更新日: 2019.01.10 介護

一人暮らしになった高齢の親、「終の棲家」はどうするべきか

執筆者 : 柴沼直美

一人暮らしになった高齢の親、「終の棲家」はどうするべきか
定年を数年後に控えて、自分の第2の人生について考えなければならないときと、自分の親が独りになったことによる転居のタイミングが重なるケースが増えています。

まだ施設に入るほどではないが、これまでの住居は広すぎる、かといって新たにマンションを購入するにはリスクが高過ぎる場合の、住居の探し方を考えてみましょう。

柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

特養は要介護認定者対象

特別養護老人ホーム、通称「特養」は社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設なので、65歳以上で自治体から要介護認定を受け、常に介護が必要な状態で自宅での介護が困難な人が対象になっています(月額5~15万円)。
 
したがって、年をとればだれでも入れるわけではなく、緊急性の高い人が優先なので、近所に面倒を見てもらえそうな人がいる場合などは10年以上の待ちとなることもしばしばです。
 
さらに料金が良心的であるだけに、個室は少なく、歳をとってから、価値観のまったく違う人と同じ部屋で過ごすことに抵抗感を持つ人も多いのが現実です。
 

有料老人ホームは誰でも受け入れ可能だが高額

これに対して、民間が運営する有料老人ホームは、自立でも要介護でも65歳以上であれば入居可能です。ただし、料金やサービス体系はまちまちで、初期資金が数十万から数千万まで、月額料金もさまざまです。
 
資金的に余裕があれば、有料老人ホームはこれから心配なことがあったとしても、終の棲家として適切です。
 

資金的な余裕がなければ家賃補助がもらえるか確認

この両者のどちらにも当てはまらなければ、1つめとしてURなど更新料や礼金などの心配が不要なところで、安心感がある物件を当たります。基本先着順なので、こまめにチェックするに限ります。
 
また内覧なしという場合もありますから、間取りなどで不安があれば納得できるまで確認しましょう。
 
2つめとしては、行政の家賃補助制度があるかどうか確認して、該当すればしっかり申請して活用することです。自治体によって家賃補助や引越費用補助といった金銭面での支援を提供する場合と、安否確認装置や手すりなどが取り付けられ、入居者支援のための生活協力員を配置した高齢者向け賃貸住宅を整備している場合があります。
 
いずれにしても自治体ベースであることと、申請をしなければ始まらないことから、他人任せにせず積極的に情報収集することが重要です。
 
「知らなかった」というのは「情報収集を怠った」と同義です。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

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