更新日: 2022.04.29 介護
介護福祉士の年収は? 需要の高まりで増加する介護福祉士の収入事情を紹介
2017年に要介護または要支援の認定を受けている人は628万2000人です。介護認定を受ける人は毎年増え続けているので、介護業界は今後も需要が高まるといえるでしょう。
そこで、需要が今後も高まる介護福祉士の年収や、国からの支援策を併せて解説します。介護福祉士を取り巻く給与事情を把握する参考にしてください。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
介護福祉士の年収は?
2019年の平均年収は292万円でした。月給に換算すると24.3万円です。
需要が高い業界の仕事ではありますが、平均をみると決して高い収入とはいえません。図表1にある通り、年代別で最も高かったのは、男性の40代で405万円でした。
図表1
年代別 | 男性(単位:万円) | 女性(単位:万円) |
---|---|---|
10代 | 274 | 232 |
20代 | 307 | 288 |
30代 | 366 | 277 |
40代 | 405 | 282 |
50代 | 395 | 288 |
60代以上 | 297 | 221 |
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 令和2年度 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の『就労状況調査』(速報版)より筆者が作成
2020年から給与額が増加
介護福祉士の給与は、2020年から右肩上がりに増え続けています。2020年9月の調査結果によると、介護福祉士の平均月収は32万8500円で、2021年9月は33万4510円でした。勤続年数が10年を超えると、月収の平均は35万5010円となり、10年未満の給与より3〜4万円ほど上乗せされています。
図表2
勤続年数/調査年月 | 2021年9月 | 2020年9月 |
---|---|---|
全体平均 | 33万4510円 | 32万8500円 |
~4年 | 31万2100円 | 30万2200円 |
5年~9年 | 32万5000円 | 31万9310円 |
10年以上 | 35万5010円 | 34万9440円 |
出典:厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要 介護福祉士の平均給与額の状況より筆者が作成
以上から、2020年以降は介護福祉士の給与水準は大きく向上したといえます。
介護福祉士の年収をあげる介護職員処遇改善加算とは?
2020年以降に給与が増えた理由に、厚生労働省が導入した「介護職員処遇改善加算」が影響しています。介護福祉士の年収をあげた制度を詳しく確認しておきましょう。
介護職員処遇改善加算の概要
介護職員処遇改善加算とは、介護職員の賃金改善を目的にした加算です。
図表3にある通り、介護事業所で一定の条件(キャリアパス要件)や環境整備を満たす程度に応じて、介護職員は給与を加算して受け取ることができます。
図表3
出典:厚生労働省 「介護職員処遇改善加算」のご案内
介護の需要が高まる状況で、介護職員として安定的に働き続けることができる制度設計をしたと考えてください。2019年に導入した背景から、給与水準が2020年から上昇したといえます。
介護職員処遇改善加算の申請条件
介護職員処遇改善加算を申請する条件は「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」に分かれます。それぞれの定義は以下の通りです。
●キャリアパス要件1:職位や職責、職務内容に応じて賃金体系の整備をすること
●キャリアパス要件2:資質向上のための計画を定め、研修の実施または研修の機会を設けること
●キャリアパス要件3:経験や資格に応じて昇給する仕組みや昇給を判定する仕組みを設けること
●賃金改善以外で処遇改善の取り組みを実施すること。
要件を満たした種類に応じて、加算される額が変わります。要件を全て満たすと、月額3万7000円相当が加算される仕組みです。
加算の申請については、各自治体に必要な計画書や実績を報告する必要があります。
介護福祉士の需要に見合う給与水準にできるかがポイント
介護福祉士の年収や給与に関係する制度を紹介しました。
介護事業における需要の高まりに比例して、介護福祉士の登録者数は、令和3年度9月末時点で、181万3112人います。
今後は、介護事業の需要に見合う収入体系を維持できるかどうかがポイントになるといえるでしょう。
出典
内閣府 令和2年版高齢社会白書(全体版)
公益財団法人社会福祉振興・試験センター 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査結果」(速報版)
厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)
厚生労働省 「介護職員処遇改善加算」のご案内
厚生労働省 ページ6 介護福祉士の登録者数の推移
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー