンには収入合算そしてペアローンという申込方法があり、例えばペアローンであれば、自分の年収では借入可能額が少ないと予想される場合において、配偶者に収入があるのであれば一緒に住宅ローンの契約(契約はそれぞれ別々)を行い、収入を合わせた最終的な借入可能額を判断してもらうこともできます。
年収別! 借入可能額と毎月の返済額
例えば、年利1%の固定金利で35年間の借入を行うと想定しましょう。そして、その際の返済負担率は20%とし、ボーナス払いもなしとします。計算の順序としては年収と返済負担率により毎月の総返済額を決定し、その後借入可能額がいくらになるかという形です。
■年収300万円の場合
返済負担率から計算すると、毎月の返済額は「(300万円×20%)÷12」で求められ、その値は5万円となります。
これを年利1%で35年間返済していくと、最終的な総返済額は1771万円です。
(参考:住宅金融支援機構「シミュレーショントップ(借入可能額の試算(返済額より算出))」(※))
年収別における毎月の返済額、そして借入可能額について、以下の表にまとめましたので参考にしてください。
借入可能額の計算方法
最終的な借入可能額は、上記の式に他社からの借入額を加味して計算します。もし、上記と同じ条件(年利1%の固定金利で35年間の借入、返済負担率は20%)で他社からの借入があり、その返済が月に3万円あるとしましょう。
仮に年収300万円の方で、他社からの借入が3万円あるのであれば、毎月返済できる額は2万円まで下がり、借入可能な額は708万円まで下がってしまいます。
住宅ローンの借入額を決める際のポイント
ではここで、住宅ローンの借入額を決める際のポイントについてまとめてみましょう。
■返済は長期間に亘ることを踏まえて借入額を決める
住宅ローンは長期間に亘って返済を行うことが多いです。したがって、借入をする際の年齢や完済時の年齢も考慮しておく必要があります。
最大35年借りられるからといって、完済時年齢を65歳以降になるように設定してしまうと、老後の生活資金から返済していくことになってしまうため、それはできれば避けたいものです。
したがって、借入期間については完済時年齢も考慮しながら設定し、それに基づいて最終的な借入額を決めるようにしてください。
■返済シミュレーションを作成する
ほとんどの金融機関において、住宅ローンのシミュレーションサイトを用意しています。毎月の返済額から借入可能額を求めることができるものや、年収から毎月の最大の返済額を算出できるものもあります。
このようなさまざまなシミュレーションを用いて、確実に返済できる計画を立てることも大切です。
■住宅ローンの返済額以外の費用に注意
住宅ローンの契約は、物件の購入金額のほかにさまざまな費用が発生します。例えば、金融会社に支払う手数料や不動産会社等の契約書に用いる印紙税、そして登記の際の登録免許税など、総額で考えると数十万円にも上ります。
年収だけで試算した借入可能額では返済が難しくなる可能性もありますので、事前にそれらの諸費用がいくらかかるのかも確認し、それを合算した額でシミュレーションを行うようにしましょう。
■マイカーローンなど他に借入がある場合
上でも述べたように、他社からの借入がある場合はその返済額を考慮する必要があります。また、現在の他社からの借入だけでなく、今後発生する可能性がある借入についても考慮しておくことが大切です。
いざとなった時に慌てないように、今後のライフイベントをきちんと把握し、それに合わせた収支計画を立てておくようにしてください。
「借りられる金額」と「無理せず返済できる金額」の違いに注意!
住宅ローンにおける借りられる額とは、一般的に年収を基に計算します。しかし、無理せず返済できる金額については、手取りの収入を基に家計収支から判断します。
そして、住宅ローンの借入では、借りられる金額ではなく、無理せず返済できる金額が最終的に借入を行うべき額だと考えましょう。
まとめ
本記事で記載したように、借りることができる金額と返済できる金額は異なります。自分の年収や年齢、そして借入期間、さらには他社からの借入や今後のライフイベントなどを総合的に考慮し判断する必要があります。
住宅ローンの返済が厳しく、ライフイベントの実現に影響をおよぼすことのないように、余裕をもって返済できるようなプランを立てていくようにしましょう。
(※)住宅金融支援機構「シミュレーショントップ(借入可能額の試算(返済額より算出))」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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