更新日: 2021.12.22 介護
介護費用の平均はいくら? みんなはどう準備しているの?
人生100年時代。長生きするほど介護費用が必要な期間も長期化する可能性があります。介護は人ごとではありません。データを参考に介護費用はどのくらい準備すればよいか確認し、早めに準備を開始しましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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介護費用の平均額は?
同調査によると、過去3年間に、高齢で要介護状態(寝たきりや認知症など)になった家族や親族の介護の経験をたずねたところ、介護を始めてからの期間(介護中の場合は経過期間)を見ると、平均61.1ヶ月(5年1ヶ月)となっています。
介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)の合計額は平均74万円となっています。
月々の費用(月々支払っている・支払っていた費用)を見ると、1ヶ月当たり平均で8.3万円です。これらのデータを基に単純計算すると、介護費用の平均額(初期費用含む)は、約580万円です。この金額は、在宅介護、施設介護を含んだ金額です。
在宅介護と施設介護とでは介護費用が大きく異なるので、介護をする場所別で計算して示すことができればよいのですが、場所別のデータは執筆時点では公表されていませんでしたので今回はご案内できません。
介護費用の準備の方法
介護保険被保険者証(介護保険証)は65歳になると送られてきますが、医療保険と異なり、持っているだけでは利用できません。
介護サービスを利用するには市区町村から要介護認定を受けなければなりません。申請から認定の通知までは1ヶ月程度かかりますので、介護が必要になったら早めに申請を受けましょう。
要介護認定を受けた方が、サービス事業者と契約し介護保険サービスを利用すると、所得に応じてサービス費用の1~3割で利用できます。これらの費用の準備の方法は、公的介護保険と預貯金でまかなうのが一般的です。
生命保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)」によると、「ご自身が要介護状態になった場合に、どのような手段で介護費用をまかなっていこうと考えていますか?」に対し、公的介護保険73.6%、預貯金63.5%、公的年金60.9%、生命保険31.0%などとなっています。
サービスメニューにないサービスや、利用限度額を超えてサービスを利用した場合には自費(10割負担)になるので、多くの方は保険外の費用が発生しないように気を付けています。
公的介護保険は最低限の保障ですので、充実した介護サービスを受けるため、保険外のサービスを利用する方もいます。
全国実態調査によると、公的介護保険の範囲外の費用を準備する場合、現在準備しているもののうち、世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の、公的公的介護保険の範囲外の費用に対する経済的準備手段として期待できるものは、「預貯金・貸付信託・金銭信託」が35.7%と最も多く、次いで「生命保険(介護保険や介護特約以外)」15.5%、「不動産」11.0%、「有価証券」9.8%、「生命保険(介護保険や介護特約)」8.5%の順となっています。
このように、介護への備え方はさまざまな手段があります。自分に合う手段で準備しましょう。
まとめ
介護費用の準備の方法としては、まず、公的介護保険の徹底活用があります。ただし、公的介護保険だけでは十分なサービスを受けることができないと考える人もいるでしょう。公的介護保険の範囲外のサービスを利用する場合、自費になります。資金の準備を早めに行いましょう。
自治体によって内容は異なりますが、公的介護保険の範囲外のサービスを助成していますので調べてみましょう。
介護の特徴に「介護がいつ終わるかわからない」があります。介護が長期化すると、預貯金だけでは資金が枯渇する可能性があります。心配な方は、預貯金だけではなく民間介護保険(終身保障)で備えると安心です。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。