更新日: 2022.12.12 セカンドライフ
65歳時点で貯蓄2000万円以下でも、老後の生活は「安泰」と言えますか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
老後の生活費と収入はどれくらい?
まずは老後の生活費と収入がどれくらいかかるか確認していきましょう。2021年の総務省の家計調査年報によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出は消費支出と非消費支出合わせて月額25万5100円となっています。収入については23万6576円となっており、毎月1万8524円不足する計算になります。
そして、65歳以上の単身無職世帯の場合は消費支出と非消費支出合わせて14万4747円となっています。収入については13万5345円となっていることから毎月9402円不足します。仮にこの生活が30年間続くと、65歳以上の夫婦のみの無職世帯においては666万8640円、単身無職世帯においては338万4720円不足することになります。
65歳時点で貯蓄が2000万円以下でも老後の生活は安泰といえるのか
先の家計調査年報のデータを見る限り、65歳時点での貯蓄が2000万円以下でも生活していくことは十分可能であることが分かります。65歳以上の夫婦が30年間生きても666万8640円の不足となることから、2000万円貯蓄がなくとも1000万円程度あれば安泰した生活を送ることができると想定できます。
しかし、あくまでもこれは統計上の数値です。ライフスタイルによってはもっと貯蓄が必要で、2000万円以下の貯蓄では不足する場合もあります。
とはいえ、実際に65歳時点でいくらの貯蓄があると安泰といえるのかは人によって異なります。安泰できる貯蓄額を知りたいのであれば、65歳以降に受け取れる年金など収入を想定し、何歳まで、毎月いくらの生活費で生活していくのかを計算する必要があります。
老後の生活費の参考になる指標はないの?
統計にあるような一般的な方であれば65歳時点で貯蓄が1000万円もあれば、2000万円以下でも安泰といえることが分かりました。そうはいっても、本当に2000万円以下の貯蓄でも大丈夫なのか不安だったり、かといって自分が老後どれくらいの生活費を必要とするかの計算が難しかったりする場合は他の方の意見も参考になります。
公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、老後最低限の日常生活費についていくら必要かという問いに対しての回答金額が平均22.1万円となっているようです。
そして、一番多かった回答としては、20万円から25万円となっています。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
また、最低限の生活に加えて旅行やレジャーを楽しんだり趣味や教養に時間やお金を割いたりできる、いわばゆとりある老後生活を送るのに必要な金額については平均36万1000円となっています。一番多かった回答については、30万円から35万円となっています。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
もし、老後自分の生活費がどれくらいかかるのか分からないという場合、多くの方が最低毎月20万円程度は必要だと考えているということを参考に自分の老後の生活費について考えてみてください。
貯蓄が少なく就労するのも手
どうしても老後2000万円ないと安泰だと思えない。そういった場合は65歳以降も就労して収入を得ることで、安泰できるほど貯蓄の額がなくとも生活していくことができるはずです。今では70歳や75歳まで働く方も珍しくはなくなっています。
必ずしも65歳で現役を引退して年金と貯蓄だけで生活しなければならないわけではありません。貯蓄に不安があれば就労によって無理のない範囲で働き、収入を得ることも検討してみてください。
あなたはいくら貯蓄があれば安心できる?今から検討を
65歳時点で2000万円の貯蓄がないと老後は絶対安泰できないというわけではありません。安泰といえるだけの貯蓄額は人によって異なります。想定される年金などの収入と生活費を踏まえ、何歳まで生きるのか予定を立て、それに貯蓄がいくら必要か考えてみてください。
老後までまだ時間があれば、今からじっくりと落ち着いた準備を進めてください。既に老後が迫っている、あるいは老後に突入している場合はライフスタイルの見直しや就労も検討をすることで貯蓄が2000万円以下でもある程度安泰している生活を送ることができるでしょう。
出典
総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
執筆者:柘植輝
行政書士