更新日: 2022.09.14 セカンドライフ
65歳以上の高齢者はどのくらい働いている? 最も多く働いている都道府県は?
本記事では、統計データをもとに高齢者の有業率の推移、働く高齢者の数や割合の多い都道府県がどこかについて解説します。働く高齢者の実態を、数字からイメージしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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全国の高齢者就業率の推移
内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」によると、2017~2021年度の5年間で65歳以上の高齢者就業率の推移は、年齢別に図表1のとおりです。
【図表1】
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|---|
65~69歳 | 44.3% | 46.6% | 48.4% | 49.6% | 50.3% |
70~74歳 | 27.2% | 30.2% | 32.2% | 32.5% | 32.6% |
75歳以上 | 9.0% | 9.8% | 10.3% | 10.4% | 10.5% |
出典:「内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版) 第2節 高齢期の暮らしの動向」より筆者作成
60代後半では、就業者の割合がどの年度でも4~5割以上と高い割合を占めています。また、70代前半でも3~4人に1人程度の人が、働いて収入を得ている計算です。しかし、75歳以上のいわゆる後期高齢者になると就業率はぐっと低くなり、どの年齢でも10%前後にとどまっています。
全体をみると高齢者の就業率は、どの年齢でも上昇傾向にあることがみてとれます。
高齢就業者の都道府県別人数と割合
総務省「平成29年就業構造基本調査」によると、65歳以上の有業者数が多い都道府県は、年齢別に図表2のとおりです。
【図表2】
65~69歳 | 70~74歳 | 75歳以上 |
---|---|---|
東京都(41万5900人) | 東京都(24万2500人) | 東京都(21万6900人) |
神奈川県(29万400人) | 神奈川県(14万6700人) | 愛知県(10万1500人) |
大阪府(28万7400人) | 埼玉県(13万7600人) | 神奈川県(9万7900人) |
埼玉県(25万3800人) | 大阪府(13万2300人) | 埼玉県(9万7500人) |
愛知県(23万8100人) | 愛知県(12万2800人) | 大阪府(9万7300人) |
出典:「総務省統計局 平成29年就業構造基本調査結果の概要」より筆者作成
また、65歳以上の有業者が少ない県は、図表3のような結果となっています。
【図表3】
65~69歳 | 70~74歳 | 75歳以上 |
---|---|---|
鳥取県(2万2800人) | 鳥取県(1万800人) | 沖縄県(1万人) |
徳島県(2万9200人) | 徳島県(1万2600人) | 鳥取県(1万300人) |
島根県(3万200人) | 佐賀県(1万3400人) | 徳島県(1万2500人) |
高知県(3万500人) | 島根県(1万4400人) | 島根県(1万2800人) |
佐賀県(3万3100人) | 沖縄県(1万4400人) | 福井県(1万4100人) |
出典:「総務省統計局 平成29年就業構造基本調査結果の概要」より筆者作成
図表2と3を比較すると、有業者の数に着目した場合、人口が多い地域では高齢の有業者も多く、人口が少ない地域では高齢の有業者も少ない傾向にあることが分かります。
次に、高齢者の有業率に着目してみましょう。同調査によると、高齢者の有業率が高い都道府県は、男女別に図表4のとおりです。
【図表4】
男性 | 女性 |
---|---|
長野県(41.6%) | 長野県(21.6%) |
山梨県(41.6%) | 山梨県(21.6%) |
東京都(39.0%) | 岐阜県(19.9%) |
福井県(38.3%) | 福井県(19.8%) |
岩手県(37.3%) | 栃木県(19.7%) |
出典:「総務省統計局 統計トピックスNo.113 統計からみたわが国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 3.高齢者の就業」より筆者作成
有業者数に着目した図表3とは顔ぶれが大きく異なり、甲信地方、北陸地方などで有業率が高い傾向にあります。
高齢者の有業者数1位は東京都、有業率1位は長野県と山梨県
高齢者の有業率は年々増加傾向にあり、60代後半のおよそ2人に1人、70代前半の3人に1人が働いています。また、都道府県別にみた場合、高齢者の有業者数が多いのは、人口が密集する東京都や神奈川県、大阪府、愛知県などの大都市圏という結果です。一方、有業率に着目すると、長野県や山梨県をはじめ、甲信地方や北陸地方などで高齢者の有業率が高くなっています。
厚生労働省が発表した簡易生命表によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳と高齢化が進むなかで、働く高齢者はまだまだ増えるのではないでしょうか。
出典
内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版) 第2節 高齢期の暮らしの動向
総務省統計局 平成29年就業構造基本調査結果の概要
総務省統計局 統計トピックスNo.113 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 3.高齢者の就業
厚生労働省 平成22年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部