更新日: 2022.12.30 介護

おひとりさまが「自分の老人ホーム費用」を用意するならいくら必要?どんな制度を使える?

おひとりさまが「自分の老人ホーム費用」を用意するならいくら必要?どんな制度を使える?
独身で老後を過ごす「おひとりさま」は、元気なうちであればいいですが、病気などで要介護の状態になった場合は、老人ホームなどの施設に生活の拠点を移して、介護士らプロの手による介護を受けるという選択肢があります。その場合、どれぐらいの料金が必要なのでしょうか。
 
この記事では、おひとりさまが自分の老人ホームをまかなうために使える公的制度も併せて紹介しています。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

おひとりさまが「自分の老人ホーム費用」を用意するならいくら必要?

厚生労働省が作成しているモデルケースによると、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に要介護5の人が多床室(相部屋)を利用した場合、1ヶ月当たりの料金は「施設サービス費:約25万2000円(30日)」「居住費:約2万5650円(855円/日)」「食費:約4万3350円(1445円/日)」「日常生活費:約1万円」が目安です。
 
ただし、介護保険により施設サービス費は1割のみ自己負担となりますので、施設サービス費の支払いは「約2万5200円(847単位×30日)」にまで圧縮されます。この場合、合計月額は「約10万4200円」となります。ここに医療費がプラスされることも多いでしょう。
 
要介護5とは、1日のほとんどを寝たきりで過ごさなければならないなど、最も重度の要介護度で、家族が身近にいない人であれば、介護士や看護師などのスタッフが暮らしを支える負担も重くなります。
 
また、介護老人福祉施設に要介護5の方がユニット型個室を利用した場合のモデルケースですと、施設サービス費の1割で「約2万7900円(929単位×30日)」「居住費:約6万0180円(2006円/日)」「食費:約4万3350円(1445円/日)」「日常生活費:約1万円」で合計月額は「約14万1430円」となっています。
 
もはや一般的な仕事では働ける状態ではないにもかかわらず、介護保険を使えてもこれだけの経済的負担がのしかかります。働きながら貯蓄している途中で、突然要介護5の状態になるおそれもあるのです。
 

「自分の老人ホーム費用」をまかなうため、使える制度はあるの?

高齢者が使える施設は、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)だけでなく、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホームなどがあります。もし、いずれかに入居する場合、介護保険が給付されても差額は自己負担しなければなりません。しかし、その自己負担額の一部または全部をサポートしてくれる公的制度がいくつかあります。
 
まず国民健康保険などの「高額介護合算療養費制度」です。1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額が基準額(上限額)を超えた場合、その超えた金額が払い戻されます。基準額は、要介護者の年齢と収入に応じて細かく設定されているのが特徴です。
 
例えば、年収156万~370万円の70歳以上の方であれば、基準額は年間56万円となっており、年収が約1160万円以上ある70歳以上の方は基準額が年間212万円に引き上がります。
 
また「高額介護サービス費制度」を利用すると、介護保険を使っての自己負担額(1割)が月単位で一定額を超えた場合、申請を出すことを条件に超過分が戻ってきます。
 
例えば、市町村民税が課税で380万円未満ならば、月額4万4400円が自己負担額の上限で、高額介護合算療養費制度にならい、年収ベース690万円以上ならば、月額14万100円が上限です。また、所得税や住民税に関する確定申告をする際に、障害者控除対象者認定書を提出すれば、障害者控除を受けることができて、税負担が軽くなります。
 

おひとりさまでも老後は怖くない

独身のままで老後を過ごすことが不安だと考える人も多いですが、理想のライフスタイルは人それぞれです。お金の面で不安を感じることもあるかもしれませんが、要介護になった場合にはサポート制度がありますので、自分に合った選択肢を検討してください。
 

出典

介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 サービスにかかる利用料
厚生労働省 高額介護合算療養費制度
厚生労働省 高額介護サービス費の負担限度額
船橋市 高齢者施設等の案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集