「公務員」なら老後は安泰って本当?公務員の年金や退職金事情について解説!
配信日: 2022.10.12
そこで、本記事では公務員の年金や退職金に焦点を当てました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公務員が将来受給できる年金の種類とは
一般的に、会社員が将来もらえる年金は国民年金、厚生年金、企業年金の3種類で、企業年金とは、退職金を分割して受け取る年金です。以下で、公務員が受給できる年金について見てみましょう。
・公務員が受け取る年金
かつて公務員が受け取れる年金は「国民年金」「共済年金」に加え、「職域加算」の3種類でした。職域加算とは、一般的な会社員の企業年金にあたるものです。ただ、平成27年10月に共済年金が厚生年金に一元化されています。
これによって、公務員が受け取る年金は「国民年金」「厚生年金」「年金払い退職給付」の3種類に変更になりました。公務員が受け取る平均年金額は令和2年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金を含む厚生年金の平均受給月額が約14万円です。
・年金払い退職給付とは
年金払い退職給付は、退職等年金給付とも呼ばれています。会社員の企業年金にあたるもので積み立て方式となっており、有期年金・終身年金の2種類があります。有期年金は10年と20年があり、選択したどちらかの期間受給できる年金です。また、一時金として受給することもできます。受給期間に本人が亡くなった場合、家族が年金を受給することが可能です。
終身年金は生涯受給できる年金ですが、有期年金とは異なり、本人が亡くなった後に家族が受給することはできません。共済年金に加入していた人は職域加算の期間もあったため、加入期間分の職域加算の年金と年金払い退職給付の両方を受け取ることが可能です。
国家公務員共済組合の「財政計算の結果の概要」によると、平成27年度モデル年金額では平均月収が40万6000円の人の場合で、受給できる終身年金が8108円、有期年金(20年を選択した場合)が9191円です。こちらの例での平均受給月額は、年金払い退職給付が有期年金(20年)の場合で約14万9191円、終身年金の場合で約14万8108円となります。
公務員の退職金事情とは
公務員は国家公務員と地方公務員の2種類があります。それぞれの退職金は以下の通りです。
・国家公務員の平均退職金額は約2142万1000円
内閣官房が令和2年度に行った「国家公務員退職手当実態調査」によると、定年退職した場合、常勤国家公務員の平均退職金額は2142万1000円(行政職俸給適用者は2127万9000円)です。
・地方公務員の平均退職金額は約2190万5000円
令和3年度の「地方公務員給与実態調査」によると、定年退職した地方公務員の平均退職金額は約2190万5000円です。ただ、地方公務員の場合、地域差も大きいのが特徴といえます。例えば、令和3年度は、退職金額の最も高い地域と最も少ない地域の差は307万7000円もあります。
・老後に毎月必要な生活費は約22万円
令和元年に行われた生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、老後に必要な毎月の生活費は夫婦2人で約22万1000円でした。ゆとりある生活をする場合は毎月約36万円が必要という結果が出ています。
仮に65歳で退職し、夫婦で80歳まで暮らす場合、受給する厚生年金は「15万×12ヶ月×20年=3600万」です。ここに退職金を加えると、国家公務員(常勤職員)で約5742万1000円、地方公務員で約5790万5000円となります。老後に必要な最低限の生活費は20年間で約5280万円となるため、生活自体は問題なくできるでしょう。ただ、生活に余裕を持たせたい場合は、公務員でも「安泰」とは言い難いといえます。
公務員でも余裕ある生活を送るには老後の対策が必要
公務員はほかの職業と比較すると安定した収入があるといわれており、老後の生活も安泰だと考えている人は多いようです。ただ、実際に老後に最低限必要な金額と老後に受給できる金額を比較すると、生活に十分な余裕があるとは言えません。そのため、定年退職後の生活にゆとりをもたせるのであれば、何らかの対策をする必要があるでしょう。
出典
KKR-国家公務員共済組合連合会 年金払い退職給付(退職等年金給付)の平成27年財政計算について【詳細】
内閣官房 国家公務員退職手当実態調査(令和2年度)
総務省 令和3年地方公務員給与実態調査
生命保険文化センター 令和元年度 生活保障に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部