更新日: 2019.01.11 セカンドライフ

貧困による高齢者の犯罪が増加! 老後破産を防ぐためにできること

執筆者 : 藤丸史果

貧困による高齢者の犯罪が増加! 老後破産を防ぐためにできること
最近、高齢者の犯罪が増えているそうです。貧困による万引きなどの窃盗では、特に女性の割合が目立っています。
 
しばしば、老後破産などと言われますが、シニア世代の家計には破綻に陥りやすい要因がいくつもあることを念頭に、対策を考えていかねばなりません。
 
私たち現役世代にとっても、けしてひとごとではない老後の貧困問題。
 
老後に向けて今からできることを、しっかり考えたいと思います。
 
藤丸史果

Text:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

高齢者の犯罪と貧困への不安

法務省の犯罪白書によると、平成29年の65歳以上の高齢者の刑法犯検挙人員は、平成9年の約3.7倍になっています。平成20年以降高止まりで、全体の約二割、女性では全体の約三分の一が高齢者です。
 
また、女性高齢者についてはほとんどが窃盗や万引きで検挙されています。
 
さらに、刑務所への入所受刑者は平成9年の約4.2倍、女性は約9.1倍です。
 
刑務所への高齢者の再入者の割合は70.2%と高く、多くの高齢者、特に女性が万引きなどを一度ではなく何度も繰り返して刑務所へ収容されていることが分かります。
 
高齢者が窃盗や万引きを繰り返す理由は、寂しさを紛らわせるためとか、あるいは介護疲れでストレスが溜まっていた、認知症の症状によるもの、などあるようですが、このような人が心身ともに十分なケアを受けられない状況であることは貧困と無関係とは言えないでしょう。
 
参考:法務省「犯罪白書」
http://www.moj.go.jp/content/001240287.pdf
 
犯罪を犯すほど極端でなくとも、現在の暮らし向きに不安を覚えている高齢者は多くいます。
 
内閣府の高齢者白書の「家計調査」によると、60歳以上の高齢者の経済的な暮らし向きは「家計にゆとりがなく多少心配である」と「家計が苦しく非常に心配である」と感じている人の合計が、60歳以上から79歳までのどの年齢階級でも三割以上を占めています。
 
特に多いのは60~69歳で、およそ38%。4割近くの高齢者が現在の家計に不安を感じていることが分かります。
 
参考:内閣府「平成29年度版高齢社会白書」
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_2.html
 

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まずは家計が破綻する要因を知り、できることから始める。

高齢者世帯の家計が破綻する要因は複数あります。
 
例えば、収入が下がったために貯蓄を切り崩して生活していたが、貯蓄がなくなってしまったということ。家のリフォーム費用や家電製品などの買い替え、旅行などのイベント費による破綻はしばしば起こり得ることです。
 
また子供が家を建てる資金、孫の教育資金などを援助し過ぎてしまうことや、詐欺などの被害に遭うなど、想定外の支出による破綻もあります。想定できない病気や介護によるものも考えられます。
 
低所得による破綻も増えており、これは年金がまったくもらえない、あるいはもらえても非常に少ない額の受給しかできないといった場合で、年金保険料の納付月が受給資格に達していないことによるものです。
 
他にも、予期せぬ熟年離婚による財産分与や、老後の面倒を見てくれるはずだった子供の経済状況の悪化など、挙げればきりがないほどです。
 
まずはリタイア後、収入に見合うように支出を抑え、家計を全体的に小さくするよう意識を変えていかなくてはならないでしょう。
 
そして、将来どれほどの貯蓄が必要になるのかをしっかり計算してから支出について判断する癖をつけましょう。
 
お金に関することは一人で判断せずに、家族や第三者に必ず相談するよう心掛けましょう。
 
健康を意識して病気のリスクをできる限り下げることや、お住まいの地域の公的な助成制度、医療や介護制度について、日頃から関心を持って調べておくことがいざという時に役立つと思います。
 
すでに高齢者で年金額が少ない人は、生活保護など公的支援を受けることを早めに考える必要があるでしょうし、現役世代であれば、年金の追納を早めに払っておくなどの対策をとると良いと思います。
 
なお、60歳を過ぎても収入があったり、女性の場合は夫の収入でまだご自身の年金を受け取らなくても余裕があるという場合には、年金の繰り下げ受給についても検討してみましょう。
 
ただし、年金の繰り下げにより加給年金(65歳時に配偶者や高校生以下の子供のいる人に本来の年金に加算される年金)がもらえなくなり、かえって損をしてしまう場合もありますので試算してから判断されることをおすすめします。
 

現役世代からできることとは

厚生労働省によると、2016年の日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。内閣府の推計では、約40年後の2060年には男性84.66歳、女性91.06歳と、女性の平均寿命は90歳を超える見込みです。
 
参考:厚生労働省 平成28年簡易生命表の概況1.主な年齢の平均余命
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life16/dl/life16-02.pdf
 
内閣府「高齢社会白書」
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf
 
私たち現役世代は、想定よりも自分が長生きし、その長生きが家計の破綻を招くリスクとなると考えたほうが良いでしょう。
 
長生きするぶん定年退職後の時間は長く、退職金や年金だけで暮らすという従来の老後はますます難しくなります。
 
年金の未払い期間がある人は追納を早めに行い、人によっては年金を最大限にもらうため、働き方について再考すべきかもしれません。
 
民間の保険を賢く利用し、最小限の保険料で最大の保障が得られる商品に加入する。リスクに備え、余裕資金があればiDeCoや「つみたてNISA」などの投資に挑戦し、貯蓄を増やす。このようなことを考えても良いと思います。
 
また、最近では副業をする人が増えていますが、現役世代のうちから収入源を一つに決めず、本業の退職後にも続けられるような仕事を複数持っておくと安心です。
 
一つ一つの収入は少なくても、年金と合わせれば貯金を切り崩さないで生活できるだけの額になるかもしれません。
 
特に女性は平均的に男性より寿命が長いため、できる限り貯蓄を切り崩さず生活できるよう、いかに長く、自分で稼ぎ続けるかという意識を持っておくことも重要だと思います。
 
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー