更新日: 2022.11.04 セカンドライフ
夫婦2人の老後生活、月に最低23万円必要? 世間の生活保障の実態は
さて、世間は生活保障についてどのように考え、どのような準備をしているのでしょうか。公益財団法人 生命保険文化センターの調査結果をチェックしてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活設計、具体的に考えられていない人が半数超
3年に1度実施しているこの調査は、18~79歳の男女個人(回収サンプル数:4844)を対象に行われたもの。調査地点や調査方法に変わりはありませんが、高齢化に対応するため18~69歳を対象としていた前回2019年調査より対象範囲を広げています。将来どのように生活したいか、そしてそのためにどのお金を準備したらいいかといった、具体的な生活設計をたてている人はどれくらいいるのでしょうか。
●あり 39.9%
●なし 51.5%
●わからない 8.6%
40%近くの人が、具体的な生活設計を持っていることがわかります。いっぽうで、半数以上の人は特にないという結果に。
「だいたい何歳くらいまで働いて、その後はのんびり趣味を楽しみながら暮らしたいけど……」といった漠然としたイメージはあっても、具体的にお金がどれくらい必要でそのために何をすべきかまでを考えて行動に移している人のほうが少ないということになりそうです。
「医療保障(けがや病気に対する保障)」「介護保障(自分の介護に対する保障)」「老後保障(老後生活に対する保障)」「死亡保障(死亡時の遺族の生活に対する保障)」の4つの保証領域別の不安意識についてはいかがでしょうか。
●ケガや病気に対する不安 88.5%
●自分の介護に対する不安 88.6%
●老後生活に対する不安 82.2%
●死亡時の遺族の生活に対する不安 62.9%
不安に思っている人が最も多かったのは、「自分の介護」でした。介護士不足や老老介護などが社会問題となっているなか、いざ自分が介護を必要としたときのことを不安に思うのは当然といえます。
僅差で2位となったのはけがや病気。同調査によると、疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は65.7%でした。けがや病気を不安に思う人は90%近いものの、生命保険の加入率はそこまで高くないのですね。お金に余裕がなかったり、どの保険を選べばいいのかわからなかったりする人が少なくないのでしょうか。
また、1、2位に続いて80%台という高い数値を出したのは老後生活です。老後保障については、さらに深掘りした調査結果を読み解いてみましょう。
夫婦2人の老後生活。月額いくら必要? ゆとりはある?
老後は夫婦2人で生活するとして、世間のみなさんはどれくらいお金がかかると考えているのでしょうか。
●最低日常生活費:23.2万円
●ゆとりある老後生活費:37.9万円
最低でも月23万円は必要と考えられています。ゆとりのある暮らしには、さらに15万円ほどプラスするというイメージですね。まずは月額23万円をひとつの目安とし、老後必要なお金をざっくり計算してみるのもひとつの手。準備すべき老後資金をまかなう方法として、以下の項目があげられました。
1位:公的年金 87.0%
2位:預貯金 71.8%
3位:企業年金・退職金 37.0%
4位:個人年金保険 29.7%
5位:老後も働いて得る収入 16.9%
上位はこのような結果に。公的年金をあてにしている人が90%近くいます。公的年金+預貯金の2本立てが王道パターンなのでしょう。仕事内容や労働形態にもよりますが、企業年金や退職金を想定している人も。老後も働いて生活費の足しにするという人は、思ったより少ないですね。老後は趣味程度に働いてゆっくり過ごしたいと考える人が多いのでしょうか。
ちなみに、コツコツ貯めた老後資金を何歳くらいから使うかについては以下のとおり。
1位:65歳 34.2%
2位:70歳 23.4%
3位:わからない 16.7%
4位:60歳 11.7%
5位:71歳以上 9.3%
平均は66.8歳でした。公的年金の基本的な受給が65歳からですから、だいたいその辺りから老後資金を使い始める人が多いようです。ただ、最多の回答割合となった65歳は前回より5.5ポイント減少している上、5位の「71歳以上」は前回より4.4ポイント増となっていて老後生活の開始年齢を遅らせようという傾向がうかがえます。
繰り下げ受給の限度である75歳まで働いて、年金受給額を増やしてから受給を開始しようと考えている人は意外と少ないのでしょうか。今回から調査対象が79歳までになった点も加味する必要がありそうです。
必要以上に受給年齢を繰り下げることはせず、適度なタイミングで受け取りを開始するという選択が無難なのかもしれません。生活保障に不安を感じている人は、年金を何歳から受け取るかといったシミュレーションから入り、生活保障全体の計画を見直してみてもよさそうです。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部