更新日: 2023.03.07 定年・退職

大卒で定年まで勤めずに勤続30年で辞めた場合、退職金は平均でどのくらい?

大卒で定年まで勤めずに勤続30年で辞めた場合、退職金は平均でどのくらい?
退職金の金額は、学歴や勤続年数に左右されます。それでは、大卒で定年まで勤めあげずに勤続30年で退職した場合の退職金額はどれくらいなのでしょうか。
 
本記事では統計データをもとに、大企業と中小企業それぞれの大卒・勤続30年の人の平均退職金額を、条件別に紹介します。会社規模や職種、退職事由などのさまざまな条件によって、退職金額にどのような差があるのかに注目してみましょう。
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大卒・勤続30年の大企業における退職金事情

 
資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業を対象に行われた、厚生労働省中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」をもとに、大企業における大卒・勤続30年の人の退職金事情を見てみましょう。ここでは「男性の平均退職金」と「業種・職種・退職事由別のモデル退職金」の2つを取り上げて、退職金の金額を紹介します。
 

平均退職金

 
「令和3年賃金事情等総合調査」によると、勤続30年の男性の、学歴別の平均退職金は図表1のとおりです。
 
【図表1】

調査産業計 製造業
大学卒 1667万4000円 1641万円
短大・高専卒 1387万4000円 1387万4000円
高校卒 1291万5000円 1334万4000円

総務省統計局「令和3年賃金事情等総合調査」より筆者作成
 
調査産業計、製造業ともに、平均退職金は1600万円台です。短大・高専卒と比べると200万円強、高校卒と比べると300万円以上高い結果となっています。
      

業種・職種・退職事由別のモデル退職金

 
図表2は「令和3年賃金事情等総合調査」をもとに、大卒・勤続30年の人のモデル退職金を、業種・職種と退職事由別にまとめたものです。また、参考として、定年退職時の退職金も記述しています。
 
図表2

会社都合退職 自己都合退職 ※参考:定年
総合職相当 産業計 1915万4000円 1706万7000円 2563万9000円
製造業 1963万1000円 1767万4000円 2342万1000円
一般職相当 産業計 1376万7000円 1109万6000円 2439万1000円
製造業 1384万5000円 1323万8000円 2719万8000円

総務省統計局「令和3年賃金事情等総合調査」より筆者作成
 
会社都合退職の場合のモデル退職金は、総合職相当が1900万円台、一般職相当は1300万円台と、職種間で600万円以上の差があります。
 
自己都合退職のモデル退職金は、総合職相当が1700万円台、一般職相当は産業計が1100万円台なのに対して製造業は1300万円台です。いずれの職種でも、会社都合退職のほうが高い退職金額となっています。
 
また、勤続30年時点の会社都合の退職金額を定年退職時の金額と比べると、総合職相当では産業計が約75%、製造業では約84%となっています。一方、一般職相当では産業計が約56%、製造業では約51%と、総合職相当と比較して低い割合にとどまっているのが特徴です。
 

大卒・勤続30年の中小企業における退職金事情

 
中小企業における大卒・勤続30年の退職金はどのような水準でしょうか。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、モデル退職金は図表3のようになっています。
 
図表3

会社都合退職 自己都合退職
754万2000円 653万6000円

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」より筆者作成
 
全国を対象にした調査と東京都のみの調査という違いはありますが、図表2に示した大企業の退職金と比べると、会社都合退職、自己都合退職のいずれも大幅に低い数字です。同じ学歴・勤続年数であっても、会社規模によって退職金額には大きな格差があることがうかがえます。
 

同じ学歴・勤続年数でも会社規模で退職金額は大きく違う

 
大卒・勤続30年の退職金額は、同じ勤続年数の短大・高専卒、高校卒と比べると高い傾向があります。ただし、大卒・勤続30年と一口にいっても、大企業と中小企業では退職金額に大きな差があることに留意しましょう。大企業の平均退職金額は1600万円台なのに対して、中小企業では600~700万円台がモデル退職金額です。また、会社都合退職と自己都合退職でも、退職金額には差が生じます。
 

出典

厚生労働省 中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版) 8.モデル退職金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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