更新日: 2023.02.07 セカンドライフ

60歳からの過ごし方。仕事がもたらすメリットとは??

60歳からの過ごし方。仕事がもたらすメリットとは??
厚生労働省によれば、健康寿命(健康上の問題がなく、日常生活が制限されない状態の期間)は令和3年現在で男性は約72歳、女性は約75歳です。
 
この前提にたてば、例えば60歳で定年退職をしたとして、そこから新たに仕事を探すとしたとしてもせいぜい10年間程度。若い時と違って加齢とともに心身の衰えも目立ってくる中、「いまさら仕事を探してもしょうがない」とのんびり過ごしたほうがよいのか……悩むところです。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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健康寿命は延ばすことができる

WHO(世界保健機関)が発表した2022年版の世界保健統計(World Health Statistics)では、男女平均の健康寿命が最も長い国は日本で、74.1歳となっています。ご参考までに主要各国を見てみると、世界平均は63歳、2位はシンガポールで73.6歳、3位の韓国73.1歳となっています。
 
【図表1】
 

 
平均寿命は医療サービスによるところが大きいですが、健康寿命は医療・福祉サービス以上に「やりがい」「社会とのかかわり」を維持できているかどうかによるところが大きくなっていると思われます。
 

「社会とのつながり」をキープすることが健康寿命のプラスに貢献

内閣府が行った令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査によれば、生きがい(喜びや楽しみ)を感じているか を見ると、「十分感じている」と回答した人が 23.1%で、「多少感じている」(50.1%)と合わせると、73.2%が生きがいを『感じている』と回答しています。
 
内容について掘り下げて見てみると、収入の伴う仕事をしている人は生きがいを「感じている」(81.0%)が高く、経済的な暮らし向きで見ると、家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている人は生きがいを「感じている」(85.1%)と回答している人が高く、家計が苦しく、非常に心配である者 は「感じていない」(48.1%)と回答している人の割合が高くなっています。
 
現在の収入のある仕事で見ると、収入の伴う仕事をしている人は「仕事に打ち込んでいる時」(62.0%)に生きがいを感じていると回答しています。
 
このことから、仕事を通して社会とのつながりをキープしている人ほど生きがいを感じている人の割合が高く、これが健康寿命に何らかの貢献をしていると考えてよさそうです。
 

仕事がもたらすメリットは収入・生きがい・情報だけではない

収入は多いに越したことはありませんが、直接的な収入が少額であっても、仕事をすることでもたらされるメリットは、社会とのつながり、「自分のやっていることが社会に役に立っている」という充実感、そして職場で知り合った人たちとの人間関係(なかには煩わしいと感じることもあるかもしれませんが)の広がりやネットやメディアからでは得られない生の情報があります。
 
加えて、「明日は〇時から〇時まで仕事だから、今日は早めに就寝しなければ」といったように規則正しい生活習慣がおのずと設定されます。
 
このように見てくると、「あと10年ほどだから、いまさら働いてもしょうがない」と考えるのではなく、健康寿命を延ばす意味でも、年齢に関係なく自分ができそうな仕事を探すことの意義は大きいといえるでしょう。
 

出典

世界保健機構(WHO) 最新版2019年 世界保健統計データベース

内閣府 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(全体版)

内閣府 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査/8. 世代間の交流・生きがい

 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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