更新日: 2021.02.12 住宅ローン
住宅ローン控除はどうやったら利用できる? 初年度の申請方法を解説
今回は、住宅ローン控除に関する税制改正の内容と併せて、初年度における申請方法についても説明します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した際に、その住宅や控除を受ける人の要件が一定の条件に当てはまる場合、一定期間において税額の控除を受けることができる制度です。
住宅ローン控除の適用期間は、本来10年間となっていますが、消費税が10%に引き上げられた2019年10月1日以降は、消費税の負担軽減策の一環として、適用期間が10年間から13年間へと一時的に延長されています。
住宅ローン控除に関する税制改正
2020年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」によると、この制度を利用できる期限(改正前は2020年12月末までの入居が要件)が2年延長され、2022年12月末までに入居すれば13年間の控除が受けることができるとされました。ただし、契約の期限が設定されていますので注意が必要です(詳細は後述)。
さらに、この度の改正では、対象となる住宅の床面積についても拡充されることとなりました。今までの要件では、対象となる住宅の床面積については50平方メートル以上であることが要件となっていましたが、改正により、住宅の床面積が40平方メートル以上に拡充されています。
ただし、この住宅ローン控除の適用を受けようとする際、住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅の場合、「控除を受ける年の合計所得金額が1000万円以下」という条件をクリアする必要があります。50平方メートル以上の場合の所得制限については、今までどおり控除を受ける年において3000万円以下の所得金額で変更ありません。
(参考:財務省「令和3年度税制改正の大綱」(※))
わが家は対象? 住宅別の要件とは?
では、改正によって契約期間の要件がどのように変わったのか、その詳細を説明します。
また、どの住宅においても2022年の12月末までに引き渡しを受け、入居していることが要件となっています。
住宅ローン控除を利用するには?
住宅ローン控除の適用を受けるには、初年度は確定申告を行う必要があります。給与所得のみの方であれば、2年目以降は年末調整で完結させることができますが、初年度について住宅ローン控除の適用を受けるには、必ず確定申告を行う必要があることを忘れないようにしてください。
確定申告で住宅ローン控除を申請する流れ
確定申告にて住宅ローン控除を申請するには、まず以下の書類をそろえる必要があります。
使用する確定申告書は申請する所得の種類によって異なります。会社員の方で、収入が「給与所得」「雑所得」「配当所得」および「一時所得」のみの方は、確定申告書Aという様式を使用します。自営業者や上に挙げた所得以外の申請を行う方は、確定申告書Bという様式を利用しますので、間違えないようにしましょう。
確定申告書の様式については、税務署で入手できますし、国税庁の公式サイトからダウンロードして印刷し、利用することもできます。
住宅ローン控除額の算出を行うために必要な書類で、こちらについても税務署および国税庁の公式サイトから入手可能です。
給与所得者は源泉徴収票が必要ですので、お勤め先にて取り寄せてください。最近では給与明細と同様に、イントラネット上で確認できるようになっている企業がほとんどだと思いますが、確定申告の際に提出する必要がありますので、印刷して保管しておきましょう。
登記事項証明書は、法務局にて取り寄せる必要があります。最寄りの法務局にて入手するようにしてください。
これらの書類については、不動産会社と売買契約を結んだ際や建設会社と工事の契約を結んだ際に本書を1部わたされているはずです。したがって、それをなくさないように保管しておくことが大切です。ただし、確定申告の際には写しが必要となることから、もし本書がどうしても見つからなかった場合においては、不動産会社もしくは工事会社に確認してみましょう。
住宅ローンを利用している金融機関から毎年11月頃に送られてきます。この残高証明書に記載されている額を基にして、ローン控除額を算出することになりますので、こちらも届いたらなくさないように注意して保管しておきましょう。もし11月の下旬になっても届かない場合は、念のため金融機関に確認することをおすすめします。
住宅ローン控除を受ける際、「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」などに該当すると、より多くの控除を受けられるケースもあります。仮にお住まいの住宅がそのケースに当てはまる場合は、その要件をクリアしているという証明書類が必要となります。
これらの書類に申請して適合しているという通知書をもらっているはずですので、それを保管しておきましょう。もし、見当たらない場合は、管轄である市区町村の建築課窓口に相談し、それに代わる「台帳記載事項証明書」を発行してもらうようにしてください。
書類によっては、管轄の市町村役場や法務局および税務署などに赴く必要がありますので、その際には1日で済ませることができるように段取り良く動くようにすることがポイントです。
上に紹介した書類がすべてそろったら、確定申告書に必要事項を記入し、管轄の税務署に提出します。
確定申告書への記入の際には、まず「住宅借入金等特別控除額の計算証明書」の作成から始めましょう。この証明書に必要事項を記入し、控除額が算出できたら、それを源泉徴収票の記載内容とともに確定申告書に転記していきます。
そして、記入が終わった確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算証明書などの必要書類を合わせて、税務署に提出することで、初年度の確定申告は終了します。
もしも書き方が分からない場合は、確定申告時期に相談コーナーが税務署内や確定申告場所に設けられていますので、相談しながら記載していくとよいでしょう。
還付金はいつ払い込まれる?
確定申告書を提出し、内容に間違いないと確認されたら、還付金(控除額)が自分の指定した口座に振り込まれます。期間については、確定申告書を提出してから1カ月程度と考えておけばよいでしょう。
住宅ローン控除の手続きを忘れてしまった場合
住宅ローン控除の手続きは、確定申告の期限内に済ませる必要があります。しかし、もしも忘れてしまった場合でも、住宅ローン控除については5年以内であれば、さかのぼって控除を受けることが可能です。
申請は、確定申告の期限後でも行うことは可能ですが、税務署に行く前に事前に連絡を入れ、期限に間に合わなかったが申告をしたい旨伝えて相談されることをおすすめします。
まとめ
住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度はどうしても確定申告を行う必要があり、またそのためにそろえる書類も数多くあります。したがって事前に漏れのないように準備しておきましょう。
還付金を受けるだけであれば、確定申告の時期(通常であれば、2月16日から3月15日)よりも前であっても受け付けてもらえますので、早めに準備し提出するようにしましょう。
(※)財務省「令和3年度税制改正の大綱」
執筆者:新井智美
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