退職金にかかる税金とは? 受け取り方で変わるって本当?
配信日: 2022.08.24
本記事では、退職金にかかる所得税と住民税とは何か、また、退職金の受け取り方でどのように変わるのかを解説します。
退職金制度を導入している企業に勤めている方で、制度について詳しく分からない方は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金にかかる税金とは?
退職金をもらうときにかかる税金には、「住民税」と「所得税」の2つがあります。ただし、勤務先で所定の手続きを行えば、確定申告をする必要はありません。
まず、この項では、住民税と所得税とはどのような税金なのか、それぞれの課税の仕組みについて紹介します。名前は知っていても、概要についてよく分からない方は、ぜひ参考にしてください。
所得税
所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。自身の1年間の所得から、所得控除を差し引いた残りの金額に税率が適用されます。平成25年から令和19年までは、毎年「復興特別所得税」を所得税とあわせて納付します。
また、退職金は「退職所得」に該当するため「分離課税」となります。そして、退職金にかかる所得税の計算で使われる「退職所得控除」は、勤続年数によって変わり、勤続年数が長い方は控除額が大きくなります。
住民税
住民税には「市区町村民税」と「道府県民税」の2種類があります。主に学校教育や福祉、ごみ処理などの地方自治体が提供する、公共サービスの費用をまかなうために使われる税金です。
住民税には、個人の所得に応じた「所得割」と、所得に関わらず定額を負担する「均等割」の2種類があります。所得割の税率は、所得に対して一律10%です。一方、均等割は自治体ごとに一定額が課税されます。通常「市町村民税」が3500円、「道府県民税」が1500円の合計5000円と定められています。
しかし、退職金などの退職所得にかかる住民税も「分離課税」で、ほかの所得と区別して課されます。
退職金は受け取り方で税金のかかり方も変わる
退職金の受け取り方は、大きく分けて「一時金」と「年金」、またはその2つを併用する3つの方法があります。退職金は受け取り方によって、税金のかかり方やメリット、デメリットも変わるため、正しく理解しておきましょう。
なお、この項では、「一時金」と「年金」の2種類のケースについて解説します。併用するケースについては解説しておりませんので、ご注意ください。
一時金として受け取る場合
退職一時金とは、退職時に退職金を一括で受け取る方法です。一時金の最大のメリットには、税金面の優遇が大きいことが挙げられます。
日本の所得税は「超過累進課税制度」により、一般的に所得が高くなれば、高い税率が課される仕組みになっています。退職所得も、超過累進課税で速算表に当てはめて計算します。
勤続年数による退職所得控除額は図表1のとおりです。
【図表1】
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
~20年 | 40万円×勤続年数 |
20年超~ | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
※国税庁「退職金と税」より引用
受け取った退職金が、退職所得控除の範囲内であれば、税金がかかりません。例えば、勤続年数が35年の場合は、1850万円となるため、退職金がそれ以下の金額であれば課税されない仕組みです。
年金として受け取る場合
次に、退職金を年金として受け取る方法です。これはライフスタイルに合わせて、一括や分割と受け取り方を選択できます。
分割で受け取る場合、受取額が一時金よりも多くなります。なぜかというと、受け取っていない分の年金を、一定利率で運用すると想定した場合の「運用益」が上乗せされるからです。また、お金がまとまって入らないので、使いすぎを防げるなどのメリットもあります。
ただし、退職金を年金として分割で受け取る場合は、「公的年金等控除」の対象となり、控除を超えた分は「雑所得」として扱われ、住民税・所得税の課税対象となる点に、気を付けてください。
また、退職金を分割で受け取ることで毎年の所得が増加すれば、介護保険や国民健康の保険料が高くなる場合もあるでしょう。
退職金は一時金か年金かでかかる税金が大きく変わる
退職金の受け取り方は、大きく分けて「一時金」か「年金」かの2種類があります。同じ退職金でも、どちらの方法を選ぶかによって、かかる税金が大きく変わるため注意が必要です。
それぞれの受け取り方にかかる税金やメリット、デメリットなどを総合的に判断して、自分に合った方法で退職金を受け取りましょう。
出典
国税庁 所得税のしくみ
総務省 個人住民税
国税庁 退職金と税
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー