更新日: 2022.08.31 定年・退職

退職金はいくら受け取れる? 退職金規程を確認して計算してみよう!

執筆者 : 西岡秀泰

退職金はいくら受け取れる? 退職金規程を確認して計算してみよう!
定年が近づいている方や転職を検討している方の中には、退職金をいくら受け取れるのか気になる方もいるでしょう。退職金の計算方法は企業によって異なるため、単にサラリーマンの平均金額を調べるだけでは、実際にもらえる金額を予想することはできません。
 
本記事では、退職金の計算方法について解説していきます。勤務先の退職金規程を確認した上で、自分が受け取ることのできる退職金額を概算してみましょう。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

退職金の計算方法は退職金規程に記載されている


実は退職金の計算方法について法律上の決まりは存在しません。つまり、退職金の有無を含め、企業側が自由に決めることができるのです。仮に会社が退職金はなしと決めれば、そこで勤めている人は退職金を受け取ることができません。
 
ただし、会社が退職金制度を設けた場合、就業規則に以下の事項を記載することが労働基準法で義務付けられています。
 

・退職金の対象となる労働者の範囲
・退職金の決定方法や、計算方法、支払方法
・退職金の支払時期

 
つまり、勤務先の退職金の計算方法は、就業規則の退職金規程を見れば分かるということです。就業規則は、従業金がいつでも見られるように職場に備え付けることが義務付けられているので、もし場所が分からなければ人事や総務の担当者に確認しましょう。
 

退職金の主な計算方法

退職金の計算方法は企業によってさまざまですが、ここでは日本の会社でよく活用される三つの計算方法を紹介します。
 

定額方式

定額方式とは、勤続年数に応じて退職金額を計算する方法です。
 
退職金規程に、図表1のような勤続年数に応じた退職金額表などが記載されています。この表を見れば、自分の退職金額が簡単に分かります。
 
図表1.退職金額表(イメージ)


※勤続年齢と退職金額の実際の対応関係は企業によって異なります。
 

基本給連動方式

基本給連動方式とは、勤続年数と退職時の基本給を基に退職金を計算する方法です。勤続年数別に支給係数を定めて、退職時の基本給に掛けて計算します。計算式は次の通りです。
 
・退職金額=退職時の基本給×勤続年数に応じた支給率
 
勤続40年の人の退職時の基本給が50万円、支給率が図表2の通りと仮定して、退職金を計算してみましょう。
 
図表2.勤続年数による支給率(イメージ)


 
・退職金額=50万円(退職時の基本給)×25(支給率)=1250万円
 
※実際の支給率や計算方法は企業によって異なります。
 

別テーブル方式

別テーブル方式は、給与を決める賃金テーブルとは別の方式を使って退職金を計算する方法です。企業が図表3のような勤続年数に応じた基準額や、役職・等級に応じた係数などを設定し、計算方法を決めます。
 
図表3.別テーブル(イメージ)


※実際の基準額や係数は企業ごとに異なります。
 
例えば図表3の場合、課長であった人が勤続40年で定年退職したときの退職金額は次の通りとなります。
 
・退職金額=1000万円(基準額)×1.2(係数)=1200万円
 
ここでは各計算方法について理解しやすいように簡潔な計算方法を具体例として挙げています。実際の計算方法は、退職事由や在職中の功績などを反映する場合があるため、さらに複雑になります。
 

自己都合退職の場合は退職金が減額されることがある

また、従業員が自己都合で退職する場合、退職金を減額する企業が多いので注意が必要です。
 
例えば、退職事由による係数を設定し、前述の各計算方法などで算出した退職金額に退職事由による係数を掛ける方法があります。会社都合退職の係数を1.0、自己都合退職の係数を0.8と設定した場合、自己都合退職者の退職金は2割減額されることになります。
 

退職金規程を確認して自分の退職金を計算しよう

退職金の有無や計算方法は企業側が自由に決めていますが、退職金制度を設けている場合は就業規則に記載することが義務付けられています。つまり、退職金の計算方法が知りたければ、就業規則の退職金規程を確認すればよいのです。
 
本記事を参考にしながら、計算方法などで分からない部分があれば人事などの担当者にしっかり確認し、自分が受け取れる退職金額を概算しておきましょう。
 

出典

中小企業基盤整備機構 退職金支給規程
中小企業基盤整備機構 退職金の一般的な計算方法を教えてください
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級
 

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