夫婦で2500万円、年金月額換算27万円という数字の意味と老後の過ごし方
配信日: 2018.02.19 更新日: 2020.04.07
以前ならば、赤いちゃんちゃんこを着て、子どもや孫に囲まれて楽しいひと時を過ごすというのが定番でしたが、今やそういった光景はほとんど目にしなくなりました。
それよりもむしろ、「これからどうするの」という不安の影にうろたえる方が、なぜかこの期に及んでも『密かに』ご相談に来られます。闇雲に不安を抱えるのではなく視界をはっきりさせましょう。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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夫婦で2500万円、年金月額換算27万円という数字と比較する意味
なぜか、ご相談の時に多いのは「60歳ぐらいの夫婦なら貯金はどのくらいあればいいのかしら?」「よくいろいろな資料では2,500万円~3,000万円ぐらいというけれど」という自分の貯蓄額の相対的ポジション。
これはどんなご相談でも必ずお伝えしますが、他人と比べる、平均値と比べることは何の意味もありません。
年金受給額(月額換算)についても然りです。大きな誤りの1つ目は、今まで稼いできた経緯も相続によって得た資産も、お金の使い方も何一つ同じ家計はないこと、2つ目は貯蓄が平均を下回ったといって嘆いたところで、時計の針を戻すことは誰にもできないことです。まずこの2つを認識して、一般的な数字に振り回されるのはやめましょう。
人生の第二楽章を60歳と決めるのはナンセンス
年金の支給額が「一般的な」生活費を下回っているから不足額を貯蓄の取り崩しで補うというのは、とても美しい方程式です。
そこで、すぐに底が尽きてしまいそうだというのであれば、底が尽きるタイミングを先延ばしにする「実行可能な」方法を考えましょう。
節約しますか?これはそもそも実行可能でしょうか?長続きはしないと思います。なぜなら、人の生き方=お金の使い方は60歳を境にスイッチを切り替えるようには変えられないからです。
ならば夫婦で2馬力。これを使わない手はありません。なんでも60歳で線を引く時代ではありません。ライフスケールがのびたのですから、それにあわせてワーキングスケールものばせばいいのです。
夫婦2人で1,000万円の貯蓄でも黒字で一生終わらせられる
いつまでも仕事をするのは疲れると思われるかもしれませんが、いざ定年になって、いきなりハサミで切ったような切り口は不健康な老後を自ら選択するようなものです。
平日昼間のショッピングモールを見てみましょう。何をするでもなくぼーっとしたプレシニアがモールの椅子に座っています。
体をもてあまし、いきなり社会との接触をなくせば、考えることはネガティブスパイラルに陥ることだけです。
奥様と交代でお互い週2回ずつでも就労を続けることになぜ二の足を踏むのでしょうか。わずかでもキャッシュインフローがあるだけで、家計運営はまったく違います。社会とのつながりを継続する、収入を確保する、行政窓口の活用方法などちょっとした耳学問としてもプラス、奥様と情報交換すれば新鮮な情報も入手できます。5,000万円の貯蓄がある非就労の夫婦VS1,000万円の貯蓄の就労夫婦。
どちらが健全か、明らかです。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表